ターミナル駅
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ターミナル駅とは、(鉄道において)起点・終点となる駅のことである。終点、端末を意味する単語「ターミナル」(terminal) に由来する。
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[編集] 概要
本来的には路線の末端にある駅を意味する語であるが、一般に「ターミナル駅」と言う場合にはそのうち都市にある駅(主に路線の起点駅)を指す場合がほとんどで、逆に都市から離れていく路線の末端にある駅は多くの場合「終着駅」と呼ばれる。これは当初鉄道の路線が都市間を結ぶものから建設され、ターミナル駅と呼ばれるのは路線の末端、つまり主要都市にある規模の大きな駅だったことから、単語の意味と関係なくターミナルは都市にあるものという概念が定着したためと考えられる。その後鉄道は広く普及し、都市から郊外へと延びる路線も多数建設されているが、末端の駅が小規模な場合には定着した「ターミナル駅」の概念とは異なり、それを表す語として同義語であるはずの「終着駅」が専ら使われるようになっている。ここでは日本語的な概念である「都心型の」ターミナル駅について扱っていきたい。
なお、日本ではもともと行き止まり式のターミナル駅は少なく、既存の鉄道と地下鉄との相互乗り入れなどによりさらにその数を減らしてきている。ターミナルと呼ばれるのは都市にある規模の大きな駅が中心と言うこともあり、たとえ「起終点」としての機能を持たなくとも都市部に立地し、複数の鉄道路線が集まり乗り換えの拠点として働いている駅をターミナル駅と呼称することがある。しかし、これについては本来的な意味から完全な誤用である。
鉄道が陸上交通の主役であった時代にはターミナル駅はその都市の玄関口としての役割を果たし、別れや旅立ち、あるいは新たな出会いの場として強く印象に残る場所であった。特に都市間を連絡する長距離列車を主体とすることが多かったヨーロッパの鉄道では映画や絵画の題材ともなり、タイトルにも使用される(イタリア映画:Stazione Termini、邦題「終着駅」)など、芸術で叙情的に語られる対象ともなっている。
[編集] 私鉄ターミナル
阪急電鉄阪急梅田駅は行き止まり式の櫛形ホームが並ぶ文字通りのターミナル駅で、欧州駅の雰囲気を模した造りになっている。創業者の小林一三はここにデパートを造って郊外の沿線住民を集め、消費を拡大する仕掛けを造った。こうした収益の増加を図りデパートを併設した形のターミナル駅を特に私鉄ターミナルと呼び、その例として新宿駅(小田急・京王線)、渋谷駅(東急)、池袋駅(東武・西武)などがある。東京では関東大震災前後、郊外への開発が進むと乗降客が集中し、駅前広場の築造など整備が行われた。郊外住民にとっては休日に買い物をしたり、食堂でランチを楽しむ場でもあった(現在ではこれらの駅も路線の延伸や相互乗り入れが進んでいるため、本来の終着駅のイメージとはやや様変わりしている)。
[編集] 機能
ターミナル駅は多角的な交通ファシリティーを備え、多方面から集まる旅客をさらにそれぞれの目的地に応じて別のファシリティーへと案内し振り分ける機能を有することが求められる。特に、首都や主要都市の中心になる駅は敷設時からその駅に集まるよう計画的に交通ファシリティーを整備しており、ターミナル駅として充実した機能を有している場合が多い。
乗り換え、荷物の積み替えが発生するため、乗客や荷物を円滑にさばくための機能が用意されている。乗り換えの待ち合わせのための待合設備、荷役、荷物の保管機能、列車、バス等の車庫機能などが用意されている。また、鉄道とバス・タクシー等の乗り換えに便利なように、駅前広場が整備されていることが多い。
[編集] 各国の代表的なターミナル駅
[編集] 日本
ここでは特に代表的な駅について解説する。他の主なターミナル駅については日本の主要ターミナル駅一覧を参照。
- 東京駅
- 東海道本線、東北本線、総武本線と3本の本線、さらに東海道新幹線、東北新幹線の起点となる駅(以前は中央本線も起点としていた)であり、1日あたり4,000本という発着列車本数は日本最多を誇る。また、東京地下鉄東西線大手町駅が至近に位置し、乗換可能な駅として案内されている。
- 首都の玄関口という位置づけで設置された駅だが、通過する交通の利便を考慮し、欧米のターミナル駅で多用される頭端式ホームをもつ行き止まり型の駅とはされなかった。かつて東京駅へ乗り入れていた東北本線の線路は新幹線建設の際に一部が撤去されたが、現在この線路を復活させ東北本線と東海道本線の直通運転を行う東北縦貫線計画が進められており、近郊電車のターミナルとしての役割にも変化が予想される。
- 新宿駅
- 中央本線をはじめとする JR 各線の在来線長距離列車が多数発着する。また京王電鉄と小田急電鉄の一大ターミナルとなっており、私鉄ターミナルとしての面影も残る。乗り入れ各線を合わせた利用客数は1日あたり347万人で世界最多。
- 大阪駅・梅田駅
- 名称は異なるが実質的に同一の駅であり、東梅田駅、西梅田駅、北新地駅も隣接する。いずれも利用客の多い駅だが、大阪駅は主にJR列車の、梅田駅は私鉄列車のターミナルとして機能している。これは大阪駅を発着する近郊列車は大阪駅の前後を通して運転される場合が多いことによる。
- 大阪駅は始発列車であっても近隣の車両基地(宮原総合運転所)から列車が回送されてくるため「ターミナル駅」としての雰囲気はあまり無いが、阪急電鉄と阪神電鉄の梅田駅は頭端式ホームが並び、私鉄ターミナルの姿を留めている。特に阪急梅田駅はホーム10面、線路9線に及ぶ国内では私鉄最大の駅である。
- 博多駅
- 山陽新幹線の終点であり、九州地方の中心地である福岡と島内各地を結ぶ長距離列車や近郊列車が多数発着する。現在 JR 在来線特急列車の発着本数が日本一多い駅となっている。
- 行き止まり型の駅ではないため近郊列車は前後を通して運転される場合も多いが、新幹線の終点ということもあり特急列車は博多駅を起終点とするものが多い。ただし、今後は九州新幹線の乗り入れが予定され、在来線特急の一大ターミナルという状況にも変化が見込まれる。
[編集] 台湾
- 基隆駅(西部幹線始点)
- 七堵駅(西部幹線の多数列車の始発駅)
- 松山駅
- 新竹駅(台湾鉄路管理局内湾線)
- 彰化駅
- 嘉義駅(阿里山森林鉄道)
- 高雄駅(西部幹線の多数列車の終着駅)
- 枋寮駅(西部幹線終点)
- 台東駅
- 花蓮駅
- 蘇澳駅
[編集] 韓国
- ソウル駅(KTX・京釜線・地下鉄1号線・4号線)
- 清涼里駅(中央線・京元線・京春線・地下鉄1号線)
- 龍山駅(KTX・京釜線・湖南線・全羅線・長項線)
- 大田駅(KTX・京釜線・忠北線・地下鉄1号線)
- 東大邱駅(KTX・京釜線・大邱線・中央線・東海南部線・地下鉄1号線)
- 釜山駅(KTX・京釜線・地下鉄1号線)
- 釜田駅(東海南部線・慶全線)
[編集] イギリス
- ロンドン
- キングス・クロス駅
- ユーストン駅
- パディントン駅
- ウォータールー駅
- チャリング・クロス駅
- ヴィクトリア駅
- リヴァプール・ストリート駅
(この部分、stub)
[編集] フランス
[編集] ドイツ
[編集] スペイン
[編集] ポルトガル
- リスボン
- サンタ・アポローニャ駅
- ロシオ駅
[編集] ウクライナ
[編集] 関連項目
- 2005年2月に交通博物館で開催された「東京のターミナル形成史」展では、旧新橋駅(日本初のターミナル)、上野駅(東北線)、新宿駅、渋谷駅、旧飯田町駅(中央線)、池袋駅、両国駅(総武線)、旧万世橋駅(中央線)、東京駅が取り上げられた(以上、開業順)。
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