ソード・ワールドRPGリプレイ第1部
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ソード・ワールドRPGリプレイ第1部(そーどわーるどあーるぴーじー りぷれいだいいちぶ)は、『月刊ドラゴンマガジン』1988年11月号に初出し1989年から1990年まで連載された、テーブルトークRPG (TRPG) 『ソード・ワールドRPG』のリプレイ作品。全3巻9話。リプレイ第1部、スチャラカ冒険隊編とも称される。新装版はスチャラカ編と正式に銘打たれた。ゲームマスター (GM) は山本弘。イラストレーターは草彅琢仁。
プレイヤー・キャラクター (PC) は、ザボ=ン、ケッチャ、ユズ、ディーボ、アリシアン、ケインの6人。
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[編集] 概要
後にグループSNEの代表作となるTRPG『ソード・ワールドRPG』のリプレイシリーズの第1作である。『ロードス島戦記』で好評を博した「リプレイ」というスタイルを「新製品の紹介のため」に用いた、恐らく日本のTRPG史上はじめての雑誌掲載作品であった。『月刊ドラゴンマガジン』1988年11月号に掲載された「呪われた地下神殿」(後、「冒険者たちの序曲(プレリュード)」に改題)は、当初はその1回だけで終了する単発シナリオであったようだが、同誌1989年2月号から同じGMとPC(プレイヤーも同じ)によって正式に雑誌連載が開始された。
決して英雄ではない「街の便利屋さん」風の明るく等身大なキャラクターたちは読者からの人気も高く、気軽に楽しめるソード・ワールドのカラーや方向性を決定付ける一作となった。ほかにも、掲載誌がゲーム専門誌ではなくライトノベル雑誌であって、読者に「読み物」として受け入れられたこと。すでに小説として人気を獲得していた『ロードス島戦記 灰色の魔女』と同じフォーセリアを舞台としており、読者層が重なっていたこと。1988年当時はコンピュータRPG『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の発売年であり、社会にロールプレイングゲーム (RPG) を受け入れる素地があったことなども人気を後押ししたものと思われる。
この『ドラゴンクエスト』に代表されるコンピュータRPGの隆盛は、作品のシナリオにも影響を与えている。当時、特にコンピュータRPGのモンスターと言えば「とにかく倒して経験値を稼いでキャラクターを成長させるためのもの」との認識が一般的になりつつあった時代であり、GMの山本はこの風潮を憂えていた。そのような時代へのアンチテーゼとして生まれたのが第6話『モンスターたちの交響曲(シンフォニー)』である。この試みは概ね成功し、第6話は全9話中1、2を争う人気作となった。もっとも、この作品によって「好印象のモンスター、悪印象のファリス神官」が流行したことは、長らく制作者側の悩みの種ともなった。
作品のスタイルとしては、特に第1話については地の文がやや多めである。第1話の発表時はまだルールブックが発売されておらず、ゲームシステム面の説明が多くなったためである。なお、この作品で使用されたプレイヤーの発言が「 」(括弧)で書かれ、キャラクターとしての台詞がさらに『 』(二重括弧)になるという記述スタイルは、長くソード・ワールドRPGリプレイシリーズの記述スタイルとして使用されたが、後に清松みゆきが見づらいと指摘している(アンマント財宝編『大迷宮に勇者が挑む』より。このスタイルはその次のシリーズである新ソード・ワールドRPGリプレイ(ヘッポコーズ編)から改訂された)。
現在まで続く『ソード・ワールドRPG』普及の牽引役の1つとして、さらに日本のTRPG出版業界における「新製品をリプレイで紹介し、商業ベースの単行本として発売する」という日本独自の慣習を生み出した作品として、大きな影響力を与えた。
[編集] あらすじ
フォーセリアの冒険者たちが「冒険者の店」という名の酒場に集まるように、GMと6人のプレイヤーはとある合宿所の一室に集まっていた。6人の個性的なPCがその場で作成され、装備を揃え(キャラクターメイキング)、セッションは開始された。舞台はフォーセリア西部諸国にある「大きな街」(その後、「リファール」という西部諸国の都市国家に正式決定)。彼らの最初の仕事は「大掃除」。すなわち放棄された古い寺院に棲み付いた妖魔ゴブリンの退治。しかし、中にいたのはゴブリンだけではなかった…!!
[編集] 登場人物
[編集] スチャラカ冒険隊
当シリーズのPCたちの通称。名前の由来は第6話で発したアリシアンの台詞から。詳細はスチャラカ冒険隊を参照。
- ザボ=ン
- ケッチャ
- ユズ(ユージィ・マヌエル)
- ディーボ・レンワン
- アリシアン
- ケイン・クレンス
[編集] ノンプレイヤーキャラクター
GMが操作するキャラクター。NPC。
- リュキアン・ラジール - 「夢見る都」リファールの王女。19歳(新王国暦521年当時)。
- ジェライラ-リュキアンの側近の騎士。
- ドルコン-盗賊都市ドレックノールの支配者。盗賊ギルドのギルドマスター。
- バーナス
[編集] 作品一覧
- ソード・ワールドRPGリプレイ集(旧版)
- 1 『盗賊たちの狂詩曲(ラプソディ)』 ISBN 4-8291-4238-3
- 第1話 冒険者たちの序曲(プレリュード)
- 第2話 盗賊たちの狂詩曲(ラプソディ)
- 第3話 ミノタウロスの輪舞曲(ロンド)
- 第4話 王の都の小夜曲(セレナーデ)
- 2 『モンスターたちの交響曲(シンフォニー)』 ISBN 4-8291-4243-X
- 第5話 悪党に捧げる鎮魂歌(レクイエム)
- 第6話 モンスターたちの交響曲(シンフォニー)
- 3 『終わりなき即興曲(トッカータ)』 ISBN 4-8291-4250-2
- 第7話 氷原に響く交声曲(カンタータ)
- 第8話 暗殺者の譚詩曲(バラード)
- 第9話 終わりなき即興曲(トッカータ)
- 1 『盗賊たちの狂詩曲(ラプソディ)』 ISBN 4-8291-4238-3
- ソード・ワールドRPGリプレイ集スチャラカ編(新装版)
- 1 『盗賊たちの狂詩曲(ラプソディ)』ISBN 4-8291-4476-9
- 2 『モンスターたちの交響曲(シンフォニー)』 ISBN 4-8291-4481-5
- 3 『終わりなき即興曲(トッカータ)』 ISBN 4-8291-4482-3
- 小説
- 『スチャラカ冒険隊、南へ』 編/安田均・山本弘 ISBN 4-8291-2466-0
- 『スチャラカ冒険隊、南へ』 著/山本弘
- 『かくもささやかな凱歌(トライアンファル・ソング)』 著/葛西伸哉
- 『子供たちはくじけない』 著/友野詳
- 『真実の鏡』 著/中川政博
- 『見えすぎた目』 著/清松みゆき
- 『スチャラカ冒険隊、南へ』 編/安田均・山本弘 ISBN 4-8291-2466-0
上記のほか、『ソードワールドSFC2』のゲストキャラクターとして登場している。
[編集] 関連項目
- ソード・ワールドRPGリプレイ
- 1988 -1990
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- 先代:
- -
- 次代:
- リプレイ第2部