リズム・アンド・ブルース
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リズム・アンド・ブルース (英語: rhythm and blues、正しくはリズム・アンド・ブルーズと発音する。) は、 R&B(アール・アンド・ビー) と略される音楽のジャンル。1940年代後半に、ジャズやブルース、ゴスペルといった黒人音楽が発展する形で生まれた。
ロックンロールもここから生まれたが、当初はリズム・アンド・ブルースとロックンロールの間に明確な区別はなかった。その後、リズム・アンド・ブルースはソウルなどへ発展していった。(カテゴライズとして、ソウルミュージックも内包する場合がある)
1960年代のアメリカで黒人たちの地位向上によりさらなる彼等のアイデンティティを高揚しアフリカンアメリカンとしてのルーツを誇示するための音楽として、よりモダンになったブラック・ミュージックの一つの形をリズム・アンド・ブルース(R&B)と呼ぶようになった。
1950~1960年代のR&R(ロックンロール)とともにリズム・アンド・ブルースは、ヨーロッパにも輸出され、流行に敏感な若者たちを虜にし、やがて彼らは自らリズム・アンド・ブルースを演奏すべくバンドを組むようになった。こうして結成されたローリング・ストーンズやザ・フーは自らの曲をリズム・アンド・ブルース(R&B)、バンドを「R&Bバンド」と自称し、リズム・アンド・ブルースは米国内だけでなく世界に広がっていく。
やがてリズム・アンド・ブルースはより洗練された方向に発展していき、1970年代になるとソウル・ミュージック、1980年代以降はブラック・コンテンポラリー(ブラコン)と呼称され、1990~2000年代には再びリズム・アンド・ブルース(R&B)と呼ばれるようになった。呼称は1960年代と同じであるものの、リズムの変遷や洗練を加えており、まったく別の音楽といっても過言ではない。リズム・アンド・ブルース(R&B)という呼称がリアルタイムでの米国産ブラック・ミュージックの呼称に使われなくなった時期においても、1950~1960年代のブラック・ミュージックや、それらにルーツを置いたローリング・ストーンズ等のバンドを愛好してきた層にとっては、「リズム・アンド・ブルース(R&B)」の呼称と現在そう呼ばれる音楽に違和感を感じることも多い。
現在言われるリズム・アンド・ブルース(R&B)では、打ち込みを主体とした楽曲を用いた、歌唱重視のジャンルである。1950~1960年代とは異なり、歌唱者を黒人に限定することなく、白人やアジア系のアーティストでもR&Bミュージックで括られることも珍しくない。90年代後半からはデジタル機器を駆使したクラブ寄りなサウンドが主体と言えるが、楽器の生演奏によって曲をつくるネオ・ソウルなどその幅は広い。既存の楽曲を取り入れて新しい楽曲を生み出すサンプリングやクラブ・ヒットを意識したリミックス、ヒップホップやレゲエなど他ジャンルとのクロス・オーヴァーが顕著に見られ、時代を問わず最も注目される音楽ジャンルであると言える。
[編集] 日本でのR&Bの受容と近年のブーム
日本では、昔から洋楽をなぞる形でR&Bが歌われたり聴かれていた。その先駆けとなった代表的な歌手として弘田三枝子、シーンの引率者として久保田利伸が挙げられる。近年ブームとなったのは1998年ころからのMISIAに代表されるブームによるところが大きい。前後して宇多田ヒカルやUAなどの独自の個性をもったアーティストも現れ、「R&B」は「ディーバ」とともに時代のキー・タームとなり、多くのフォロワーやエピゴーネンを生み出した。
[編集] 代表的なアーティスト
- マイケル・ジャクソン
- レイ・チャールズ
- ジャネット・ジャクソン
- ホイットニー・ヒューストン
- メアリー・J・ブライジ
- R・ケリー
- ライオネル・リッチー
- ルーサー・ヴァンドロス
- ディアンジェロ
- ローリン・ヒル
- TLC
- アッシャー
- アリーヤ
- デスティニーズ・チャイルド
- ビヨンセ
- アリシア・キーズ
- ボーイズ II メン
- テイク6
- ブライアン・マックナイト
- ニーヨ
- ジャギッド・エッジ
- トニ・ブラクストン
- BB・キング
- サム・クック
- ロイ・ブラウン
- JODECI
- 久保田利伸
- ワイノニー・ハリス
- ダイナ・ワシントン
- ファツ・ドミノ
- クライド・マックファター
- ザ・ドリフターズ
- ザ・ファイブ・サテンズ
- ザ・コースターズ
- ロイド・プライス
- リトル・リチャード
- アイク&ティナ・ターナー
- ジャッキー・ウィルソン
- アレサ・フランクリン
- ジ・インプレッションズ
- ソロモン・バーク
- ベン・E・キング
- ザ・フォー・トップス
- ザ・テンプテーションズ
- ジェリー・バトラー
- マーヴィン・ゲイ
- カーティス・メイフィールド
- ザ・スプリームス