ラリー
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ラリーとは
ラリーの起源は中世の騎士が行っていた騎馬競争だと言われている、伝令などのために戦場から城に戻るため、普通の街道や山中を馬で走るための訓練から競技に発展した物だと言われている。そして馬から自動車に移動手段が変わった現代でも、自動車によって行われている。
ラリーはレースと異なり基本はタイムを競うものではない。主催者側から与えられたルートマップ(コース図)をもとに、指定された速度どおりにチェックポイントを通過し、そのプラスマイナスの誤差が少ない者が勝つ。
競技車輌と、オフィシャル側の計測車輌とのトリップメーター誤差(全ての車両のメーターが同じに出るとは限らず、(タイヤの減り方や、空気圧等にもよる。)そのまま競技を行うと、車により距離=速度の違いが出てしまう。)を修正するために、スタート地点から一定距離にOMCP(オド・メーター・コントロール・ポイント)を設け、そこでのオフィシャル側の計測車輌との距離の誤差を修正係数として、以降の指示速度を修正する。
ただし、スペシャルステージと呼ばれる制限速度の無い区間(この区間の指示速度は無く、目標タイムは0秒。よって掛かった時間だけ減点と成る。)と、ハイアベ区間(ハイ・アベレージ区間・高速走行区間)は、もともと追いつけない指示速度の設定となるため、事実上のタイムトライアルになり、世界ラリー選手権やパリ・ダカール・ラリーなどは、リエゾンと呼ばれる移動区間以外は、すべてスペシャルステージのタイムトライアルである。
[編集] 指示速度の算出
ルートマップ上のOMCPの地点にはオフィシャルが計測したスタートからの距離が記載されている。この記載されている距離が例えば10.0kmであるのに対して、自車がスタートからこの地点まで来た時のトリップメーターの数字が11.0kmであった場合、修正係数は 11.0/10.0 即ち1.1となり、自車は指示速度に1.1を乗した速度で走る必要があるわけである。この修正係数及び指示速度の算出には古くは、筆算、計算尺、歯車式計算機などが用いられた。しかし、交通戦争などの社会事情からラリーへの風当たりが強くなるとラリーは指示速度が頻繁に変更される計算ラリーと呼ばれる形態に姿を変えて行き、簡単な算出方法が必要とされるようになった。この需要に答えたのが円盤と呼ばれるラリー専用の計算尺であった。これは、互いの角度を固定できる2本の針をもった円盤式計算尺で、まず一方の針をルートマップ上のOMCPの距離(先の例の場合 10.0)の目盛りに合わせ、もう一方の針を自車がこのOMCPまでに走った時点でのトリップメーターの距離(先の例の場合 11.0)の目盛りに合わせて2本の針の角度を固定する。その後、最初の針を指示速度の目盛りに合わせると、もう一方の針が指す目盛りの速度が、自車が走行すべき速度になるというものであった。しかし1980年代にトリップメーターと計算機が内蔵された専用のラリーコンピューターが出現し、これらの算出用具を一掃した。現在のラリー競技においては、ラリーコンピューターは必需品といえる。