歌謡曲
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歌謡曲(かようきょく)とは、日本のポピュラー音楽の1つのジャンル。ケースにより、いくつかの意味で使われるが、おおむね以下のように考える者もいる。
- 広義では、日本のポピュラー音楽全般のうち、歌のあるものを指す。従って、器楽曲(インストゥルメンタル)や、民謡などの純邦楽、童謡など子供向けに作られた楽曲(キッズソング)などは含まれないと考えられる。
- 狭義では、上の分類からさらにロック、フォーク、ジャズ、フュージョンなど欧米のポピュラー音楽の影響が薄い歌詞に重点を置いた音楽を指す。現在具体的には演歌やムード歌謡、戦前から昭和20年代の歌謡曲はクラシック的な歌曲、欧米の舶来のポピュラー音楽のカヴァー曲など、広いカテゴリーを持っている。演歌とみられがちな古賀メロディーもその初期はマンドリン・ギター音楽の研鑽から作られたものが多く、洋楽調の曲が多かった。
広義の意味では、日本の歌のあるポピュラー音楽のほとんど全て(演歌もJ-POPも)が含まれると見られる。狭義の意味では、歌謡曲に対比される存在として演歌やニュー・ミュージックやJ-POPなどのジャンル(言葉)も生まれたが、それぞれを明確に分類することが困難なのも事実である。
J-POPなどの言葉が流布された1990年代以降、歌謡曲という言葉はあまり使われなくなってきている。「J-POPと歌謡曲に本質的な違いはなく、言葉の言い換えに過ぎない」、あるいは「歌っている歌手や所属するレコード会社がJ-POPだと言えばJ-POP、歌謡曲と言えば歌謡曲、という程度の違いでしかない」と見る向きもある。
[編集] 「狭義の歌謡曲」の分類
- 服部良一、吉田正などの洋楽的要素を取り入れた歌謡曲。ただし歌謡曲のほぼ全ては洋楽の影響を受けており、使用する楽器や音階などが純邦楽調の歌謡曲というのは非常に少ない。
- 演歌については演歌を参照。なお若年層の一部に「演歌=日本の古典的な音楽」という認識が存在するようだが、演歌と呼ばれる曲のほぼ全ては西洋音楽の影響を受けており、江戸時代以前の純邦楽とは異なることに注意が必要。
- ムード歌謡:曲調からは演歌ともいえず、むしろラテン、ハワイアン、ジャズなどの洋楽的要素を取り入れて、大人の雰囲気を漂わせたような作品。例えば、フランク永井、石原裕次郎の作品など。ただし演歌などと明確に分類することは困難。
- J-POP:特に歌唱力を求められない歌は、卑下の意味を込めて「歌謡曲」と呼ばれることがあるという意見がある。カラオケで頻繁に歌われる曲など、誰でも歌える、メロディーよりも歌詞に重きを置いた曲など。ただしJ-POPには歌謡曲を超える歌唱力が必要なのかどうかは全く定かではなく、J-POPが歌謡曲より上位の存在であるなどという認識が社会的に広く存在するのかどうかも全く不明。またJ-POPのほとんどの曲はカラオケの人気曲であり、頻繁に歌われる=歌唱力を求められないという図式に正当性があるかどうかは全く不明で、カラオケで頻繁に歌われるかどうかは単にヒットしたかどうかの問題でしかないという意見もある。J-POPが「歌詞よりメロディーを重視」しているのかどうかも何ら確証がない。「J-POPと歌謡曲は何がどう違うのか」という疑問に答えられる明確な定義は存在しない。
- アイドルによる歌謡曲については、アイドル歌謡曲を参照。
- コミックソング:お笑い関係のタレントによる作品。例えば、とんねるずによる作品の一部など。
- その他クラシックの格調と気品がある楽曲。藤山一郎のような声楽家、淡谷のり子、二葉あき子ら音楽学校出身者らが歌ったもの。
[編集] 歌謡曲から除外されると思われるもの
- アニメソングについては、アニメソング、アニソン歌手を参照。ただし、一部のアニメソングは、アニメソング専門の歌手ではなく、一般の歌手が歌うことがあり、その場合には、歌謡曲に含まれることがある。
- 特撮など子供向け実写TV作品の主題歌、挿入歌等。例えば、ウルトラマンシリーズの主題歌、仮面ライダーシリーズの主題歌など。
- 童謡は、通常除外されるが、一般の歌手が歌った場合には、歌謡曲に含まれることがある。