ハーフエルフ
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ハーフエルフ(はーふえるふ)は、ファンタジー小説やテーブルトークRPGなどの異世界を舞台としたファンタジー作品に登場する種族であるエルフと、人間との結びつきから生まれる混血者である。 J・R・R・トールキンの指輪物語の成功による異種族エルフの一般化と、ハーフエルフを主人公としたドラゴンランスの成功を経て、ハーフエルフの存在はファンタジー作品ではごく一般的なものとなった。
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[編集] 概要
ハーフエルフはエルフと人間の混血である。エルフがどのような存在であるかは作品によって異なるが、ハーフエルフはどの作品でも、人間の活力とエルフの洗練を、不完全ではあるがそれぞれ受け継いでいる。
ハーフエルフの原型は、J・R・R・トールキン作のファンタジー小説『指輪物語』(1954年)に登場する、エルロンドをはじめとする半エルフである。『指輪物語』の半エルフは種族として固定されたものではなく、エルロンドらはエルフと人間のいずれの運命を選ぶかの選択を行い、エルフの運命を選んだものは不死性を得ることとなった。
[編集] ダンジョンズ&ドラゴンズ
[編集] タニス・ハーフエルヴン
後発の作品で模倣されたエルフは、トールキンの半神的なエルフとは異なる、より人間に近い種族になった。同様にハーフエルフもより人間に近い存在になり、種族のひとつとなる。1974年に発売されたテーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』 (D&D) シリーズでは、人間・エルフ・ドワーフなどの各種族に混じってハーフエルフが位置づけられているのが、種族としての最初のハーフエルフである。
アドバンストD&Dをもとに、1984年から出版が開始されたドラゴンランスシリーズでは、主役となるタニス(タンサラス)がハーフエルフである。ドラゴンランスにおけるハーフエルフは、人間とエルフの種族間での戦争の際に、人間の男がエルフの女を襲った結果生まれたものであり、人間からもエルフからも疎まれている種族であるとされている。
[編集] タニス以降の展開
2006年現在、アメリカ合衆国及び日本においてダンジョンズ&ドラゴンズのサプリメント「宿命の種族」が刊行されている。ここでは人間とエルフの二つの要素を自分の中で融合させ、あるいは属する社会と反対の側の性質を強くあらわすことによって二つの社会の橋渡し役を果たそうとするハーフエルフの姿が描かれている。
ハーフエルフだけからなる共同体についても触れられており、一代限りの変異種に近かったハーフエルフが種族として固定された、あるいはされつつある状況が描写されている。
[編集] フォーセリア世界
ソード・ワールドRPG・ロードス島戦記などの舞台であるフォーセリアでは、ハーフエルフは以下のように設定されている。
[編集] 概要
フォーセリアにおけるハーフエルフは人間に混じると多少華奢であることから、エルフに混じると人間に似て丸みを帯び、しかしわずかに尖っていて大きい、あるいはエルフと同じくロバのようだがやや短い耳を持つことでそれと分かる。寿命は200年程度と人間よりは長いが、1000年の寿命を持つとされるエルフ、無限の寿命を持つハイエルフには遠く及ばず、人間同様強く寿命を意識する存在である(「西部諸国ワールドガイド」ベルダインの項目を参照)。フォーセリアには、耳と同時に黒い肌を受け継いだダークエルフとのハーフも存在している(ソード・ワールドRPGリプレイ第2部「魔境の支配者」参照)。
ソード・ワールドRPGにおいては、人間とエルフの長所を共に受け継ぐ存在として設定されている。すなわち、知力はエルフと変わらず、筋力は人間に近くあるのである。職業選択においてはエルフ譲りの高い知力を活かして魔術師、エルフ社会で育った場合初期技能として獲得できるシャーマン技能を活かし精霊使いになることが最良の道とされ、戦士として身を立てることは不可能ではないが筋力の低さから困難であるとされている。人間社会に育った場合、プリースト技能を取得することも可能であるため、司祭になるケースもままある。
[編集] 存在としてのハーフエルフ
フォーセリアのハーフエルフはダークエルフなどの妖魔と異なりあからさまな排斥の対象でこそないものの(ただしダークエルフとのハーフはファンドリア以外ではダークエルフ同様に排斥の対象である)、多くは白眼視を受けて育ち、屈折した部分や影のある性格を持つことになる。ハーフエルフへの偏見はエルフ、人間いずれの社会にも存在するが、エルフ社会の方が人間社会よりも格段に強く、ロードス島伝説RPGリプレイのティエルのようにあからさまな蔑視・迫害を受ける例が少なくない。このため、エルフ社会に育った多くのハーフエルフは森に留まるよりは人間社会で生活することを選ぶ。存在として稀なハーフエルフが冒険者に多く見られるのはこうした経緯によるものである。もっとも、迫害と縁なく育ったハーフエルフも多く見られる。
[編集] 展開
1990年代初頭まではソード・ワールドでも屈折したハーフエルフの例が多かったが、スチャラカ冒険隊のアリシアンひいてはリプレイ第1部のGMにしてソード・ワールドRPGアドベンチャーの執筆者でもある山本弘の影響でかお気楽である、明朗快活であるなど従前のイメージとは異なる性格付けをされることも増えてゆき、1993年から1996年まで企画が展開されたソード・ワールドRPGアドベンチャーではハーフエルフの武闘家ボウイというキャラクターも登場した。近年では新ソード・ワールドRPGリプレイのマウナ・ガジュマ、新ソード・ワールドRPGリプレイNEXTのマロウのように社会的困難に直面しつつも明るさを失わないハーフエルフという、両者の折衷型といえる性格付けをなされたハーフエルフも現われている。
[編集] ハーフエルフと人間やエルフの交配について
ソード・ワールドRPGにおいては、ハーフエルフと人間、ハーフエルフとエルフの中間は存在しないことが明記されている。人間の血液型のA型とB型のように、ハーフエルフの子供は人間・エルフ・ハーフエルフのいずれかとなる。
初期の「ソードワールドRPGアドベンチャー」で山本弘は母親がハーフエルフであるサラサ・アディについて「エルフの血のせいか老化が遅い」という記述を行い物議をかもしている。この一件は「サラサは耳の尖った人間」という形で決着し、これが契機となってフォーセリアでも「クォーターエルフは誕生しない」ということが結論付けられた。魔法戦士リウイにおいても、主人公リウイの母親はハーフエルフであるとされているが、リウイにエルフの血は見られない。
[編集] 関連項目
- 指輪物語
- 指輪物語ロールプレイング
- ファイティング・ファンタジー
- マルボルダス
- ローズ・トゥ・ロード
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