はぐれ刑事純情派
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『はぐれ刑事純情派(-けいじ じゅんじょうは)』は、テレビ朝日系列で1988年から2005年まで17年間、毎週水曜日夜9時~10時に放送されていた刑事ドラマ。エピソードの一つが小説化(贋作画殺人事件)、また1989年には映画化もされている。
目次 |
[編集] 概要
山手中央警察署の刑事である“安さん”こと安浦吉之助が、上司や血のつながりのない2人の娘に小言を言われながらも、強い正義感と温かい心を持ち、苦しむ人達の事を常に考えながら捜査に当たっていく姿を描く。刑事ドラマにありがちな拳銃の携帯や発砲·格闘シーンがほとんどなく、概して“捜査を通じて、犯罪の裏にある人間の弱さ・愚かしさを的確に見抜く”様が描写される。キャッチコピーは「刑事にも人情がある。犯人にも事情がある。」、映画版では「無情の都会(まち)のハートボイルド」(≠ハードボイルド)。
1988年からレギュラーのドラマとしてスタートした。番組開始当初は「非情のライセンス」を彷彿とさせる作風で、安浦刑事のキャラクターもドライだった。
エピソードの面ではどこか矛盾かつ陳腐な展開が目立ったが、にも関わらず作品は安定した視聴率をマークし、刑事ドラマとしては「特別機動捜査隊」を超えるロングシリーズとなったが、同時に番組の長期化における設定の進展をスタッフが怠った為、終盤は現実味に欠ける展開となってしまった。
主題歌を歌っていたのは一貫して堀内孝雄。堀内自身もシリーズのいずれかの回(劇場版も含む)に被害者役、犯人役(1回だけ本筋とは関係ない傷害致死事件の犯人となった)以外の役柄で必ず一度出演し、好演していた。多くは出張捜査に出た安浦を支援する地元所轄の刑事役。
水曜9時の枠で半年ごとに「さすらい刑事旅情編」「はみだし刑事情熱系」など他の刑事ドラマシリーズと交替で放送された。また新春などにはスペシャルが放送され、若手刑事の殉職などはスペシャルで取り上げられるのが通例であった。
レギュラーの出演者は、安浦刑事を演じる藤田まことと横溝署長を演じる梅宮辰夫や川辺課長を演じる島田順司等は変化が無いが、若手の刑事は殉職や栄転によって頻繁に変わっている(新藤刑事が突如姿を消し、第2シリーズから浅野刑事に替わった事がこの習慣の始まり)。時代劇·現代劇で幅広く活躍する藤田まことの(現代劇での)代表作といえる長寿シリーズであった。
放送開始から18年、毎年新シリーズを放送してきたが、2005年4月から6月までの第18シリーズをもって終了した。「安浦刑事演じる藤田まことが70歳を超え、娘役松岡由美と小川範子が2人共30歳を超えているにもかかわらず、父親と同居中というシチュエーションに限界が来た。」というのが理由。第18シリーズまでの放映はスペシャル版も含めて全440回(通常版400回、スペシャル40回)にのぼっている。
2004年シーズンではこれまで2時間スペシャルとして放送してきた初回(7月7日)レギュラー編成として放送され、8月18日に前番組がアテネオリンピック中継があった関係で「スイスペ!」自体が放送出来ない為、夜8時から異例の2時間スペシャルを放送した。 2005年12月21日、スペシャルドラマとして一夜限りの復活をしている。 これまで2005年まで新春スペシャルとして放送してきた作品が年末にスペシャルを放送した「相棒」と入れ替える形で編成された。
[編集] 劇用車
番組で登場の劇用車は、日産自動車が提供スポンサーであった事で、歴代のシーマ、フーガ、セドリック、グロリア、ティアナ、ローレル、スカイライン、セフィーロ、フェアレディZ、ブルーバード、プリメーラ、エクサ、テラノ、マーチ、キューブ、エルグランド、レパード、セレナなどの日産車各車種が登場していた。
ちなみに、「特別機動捜査隊」「特捜最前線」「大都会25時」「ベイシティ刑事」「さすらい刑事旅情編」「風の刑事・東京発!」「はみだし刑事情熱系」「刑事部屋」「相棒」「警視庁捜査一課9係」「PS -羅生門-」の一連にわたるテレ朝水曜21時枠刑事ドラマでは、長年にわたり日産自動車が番組提供及び劇用車提供をしており、劇用車として日産車が登場している事は、「特別機動捜査隊」の時代からのテレ朝水曜21時枠刑事ドラマの定番でもあり伝統でもある。
ただ、劇中には軽自動車が登場していた回もあったが、初期~中期当時はまだ生産していなかったので他メーカー車(ミニパトでスバル・レックスや三菱・ミニキャブ、スズキ・エブリイなど)を使わざるを得なかった(現在はOEMによって日産名義の車種も登場しているので解消されている)。
後継番組として現在も放送されている一連の刑事ドラマでは、日産自動車との長年にわたるタイアップで、捜査用の覆面パトカーとして、実際の警察ではあまり使用される例が少ない、モデルチェンジされたばかりの新型車や人気車種が捜査用の覆面パトカーとして登場しており、テレ朝水曜21時枠刑事ドラマの各番組を見て、視聴者である大人はもとより子供までもが番組に登場する日産車に憧れて日産車ファンになり、実際に数々の日産車を購入し愛用している日産車ファンの番組の視聴者も全国各地に少なからず存在している。
[編集] 主な登場人物
[編集] レギュラー
※最終シリーズ時のレギュラー
- 安浦吉之助(山手中央警察署刑事課)-藤田まこと
- 山手中央警察署のヒラ刑事(階級は“特任”巡査部長 試験に拠らず事件解決の功で昇進)。川辺課長、横溝署長からは「やっさん」と呼ばれている。競馬と酒と美人が好きな典型的なオジサン。ワイシャツに地味めのスーツ(灰色である場合が多い)、なおかつノーネクタイというのが通常のスタイル。娘が2人いるが血のつながりは無い(それぞれの項で後述)。「さくら」には毎日のように通い、「3ヶ月9万円」という格安な飲食代を支払っている。
- 安浦ユカ-小川範子
- 安浦の次女。第1シリーズでは高校生。その後短大を経て福祉施設に勤務していたが、後述する山岡の殉職をきっかけに警察官採用試験を受け合格し、警視庁巡査。安浦の妻の連れ子ではなく、安浦が逮捕した犯人の娘を引き取り養女にした(第1シリーズの数話目にその回想シーンが登場。また、田崎刑事がこの事実を事件の容疑者に話す場面もあった)。山岡刑事と結婚目前までいったが、山岡は殉職。
- 真木大輔-村上信五(2004年-最終回)
- 山手中央警察署刑事課に新しく配属。
- 田崎晴子(山手中央警察署刑事課)-岡本麗
- 安浦の捜査活動を陰で支え続けている女性刑事(階級は巡査)。「女安浦」の異名も。森村の着任と交代で一時異動。最終スペシャルで退職。
- 五十嵐美和(山手中央警察署刑事課)-森ほさち
- 大阪府警から山手中央警察署刑事課へ。酒好きで酔うと関西弁をまくしたてる。
- 夏目修二-植草克秀(2005年-最終回)
- 須藤の後任として交通機動隊から山手中央署刑事課に新配属。2005年12月21日のスペシャルで、事件の際の所在が不明確だった事、状況証拠が全て不利だった事から関与を疑われ、送検一歩手前まで行くが、安浦らの捜査で嫌疑が晴れる。演じる植草は同じ時間帯の「さすらい刑事 旅情編」にもレギュラー出演していた。
- 安浦エリ-松岡由美
- 安浦の長女。運送会社に勤務していたが、現在は自宅を一部改装し、子供服販売店を経営。安浦の妻の連れ子。ラーメン屋の店長である通称「ブーちゃん」こと島崎(瀬戸陽一郎)と結婚。
- 高木直(山手中央警察署刑事課)-大場順(第2シリーズから登場、出演)
- 山手中央警察署の刑事。機動隊出身。事件の解決となるヒントは同僚の今井刑事と共に見つけてくる。
- 今井哲也(山手中央警察署刑事課)-若林哲行(第2シリーズから登場、出演)
- 地味で目立たないが、地道にコツコツと捜査を続ける。大の酒好き。酒癖が悪く酔うと安浦もお手上げ状態に。子沢山。
- 川辺精一(山手中央警察署刑事課長・警部)-島田順司
- 上司にはへつらい、部下にはガミガミと、典型的な中間管理職のイメージそのもの。しかし、人情には厚い。かけている眼鏡は下にずれている事が多い(初期はかけていなかった)。安浦とはしばしば意見が合わないがその実、横溝同様に良き理解者でもある。高校時代は野球部所属、ポジションは外野。
- 横溝重忠(山手中央警察署署長・警視)-梅宮辰夫
- 山手中央警察署長。安浦刑事の一番の理解者でもある。シリーズ初期、新型制服に変わるまでは警視正だった(降格になった理由は未だに公表されていない)。
- 片桐由美(バー『さくら』のママ)-眞野あずさ
- 安浦刑事の私生活での、一番の理解者であり、安浦にとってかけがえの無い女性(第1シリーズでは横溝とも関係があったが後に切れた模様)。かならず番組の最後の5分間に登場。
- なお(バー『さくら』の店員)-吉田有希
- 吉田(バー『さくら』の店員)-沢田修一
[編集] 過去のレギュラー
警察官役の階級はレギュラーシリーズ時
- 里見大観-ぼんちおさむ(1988年-2003年)
- 元山手中央警察署刑事課員。関西出身者。実家は仏教寺院であるためこのような名前に。自動車運転技能は刑事課では随一。家族との時間を大切にしようと、警視庁捜査第一課への栄転話を蹴り退職。現在はタクシードライバーをしている。
- 坂上(現姓、里見)恵子-あめくみちこ
- タクシー会社、同盟交通のドライバー。 里見刑事が住んでいるアパート「サンコーポ」の外からドアに向かって左側に住んでいる。のちに里見と結婚した。
- 坂上(現姓、里見)佑介-大場俊介
- 坂上恵子の息子。
- 新藤一-木村一八(1988年)
- 元山手中央警察署刑事課員。刑事を辞めた(木村の実生活における不祥事により降板)後、友人の愛人を匿うためにイタリアへ渡り、その愛人と結婚をしてレストランを開くが、イタリアのヤクザを殺害してしまった。
- 浅野信一-吉田栄作(1989年)
- 元山手中央警察署刑事課員。
- 三田謙一郎-深江卓次(1990年-1991年)
- 元山手中央警察署刑事課員。
- 中上剛-西島秀俊(1992年)
- 元山手中央警察署刑事課員。
- 肥田健一巡査部長-清水貴博(1993年-1994年)
- 元山手中央警察署刑事課員。出演シリーズ最終回で警部補昇任試験に合格、係長として別の所轄へ栄転。
- 山岡雄作巡査部長-城島茂(1995年-1998年、1999年、2003年)
- 元山手中央警察署刑事課員。1999年1月9日のスペシャルで警部補昇任、八丈島署へ係長として栄転。ユカと将来を誓い合うも2003年に殉職。
- 野田秀幸巡査部長-ケイン・コスギ(1999年-2002年)
- 交番から山手中央警察署刑事課へ配属。永らくニューヨーク在住だったため英語のほうが堪能。2002年に捜査中の事案関係者の護衛中、淡路島で犯人側の暴力団員達に刺傷と銃撃を受け殉職。
- 林勇作-賀集利樹(2002年-2003年、2004年)
- 渋谷区板上交番から山手中央警察署刑事課へ配属。2004年1月のスペシャルで命令違反を犯し、なおかつ重傷を負ったが、交番勤務からの再出発を決意し異動。
- 森村玲子警部補-七瀬なつみ(1995年-1996年)
- 転勤した(のちに復帰)田崎の後任として山手中央警察署刑事課へ。1997年度から警視庁捜査第二課に。
- 三波健治警部補-加藤茶(2001年-2002年、2005年)
- 山手中央警察署鑑識課主任。安浦とはかつてコンビを組んでいた古馴染みで、タメ口で話せる唯一の人物。自ら希望して山手中央署に転勤。ある事件に関与し、その責任を取って辞職。現在は福祉の仕事をしている。2005年1月1日のスペシャルに再び出演した。
- 須藤一彦警部(警視庁捜査第一課より山手中央警察署刑事課へ)-国広富之(2004年-2005年)
- 次代の捜査一課を担う人材と目されているが、ある理由から山手中央警察署へ。最終シリーズ第1話で殉職。死別していた妻との間に小学生の息子が1人いたが、彼の死後は田崎が引き取った。国広は2003年6月11日の「安浦刑事人質事件」の回では、犯人役を演じている。
[編集] 劇場版ゲスト
[編集] 過去のおもなゲスト出演者
- 久野真紀子 薄幸の女性としてよく登場
- 藤田朋子
- 山田まりや
- 平淑恵
- 丹波義隆
- 杉田かおる
- 木の実ナナ 野田の殉職の引き金となる
- 吉本多香美 林左遷の引き金となる
- 三波豊和 山岡殉職の引き金となる
- 菅井きん
- 堀内孝雄 各シリーズに一回は出演
- 五木ひろし
- 花紀京
- 東風平千香
- 左時枝
- あき竹城・つまみ枝豆 交番勤務の巡査として出演
- 大沢逸美
- 久保田民絵 安浦刑事の亡き妻の遺影
- 狩屋きみまろ後の綾小路きみまろ(1994 part 7 みちのく温泉郷白い手袋の女)
[編集] 主題歌
オープニングテーマは変わらないが、エンディングの曲は毎年変わるという、スタイルをとっている(これはプロデューサーの意向であったことが堀内孝雄のCDのブックレットに掲載されている)。また、堀内孝雄は「連続年主題歌記録」でギネスブックに認定された。
- 「ガキの頃のように」(1988年)
- 「冗談じゃねえ」(1989年)
- 「恋唄綴り」(1990年)
- 元々麻生詩織への提供曲で、彼女のヴァージョンも挿入歌として使われたことがある。
- 「さよならだけの人生に」(1991年)
- 「都会の天使たち」(1992年、桂銀淑とのデュエット)
- 「影法師」(1993年)
- 「夢の道草」(1994年)
- 「東京発」(1995年)
- 「酔いれんぼ」(1996年)
- 「愛が見えますか」(1997年)
- 「竹とんぼ」(1998年)
- 「続・竹とんぼ」(1999年)
- 「いいじゃない」(2000年)
- 「時代屋の恋」(2001年)
- 「かくれんぼ」(2002年)
- 「河」(2003年)
- 「カラスの女房」(2004年)
- 元々中澤裕子への提供曲だった。
- 「ふたりで竜馬をやろうじゃないか」(2005年、堀内孝雄&五木ひろし)
堀内孝雄は大抵NHK紅白歌合戦でこれらの主題歌を持ち歌として歌っており、ギネス認定された2003年には藤田まことが歌唱中に安浦刑事の衣装で登場し、最後には堀内の決めセリフである「サンキュー」も叫んでいる。
なお、甲斐正人によるテーマ曲はタイトルバック用に4種類が存在し、そのほかに本編中でBGMに使われるフルサイズが2種類存在する。
- タイトルバック
- (1)第一シリーズ用(*音程が第二シリーズ以降のものより高い)
- (2)第二シリーズ~用
- (3)第三シリーズ~用(*(2)と(3)は以降不定期に交互に使用された)
- (4)ステレオ放送以降用
- フルサイズ
- (1)第一シリーズ第一話から本編で使用された使用頻度の高い曲。音程は第一シリーズのタイトルバック用に準じる。
- (2)ステレオ放送以降使用されたもの。
そのほか、第二シリーズより本編中に使用されたスロータイプのフルサイズも存在する。このうちCD化されたものはタイトルバック用ステレオ音源のみ。BGMもCD化されていない。
[編集] スタッフ
- 企画:白崎英介(テレビ朝日)
- プロデューサー:藤原英一、今木清志(テレビ朝日)桑原秀郎、東一盛、伊藤彰将、島田薫(東映)
- 脚本:石原武龍、小木曾豊斗、宮川一郎、大塚孝典、洞沢美恵子ほか
- 監督:吉川一義、鷹森立一、天野利彦、村川透、岡屋龍一、道木広志ほか
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] 番組の移り変わり
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