サファリラリー
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サファリラリーとは、FIAが主催する世界ラリー選手権(WRC)のうち、アフリカのケニアで行われるラウンドに付けられる名前である。
初開催は1953年で、歴史の長いラリーである。RACラリー、ラリー・モンテカルロと共に「世界三大ラリー」と称されていた。 5日間で5000kmの未舗装路を走ることもあったこのラリーは、「カーブレイカーラリー」との異名をとるWRCのなかでもひときわ過酷なイベントであった。 しかし時代が進むにつれ日程も距離も短縮され、2002年は3日間で2400km弱であった。イベントの特殊性や開催地の遠さがコストダウンの流れに逆行するとして、この年を最後にWRCイベントからは外されている。
このラリーには、自社製品の耐久性の高さをアピールするため、日本メーカーはこぞって参戦した。日産やトヨタが好成績を修め、現在もWRCで活躍するスバルや三菱も参戦しており、パリ・ダカール・ラリーと並び(WRCという大会以上に)日本での知名度は高く、映画の題材などにもなった。
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[編集] イベントの特殊性
- 他の多くのWRCイベントと異なり、閉鎖区間(スペシャルステージ)が存在しない。コースの閉鎖が事実上不可能であるためである(年によってはSSS的に設定されたことがある)。代わりにコンペティティヴ・セクション(CS)と呼ばれるハイアベレージ区間が設定されていた。
- スペシャルステージがないため、ドライバーには耐火スーツやグローブ、ヘルメットの装着義務がない。車内温度はときに50℃を超えるこのイベントで、ドライバー達はTシャツ・短パンにヘッドセットをしただけの姿で競技をしていた。
- サービスパーク制導入以前の、ほぼどこででもサービスができた時代、ワークスチームではイベントごとにサポートカーなど含めて数十台の車両を用意しなければならなかった。このイベントは開催地が遠いのみならず交通の便が悪いため、輸送の負担を少しでも軽減するため競技車両と同じ車両でレッキ(事前の下見走行)ができた。他イベントではレッキに競技車両と同一仕様の車両を使うことは許されない。
- 「サファリ仕様」と言われる大幅な改造が許された。野生動物との接触時にラジエーターを壊さないためのアニマルバー(ラジエーターは通常車両前部に置かれ、壊れることは水冷エンジンにとってはリタイアを意味する)、雨季の開催では泥の川と化すコースで、エンジンに水を吸い込まないためのシュノーケル(吸気口を屋根まで伸ばせる)、スペアタイヤを通常より多く積むことができる、など多岐にわたる。他のグラベルイベントでは有効であるパンクレスタイヤの一種ムースタイヤは、高温になり内圧が上がりすぎるためサファリでは使用できなかった。
- 70km以上も直線が延々と続く名物セクションがあり、WRC各イベント中でもっとも最高速が必要とされるのはこのイベントであった。最高速は1986年のトヨタ・セリカTCT(TA64)のマークした250km/h以上とされる。サファリがWRCから外された2003年以降、200km/h以上で走り続ける必要がなくなった各ワークスは、ダウンフォース増強などによるコーナリングスピード向上に走った。通称「本棚ウィング」の始まりである。
[編集] スバルの参戦
現在、WRCの主要マニュファクチャラーとなっているスバルだが、その形成にはサファリラリーへの挑戦が大きく関わっている。 挑戦初年度の1980年は、FF、1600ccの「スイングバックSRX」を平林武/カーン組が総合16位、グループ1優勝に導き、レオーネ4WDRXのデビューとなった1983年には、高岡祥郎/砂原茂男組が、当時の日本人WRC入賞最上位となる、総合5位でフィニッシュした。
その後、1988年にスバルのモータースポーツ部門、STI(スバルテクニカインターナショナル)が設立され、1990年からレガシィRSによるWRC本格参戦がスタートした。ラリーカーの開発・チーム運営は、アリ・ヴァタネンと組みコドライバーとして世界タイトルを獲た経験もあるデヴィッド・リチャーズ率いるプロドライブが主に担当している。
1993年にはレガシィではなく、グループA仕様のヴィヴィオ4WDを走らせた。チームはコリン・マクレーには「とにかく他チームの前を走れ」、地元ドライバーで、しばしば各社ワークスの助っ人ドライバーとしてサファリを走ったパトリック・ジルには「なにがなんでも完走しろ」とオーダーを出した。マクレーは車を壊してリタイアとなったものの眼を見張るスピードを見せ、ジルは見事完走しクラス優勝を遂げた(他にグループAクラス5車両は出走していないため、完走すなわちクラス優勝である)。
[編集] 関連項目
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