中央公論新社
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株式会社中央公論新社(ちゅうおうこうろんしんしゃ)は、日本の出版社である。1886年(明治19年)に創業した株式会社中央公論社が経営危機になり、1999年に読売新聞社(現読売新聞グループ本社)の全額出資によって設立し、中央公論社の営業を譲り受ける。略称は「中公」(ちゅうこう)。
中央公論社時代に比べると「論調が読売新聞社と同じく政府寄りに変わっている」として「実質的には『This is 読売』(廃刊)が改題したものだ」との批判もある。また、旧来の中央公論社を知る人々からは「論調が旧中央公論社と異なる以上、"中央公論新社"と名乗らず"読売公論社"と堂々と名乗るべき」との意見も強い(これについては、読売新聞社に近い立場からも同様の意見がある)。論調の変化については、『思想の科学』(第4次)の停刊や『大東亜戦争肯定論』の連載など1961年の嶋中事件(風流夢譚事件)の影響を指摘する意見もある。
なお、旧中央公論社は特別清算となった(解散時の商号は「株式会社平成出版」)。
目次 |
[編集] 雑誌
- 中央公論
- 婦人公論
[編集] 漫画
1980年代から90年代にかけて名作漫画をまとめた「中公愛蔵版」を多数出版した。これは2~4cmほどの厚さで読むのに疲れるが、一冊にまとまっているので買いやすいということで、支持を集めた。また、藤子不二雄の漫画の全集である藤子不二雄ランドや石ノ森章太郎の「日本の歴史」シリーズを出版したのもこのころである。
1990年代後半になって、文庫の漫画が流行したことから、愛蔵版シリーズの作品の多くは中公文庫に移行した。
[編集] 中公文庫BIBLIO
中公文庫BIBLIO(―びぶりお)は、2001年6月に創刊した文庫。ソフトカバー。中公文庫の姉妹本。古今東西の最重要テキストを、ジャンルを限定して収録する。
装丁の美しさは特筆に価する。本の半分以上を覆う大きな帯紙に書かれた、本文から引用した大きく短い文章が目を引く。
[編集] 中公新書ラクレ
中公新書ラクレは、2001年3月に創刊した新書。ソフトカバー。「ラクレ」(La Clef)とはフランス語で「鍵」の意である。中公新書の姉妹本。
『読売新聞』に掲載された記事の新書化が多い。『読売』と『朝日新聞』の戦後の社説を比較して、後者の進歩主義、平和主義、護憲主義を厳しく批判した『読売vs朝日――社説対決50年』は、その象徴と言える。しかし、それは朝日新聞社の出版部門が同社の論調を反映していることと同じであり、中央公論新社が読売新聞のグループ会社である以上、自然なことであることといえるだろう。だが、『若者はなぜ怒らなくなったのか』(荷宮和子)や『ぷちナショナリズム症候群』(香山リカ)など、読売新聞の論調と相容れない著作も多く出ている。
[編集] その他
- 『世界の歴史』『日本の歴史』 - 各分野の専門家による本格的な概説書シリーズ。これも当初の創刊には宮脇俊三が関与していたといわれる。
- 中公叢書(―そうしょ)は、1967年1月に創刊したシリーズ。ソフトカバー。四六判。絶版が実に多い。内容は本家の中公新書と大差が無い。本家との差別化が図れず、実に地味な存在である。
- C★NOVELS(しいのべるす)は、1982年11月に創刊した新書。ソフトカバー。大衆文学を収録する。茅田砂胡の一連の著作はドル箱である。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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