W-SIM
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W-SIM(ダブリュー・シム、ウィルコム・シム)は、PHS事業者のウィルコムが開発した、PHS通信部分だけを独立させたモジュール。
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[編集] 概要
W-SIMのコンセプトは、電話局番や電話帳などのデータを格納するカードにPHS通信機能(通信モジュール)も搭載した物である。"SIM"と付いているが、3G携帯電話などで用いられているSIMカードとは互換性はない。
「WILLCOM コアモジュール戦略」の一つで、W-SIMは個人・法人向け、CSCエンジンは法人向けと位置づけることができる。 W-SIMを挿入して使用する端末の事を"SIM STYLE"と呼ぶ。 2005年12月にSIM STYLEの振興をはかることを目的とする「WILLCOMコアモジュール フォーラム」が設立された。
電波出力の大きな携帯電話では無線通信モジュール部分の発熱量が大きく、放熱のために一定以上の大きさが必要とされるため[1]、通信部をW-SIMサイズの小型モジュールに収める事が出来たのは、電波出力が小さいPHSならではのものであると言える。
[編集] メリット・要注意点
通信機能をモジュール化することにより、無線機器に関する技術基準適合証明の取得に関する作業を省略できる他、一般の携帯電話・PHSに比べて少ない数量での生産が可能となる。それにより、メーカー側には
- 製品開発期間の短縮
- 無線機器開発技術のないメーカーでの開発・生産
- 懸賞プレゼントや企業・店舗のオリジナルアイテムとしての端末の提供
等が可能となるメリットがある。
ただし、モジュールであっても電波を送受信していることには変わりは無いため、例えば、送信電波の自身への回り込みによるオーディオ出力のノイズ重畳や、逆に自身の出したノイズの回り込みによる受信感度の低下など、無線技術の無いメーカーに対するハードルがまったく無くなったわけではない。
一方、ユーザー側にとっても、
- 機種変更なしで同一電話番号でのSIM STYLE端末の持ち替え
- 電話帳データをW-SIMに置き複数の端末で共通して使用
- W-SIMの機種変更で、同じ端末をより高性能な物としての使用
等が可能になる。実際に一部SIM STYLE端末の回線契約無しでの販売、契約1回線でTTとW-ZERO3のパッケージ販売もされており、状況に応じた端末持ち替えは手軽に行える。
しかし実際には、W-SIMの電話帳の読み出し・書き込みには対応していない端末も多い(W-ZERO3シリーズ、papipo!等)。また、端末本体とW-SIMモジュールの互換性確認や、通信モジュール・端末本体それぞれファームウェアアップデートなどが必要となる場合がある。例えば、W-ZERO3に添付のW-SIMを初期状態のままW-ZERO3[es]に差し替えると、W-SIMのバージョンアップが要求され、それを行わないと一切の通話・データ通信が行えない。
また、SIM STYLE端末によって使えるサービスに違いがある(papipo!専用のキッズスタジオは他の端末では使えない、データ定額等はTTやnico、papipo!では付けていても意味が無い、等)。そのため、完全な持ち替えに際しては不要な料金が発生し続けないよう使用者側が考慮する必要がある。
[編集] 対応機器
[編集] 通信モジュール
- RX410IN : ネットインデックス製
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- RX420AL : アルテル製 (2006年12月20日発売)
[編集] 通信端末
[編集] ウィルコムブランド
ウィルコム#通信端末の項も参照。
- WS001IN / "TT"
- ネットインデックス製の音声端末。メールに関してはライトメールのみ使用可能。
- WS002IN / "DD"
- ネットインデックス製のデータ通信端末。USBアダプタとして動作する。
- WS003SH / W-ZERO3
- シャープ製の音声端末(スマートフォン)。
- WS004SH / W-ZERO3
- シャープ製の音声端末(スマートフォン)。WS003SHのハイスペック版。
- WS005IN / nico.
- ネットインデックス製の音声端末。事実上、TTの後継機で、ライトメールの他、Eメールも使用可能。
- WS007SH / W-ZERO3 [es]
- シャープ製の音声端末(スマートフォン)。WS003SHを小型化し、数字キーを付加したもの。
- WS008HA
- ハギワラシスコム製のデータ通信カード端末。ExpressCardアダプタとして動作する。
- WS009KE / 9(nine)
- ケーイーエス製の音声端末。2006年12月発売予定。フルブラウザ(Netfront)搭載、Eメール対応。
[編集] ウィルコム以外のブランド
- キッズケータイ papipo!
- バンダイ製の音声端末。ウェブ・メール利用料の料金体系がウィルコムブランドの機種とは多少異なる。なお、ウィルコムブランドのシリーズ番号で006が抜けているのはpapipoの社内コードがWS006であるためと言われている。
- スーパーワンセグTV Watch
- NECシステムテクノロジー製の腕時計型音声端末。1セグメント放送の視聴機能のほか、W-SIMにも対応し、音声通話・メール・ブラウザ機能を利用できる。アサヒビールの酒類商品の懸賞プレゼントとして企画された限定非売品であり、市販の予定はない。
[編集] 脚注
[編集] 外部リンク
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