のび太のワンニャン時空伝
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『のび太のワンニャン時空伝』(のびたのワンニャンじくうでん)は、2004年3月6日に公開されたドラえもん・大長編ドラえもんシリーズの映画作品で、ドラえもん映画化25周年作品となっている。
脚本は岸間信明、監督は芝山努、配給は東宝、興行収入30.5億円。
同時上映は『Pa-Pa-Pa ザ★ムービー パーマン タコDEポン!アシHAポン!』と『ドラえもんアニバーサリー25』。
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[編集] 概説
原案はてんとう虫コミックス22巻収録の名作『のら犬「イチ」の国』。『のび太とアニマル惑星』同様、耳をつけた青いドラえもんが登場。基本設定が『のび太とアニマル惑星』に酷似しており、一部のファンからは二番煎じとの声が出ている。ただこの声は公開前からすでに存在し、実際に似てるのは「耳をつけたドラえもん」ぐらいなものでファンがCMの第一印象から勝手につけた批判である。実際に設定が似ているのはのび太の大魔境である。作中に、過去のドラえもん映画に登場したキャラクターを思い出させるような乗り物などが登場。その他設定も過去のドラえもん映画を思わせる描写がある。
OP前にのび太の「ドラえも~ん!」の後で、ドラえもんが「のび太く~ん!」と叫ぶ。
なお、この映画が大山のぶ代らが声を吹き込んだ最後の映画となる。そして、同時に芝山努監督の手がけた最後の映画ともなる。本作も原作者没後の作品の中では、比較的評価が高い。
また、テレビアニメ版のオープニングテーマではすでに使用終了していたドラえもん映画作品のオープニングテーマ・山野さと子版「ドラえもんのうた」も本作品をもって使用終了となった。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 物語の舞台
- 3億年前および、その1000年後の地球
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- ワンニャン国
- 約三億年前の地球で1000年ほど栄えていた進化した犬・猫人間の国。高度な科学文明を持ち、エネルギーは全てノラジウムと呼ばれる鉱石で賄われている。しかし、ノラジウムは水にぬれると使い物にならなくなる。そのためか、ノラジウムはエネルギー省という政府機関によって厳重に保管されている。
- また、タイヤのない自動車・ゴーランドキャッチャー・果ては最高時速300キロのジェットコースターを作ることができ、工業はかなり発達している。ただし高層ビルはなく、家や建物はレンガ造りのレトロなものが多いことから建築技術は一見あまり発達していないように見える。その一方でネコジャーランドや大統領官邸などはかなり高い建物があるし高速道路や鉄道もきちんと整備されているので、発達していないとは一概にも言えない。見たところ人口はかなり多い。信号機も設置され、道路(作る必要があるのか?)もきちんと整備されて、交通事故は起きる気配もない。レトロな建物と最新技術が見事にマッチした都市である。
- ワンニャン国
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- ネコジャーランド
- 大富豪・ネコジャラが経営する遊園地。時速300kmに達するジェットコースター、滑空して空を飛ぶロコロコ号、ロボットに乗り込んでベルトコンベアーで流れてくるぬいぐるみを掴み取るゴーランドキャッチャーなどのアトラクションがある。また、その地下には秘密の工場があり…。
- ネコジャーランド
[編集] ゲストキャラ
- イチ(犬)(声優:林原めぐみ)
- のび太に拾われ、可愛がられた子犬。やがて進化させられた後、3億年前の世界で暮らすこととなる。名前の由来は犬の鳴き声「ワン」から英語の「ONE」を連想し、「ONE」を日本語訳して「イチ」となった(のび太にしては知的な発想である)。
- ハチ(犬)(声優:林原めぐみ)
- イチにそっくりの子犬で、仲間達のリーダー的存在。ネコジャーランドで行方不明になった母を捜している。どういう訳か水が苦手で泳ぐ事が出来ない。
- ダク(犬)(声優:関智一)
- ハチの仲間。ネコジャーランドで行方不明になったコンピュータ技師の父を捜している。原作では何故か関西弁で喋る。
- ブルタロー(犬)(声優:江川央生)
- ハチの仲間。ネコジャーランドで行方不明になった父を捜している。大柄で力が強い。父は自動車修理工場の長。
- チーコ(犬)(声優:島谷ひとみ)
- ハチの仲間の中で唯一の女の子。ネコジャーランドで行方不明になった数学者の父と母を捜している。女の子ではあるが、とても勇敢。
- シャミー(猫)(声優:かないみか、唄っている時のみ島谷ひとみ)
- 女性歌手。普段はレストラン「山猫軒」で歌を唄っているが、時にはネコジャーランドのステージに上る事も。ドラえもんが一目ぼれするほどの美人(美猫?)。だがその正体は・・・。
- ネコジャラ(猫)(声優:泉谷しげる)
- 本名は「ネコジャラ左ヱ門之丞景虎(ねこじゃらさえもんのじょうかげとら)」。ワンニャン国きっての大富豪で、「ネコジャーランド」という遊園地を経営している。次期大統領候補とも言われている実力者。しかし、その裏では先祖の怨みから、人間世界を征服しようとする陰謀を企てている。
- ニャーゴ(猫)(声優:古川登志夫)
- ネコジャラの部下。性格はきわめて冷淡である。
- 大統領(犬)(声優:大平透)
- ワンニャン国の大統領。地球に隕石が接近している事を36時間前まで隠し続けていた。ネコジャラの事を「ミスターネコジャラ」と呼び、信頼している。
- ズブ(猫)(声優:水谷優子)
- のび太に拾われた野良猫。元々は飼い猫だったが、捨てられたため人間を激しく恨む。その為、のび太たちにはなつかなかった。3億年前にイチたちと共に行き、進化させられる。ネコジャラの先祖。「闇の黙示録」という著書を残した。
- 老犬イチ(犬)(声優:阪脩)
- 老いたイチ。オープニングの中で、完成したタイムマシンを使ってのび太に会いに行こうとするが・・・。
[編集] 物語のあらすじ
ある日、川でおぼれていた子犬を助けたのび太。「イチ」と名付けかわいがるが、町中や山の野良犬や野良猫も集まってきて大変なことに。イチ達の今後の事を考え、タイムマシンで自由に暮らせる3億年前の地球に連れて行き、生きていけるよう進化退化光線銃で進化させた。「約束する。あした、必ず来るからね」とイチと約束し、現代に帰る一行。次の日、タイムマシンで3億年前に向かうが、時空間の中で「ねじれゾーン」に巻き込まれ3億年前から1000年経った世界に来てしまう。しかも、ねじれゾーンに巻き込まれたときにタイムマシンの部品が飛ばされていて、このままでは1000年前にも現代にも戻ることができない! しかし、その時代には進化した犬猫達の文明社会があった。そこでタイムマシンの部品を探すことにするドラえもんたち。この国で、一行は、ハチ・ダグ・ブルタロー・チーコら犬の少年少女4人組と出会い、ネコジャラという大富豪の経営する遊園地「ネコジャーランド」が怪しく、4人の親がネコジャーランドで行方不明になった、ということを聞く。しかし、そのとき地球には超巨大隕石が衝突しようとしていた……。のび太はイチと再会できるのか!? 3億年の時空を超えた大冒険が今始まる!!
[編集] ノラジウム
この作品に登場する架空の鉱物。ワンニャン国にて主要なエネルギー資源として使われている。直径1mmほどの小さな粒でも湯を沸かす事ができ、また量が多ければドリルを作動させたり、荷物を満載したトラックを動かす事、果ては超巨大宇宙船までも動かすことが可能なほど強いパワーを持っている。そのため、ノラジウムは政府によって厳重に保存・管理されている。唯一の欠点は、水に濡れると効力がなくなることである。現在人間世界で使用されていないところを見ると、採り尽くされてしまったようである。
[編集] スタッフ
- 監督:芝山努
- 脚本:岸間信明
- 絵コンテ:芝山努、藤森雅也
- 演出:藤森雅也、渡辺歩
- 総作画監督:渡辺歩
- 作画監督:加来哲郎、金子志津枝、藤森雅也、関根昌之
- 美術設定:沼井信朗
- 美術監督:清水としゆき
- 色彩設計:松谷早苗、堀越智子
- 撮影監督:熊谷正弘
- 編集:岡安肇
- 録音監督:浦上靖夫
- 効果:庄司雅弘
- 音楽:堀井勝美
- 制作デスク:外崎真、大金修一
- プロデューサー:小倉久美、大澤正享、濱田千佳、太田賢司
- チーフプロデューサー:山田俊秀、木村純一
- 制作協力:藤子プロ、ADK
- 制作:シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
[編集] キャッチコピー
- ぼくたち、また会えるよね。