ライトセーバー
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ライトセーバー (Lightsaber) は、映画『スター・ウォーズ』シリーズ中で、ジェダイの騎士、シスの暗黒卿が用いる架空の武器。ライトサーベル、(初期の字幕では)電光剣と訳されて呼ばれることもある。画像
(『サーベル』とは元々ハンガリー地方の剣である。日本刀で言うところの『ツバ』が握りの付け根まで覆っているところが特徴である。フェンシング競技の公用語であるフランス語では「サーブル」、英語では「セーバー」と、発音する)
一人前のジェダイとなるためには、自分ひとりの力で部品を集め、フォースの導きにしたがって設計図なしで自らのライトセーバーを組み上げることが必須とされる。なお、ダース・ヴェイダーとの戦いで、ライトセーバーを失ったルークは、ヨーダの助言を得て、ベン (オビ=ワン・ケノービ)の家に行き、そこにあった材料のリストを元に材料を集め、足りない部品は自ら作って完成させた。
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[編集] 用法
基本的に接近戦用の対人格闘兵器だが、出力を上げれば、分厚い特殊鋼の扉すら焼き切ることも可能である。 単純に切りつけるだけではなく、熟練することで、レーザーや荷電粒子ビームなどを弾き返したり、ドゥークー伯爵がフォースの一種として使うような電撃を受け流すこともできるようになる。単に起動して物を切断するだけであれば特に技量は必要なく、実際エピソード5ではハン・ソロがトーントーンの腹を裂くのにルークのセーバーを使用している。
しかし逆に切れすぎる危険もあり、手に伝わる感覚は柄の重さのみで、刃があるという実感が湧きにくく、下手をすれば使い手そのものを切りかねない。未熟な者が持つ武器としては甚だ不適当で、またレーザーやビームを弾くにしても、人間の反射速度を超えて飛来するビームは、ジェダイのような洞察力と先読みの能力でなければ対応できない。よって、汎用性は高いものの、スターウォーズ世界において、この武器をフォースの加護なしに使おうなどと考える不遜な者はまずいない(例外としてグリーヴァス将軍は、フォースを操れないことを補って余りある高い身体能力と格闘センスを持っているため、ライトセーバーを自在に使いこなすことができる。また、戦闘に使用したわけではないが、ハン・ソロは「帝国の逆襲」において、凍死しそうなルークを助けるために使用している。)。
ダース・シディアス(パルパティーン皇帝)の様な強力なシスの場合、ライトセーバーを必要とせず、フォースの電撃などを使って相手を倒せるため、自身が剣術に優れているにも拘らず、エピソード6では「ジェダイの武器だ」と完全にバカにした扱いをしている。
一般にジェダイ・パダワンのライトセーバーは、尊敬の表れとしてマスターの物に近い意匠形状を持つが、アナキン・スカイウォーカー作のセーバーは師オビ=ワン・ケノービの物とは似付かぬ(むしろヨーダの物に近い)形であり、彼の自尊心の強さを表していたと言える。またジェダイは青や緑、シスは真紅の刃を使用するのが普通だが、メイス・ウィンドウの紫のような例外もある。
なお、小説等では、「ダークセイバー」や規格外的なタイプのライトセイバーも存在する。
[編集] 構造
内部構造は動力源である多面体の宝石アデガン・クリスタル(アイラン・クリスタル)が数個設置(通常3個まで)されている。放射口中心から吐き出されるエネルギー集合体はいささか刃の様に見える。クリスタルが一つのライトセイバーは、強度および刃の長さは固定されており、複数のクリスタルを使用して製作されたセイバーは外側の装置を回転させ宝石間の距離を調整することにより強度や刃の長さを変えて使用することができる。ジェダイの修行の一貫であるセイバー製作は、クリスタル配列およびカットを自分の手で仕上げなければいけない。配列にわずかな誤差があるとディアチウムパワーセルを制御できずに作動スイッチを起動したとたん炸裂する。青や緑の刃を持つライトセーバーは主に極寒の惑星イラムで取れた天然クリスタルを使用しており、イラムにはクリスタルの鉱脈とライトセーバー製作の為のジェダイの寺院があったが、寺院はクローン大戦中に独立星系連合の爆破ドロイドによって破壊された。ライトセーバー断面画像
[編集] 部品
- 光刃アーク端子 (Blade arc tip)
- 2を伝ってきた凝縮光エネルギーは、起動ととともにここでマイナスの電荷を帯び、アーク放電のようにエネルギーが発流することで、レーザー状の光刃になる。起動時以外は流電している。
- 光刃エネルギー伝達路 (Blade energy channel)
- 3から送られてきたプラス電荷を帯びた光エネルギーから連続的に電流状の光エネルギー作り出し流れている。を1へと伝達する。
- 循環フィールド増幅器(Cycling field energizers)
- 集められた光エネルギーはここでプラス電荷を帯びて2に送られる。
- 主用クリスタル(Primary crystal)
- 7のエネルギーを収束し発光する。ライトセイバーの心臓部であり、このクリスタルの発光色がライトセイバーの光刃の色となる。
- 焦点用クリスタル(Focusing crystals)
- 6から反射した光エネルギーの焦点を調節する部分。ここが回転し可動することでライトセイバーの光刃の長さ、強度、発光温度を調節できる。なお、無くても使用は可能だが、光刃の長さは固定される。
- エネルギー誘導ゲート(Energy gate)
- 4から発した光エネルギーを3へ反射する。
- ディアチウムパワーセル(Diatium power cell)
- ここから発せられたエネルギーにより、クリスタルが発光する。
- 不活性パワー絶縁体(Inert power insulator)
- ライトセイバーの外側と内部の間にあり、光刃を発する箇所以外は全てこれに覆われている。ライトセイバーは起動に関係なく常時、7からエネルギーが発せられているため、これが無くして握ることは不可能である。
- パワー渦動リング(Power vortex ring)
- 7を覆うように内蔵されており、常にエネルギーが流れている。
[編集] 型(フォーム)
また、ライトセーバーの戦闘の型(フォーム)があり、ジェダイの歴史と共に無数に編み出され、後のジェダイ達はこれらを七つのフォームとして体系化しており、クローン大戦の頃には以下の七つになっている。また、フォームを使うジェダイによって自分の弱点などを補う形で、原型となるフォームに改良を加えたフォームがある。
- シャイ=チョー:ヤヴィンの戦いから2万5千年前にジェダイの武器がフォースを染み込ませた金属の剣からライトセーバーに移り変わった時に編み出されたもの。攻撃、防御、それら含めた練習法といった基本技が全て集約された最もシンプルなフォームで、若いジェダイやパダワンは、このフォームを初めに訓練する。完全に習得すれば無駄のないフォームであるため、熟練したジェダイ、ジェダイ・マスターでも使用する者がいる。基礎に重点。
- マカーシ:ライトセーバー対ライトセーバーの戦いのために編み出されたフォーム。シスの暗黒卿が主に使用、剣術に重点。ジェダイとしては、シスが滅んで以降、戦いに使用する相手がいないため、習得する意味が薄くなっていた。なお、師と弟子によるライトセイバーの練習稽古には使用されることはあった。ドゥークー伯爵はこのフォームを好んで使用する。(マカシとも表記する)またジェダイを憎むシスはジェダイとの戦いを想定し、このフォームを徹底的に修練し更に発達させ強力な剣術を編み出している。
- ソーレス:レーザーを偏向させる訓練の中で生み出され、防御を重視したフォーム。武器の主流が銃へ移行すると共にジェダイの中でも広まった。集団戦にも通用し、対ドロイドであれば包囲されても十分通用する。オビ=ワン・ケノービなどが主に使用、防御に重点。弓を引くような独特の構えが特徴。(ソレスとも表記する)
- アタール:全七種の中で最もアクロバティックなフォーム。全身の柔軟性とフォースを使い、敵の攻撃をかわす。ヨーダ、ダース・シディアスが主に使用、飛び跳ねが特徴。体術に重点。
- シエン:ライトセーバーと力による攻撃に集約している。ダース・ベイダー(アナキン・スカイウォーカー)が主に使用、力強い剣の振りが特徴。攻撃に重点。
- ニマーン:上記の1から5までのフォームを組み合わせ、バランス良く発展させたもの。多くのジェダイの騎士が使用していた。総合力に重点が置かれているが、呑み込みの早い者でも習得するのに最低10年は掛かる。しかも集団実戦に不向きであったため、クローン大戦の初戦であるジオノーシスの戦いではこのフォームを使っていたジェダイがほぼ全員戦死している。ただし、1から5のフォーム使用者のサポートには向いているようである。
- ジュヨー:習得の難易度がもっとも高く、ライトセーバーにおける戦闘技術が高いジェダイだけが習得し、制御しうる究極のフォーム。フォースのダークサイドに肉薄するため、自分が飲み込まれかねない危険な技術である。メイス・ウィンドゥが主に使用し、彼は強力な剣技「ヴァーパッド」を生み出している。
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- ヴァーパッド:メイス・ウィンドゥによって編み出されたジュヨーの派生型。1対1を前提にした短期決戦のフォームで、多勢相手また長期戦には不向きである。自らが持つ力を最大限に引き出し、目に見えない速さで連撃を繰り出し攻撃する。ジュヨー以上に危険なのは、力を最大限に発揮するために戦闘による生死のスリルと興奮を心から楽しむことに身をまかせ、心の闇を開放し一体となることが必要である。ヴァーパッドは、光と闇の境界線"グレーゾーン"にあるフォームと言える。制御には高度な戦闘技術以外に、強靭な精神力と信念が必要。習得に失敗した者は破滅して死するか、ダークサイドに堕ちてしまう。生きて習得したのは、メイス・ウィンドゥのみ。他の習得者としてウィンドゥの弟子デパ・ビラバ、ヴァーパッドの共同開発者ソーラ・バルクがいるが、両者とも後にダークサイドに堕ちてしまっている。なお、アナキン・スカイウォーカーは、自然と似たフォームを使用していたとされる。ちなみに、フォームの名前は惑星サラピンの月にいる獰猛で7~13本の鋭い触角を持つ獰猛な捕食動物の名前から。
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[編集] 小道具としてのライトセーバー
エピソード4のルークとダース・ヴェイダーのライトセーバーのプロップ(小道具)は、古いカメラ用フラッシュの本体部品を使って製作されている。そのため一部のレプリカメーカーは「フラッシュのレプリカ」と称してルーカスフィルムの承認無しで販売している。
またエピソード6で使用されたヴェイダーのライトセーバーのプロップは現在スミソニアン博物館に所蔵されている。
光刃の表現は、エピソード4では光反射性のテープを貼り付けたりモーターで刀身部を廻してブレを表現したりする手法が試みられたが、結局はロトスコープで1コマずつ光刃を描き込み合成する手法が主に採られている。これはエピソード1~3でも道具がデジタルになっただけでやっている事は同じである。ちなみにエピソード1~3では刀身のアルミ棒に破片飛散防止のビニルコーティングを施した物を使用したが、あまりの剣劇の激しさに撮影中は1日10本ものペースで交換していたと言われている。
独特の動作音はモーターの回転音などを加工して作られている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Lightsaber.Web
- LIGHTSABERS
- 光剣関連専門用語辞典
- Vader Light Saber-ライトセイバーの仕組み