プロップ
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プロップ (prop) とは、本来映画や演劇で使われる「小道具」の意味であるが、通常は主に映画の特殊撮影に用いる縮尺模型の事を指す。
撮影に耐える為にある程度の強度が求められ、撮影時にプロップを支える支柱(あるいはワイヤー等)を装着できる必要がある。また爆発などのエフェクトを表現するためのギミックが仕込まれる事が多い。
実在の車や兵器などでは市販のプラモデルを改造して使用する事もある。またSF映画に登場する架空の宇宙船などのプロップの細部はプラモデルなどの部品を流用して作られる事が多く、『スター・ウォーズ』などの有名な作品ではプロップに使用されている部品の出所の研究がマニアの手で行われている。
近年はCGの導入により製作される事は少なく、製作されてもギミック類は廃されて後からCGでエフェクトが合成される事がほとんどである。例えば前出の『スターウォーズ』にて利用されたライトセーバーは初期の頃こそアルミ棒に後から手作業でフィルムを加工して光線剣のイメージを作っていたが、後の作品ではCGが利用されている。
[編集] 銃器のプロップ
銃器の場合は、現実にある別のものをそのまま利用する場合もある。例えば映画『ロボコップ』では、一作目にはベレッタM93Rを改造して専用のプロップを制作・利用していたが、2作目以降(同テレビシリーズを含む)は日本の玩具メーカーの発売していたロボコップ専用銃「オート9」の市販モデルが余りに仕上がりが良く、映画用プロップよりも遥かに扱いやすかった事から、発砲の無いシーンでは主にこれを利用していたという逸話もある。
このほか実用兵器では絶対にありえない組み合わせも映画の都合(演出)のために行われる事もしばしばで、航空機や車両に搭載されるべきガトリング砲(重量があり反動も大きい)を手持ち火器に改造してしまったものもあり、様々な作品で登場、ないし二次的にアイデア流用された手持ちガトリング砲が方々で登場、更にはマニア向けのエアソフトガンも開発・発売されるに至っている。
[編集] 乗り物のプロップ
乗り物のプロップでは、様々な映画で合成技術の発達と共に利用されるようになった。これらでは多くの場合、乗っている役者を模した人形が乗っている事も多く、アップの際にはこの部分を実写映像と差し替えて利用される。このためプロップ製作者がジョークを仕込むことも稀に行われ、『スターウォーズ』シリーズ劇場公開第一作目(1977年)冒頭に登場する宇宙船「ブロッケードランナー」操縦室右手(向かって左側)にスターウォーズの極小ポスターが貼ってあることが知られている。