Personal Defence Weapon
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PDW(Personal Defence Weapon:ピーディーダブリュー・パーソナルディフェンスウェポン)とは、1990年代後半に登場した武器の形態の一つ、武器のカテゴリー。日本語では「個人防衛火器」「個人防御火器」等と訳される。特にヘッケラー&コッホ社の特定の銃器に使用された固有名詞であったが、後にそれはMP7という商標名を与えられたため、現在は種別呼称の一つと認識されている。近年登場した銃器カテゴリーであるため、「短機関銃」として評価、評論する専門家、専門誌もある。確かに形状や用途は短機関銃と類似しており、同様の使用も可能で、同様の物とする感はあるが、軍事戦術、作戦上は短機関銃とはまったく異質の銃器であることを理解する必要がある。
[編集] 概要
歴史上に、いわゆる「銃器」が登場して以来、時代の変節によって様々な銃器の形態が登場したが、カートリッジ式の弾薬が発明されて以降、第一次世界大戦を経て、第二次世界大戦~朝鮮戦争によって、ほぼ各銃器の機能形態やカテゴリーが固定化されたと言われている。特に個人で携帯でき、汎用性のある種類の銃器としては、「バトルライフル」「アサルトライフル」のような主力小銃、そして「カービン銃」「短機関銃」のような特定の兵科や職種が使用する準主力銃器、そして「拳銃」といった護身銃器に大別されるようになった。しかしながら、それらの銃器が各兵科で使用されながらも、もっと厳密に各兵科の特性に準じた銃器の開発も平行して研究され、アサルトライフルを改造し、短機関銃のような大きさにしたものや、大型の拳銃で短機関銃の能力を併せ持つような銃器、アサルトライフルを利用した軽機関銃的運用を行うような物などといったように運用法を前提とした銃器の開発が色々と試行された。中には「いったい何に使うのか」というような荒唐無稽な代物から、後に登場する新型火器の土台となるような物まで様々な運用を前提としたものが開発され、それらは現在も行われている。
そのような中、情報処理技術の発達で、特に西側先進国が、「軍隊」という組織の運用とその戦術を研究した際、戦時において軍隊における戦闘実働を行う人員は一国の軍隊の約2割~3割程度という結果が得られるようになった。むろんこの数値は第二次大戦時から言われていたことではあるが、運用技術の発達や、それに伴う兵科の固定化が進行し、それらが顕著に固定化されるようになっていることが20世紀後半に明らかになった。これらは時代が進めば、軍隊の運用における合理化や情報化も進むようになり、当然といえば当然の結果なのであるが、これらは逆に言えばその残りの7割~8割の非戦闘要因を擁する後方部隊に攻撃目標を絞れば、前線戦闘部隊の効力を無力化することも可能であることをも意味していた。特に運送手段や秘匿技術の発達で、テロリストなどによる非合法組織による突発的な攻撃や、第三国の浸透作戦、特殊作戦などの局地戦闘の場合、前線部隊を通り越して、上記のような非戦闘部隊の施設が突発的に襲われる可能性も高くなり、それらの要員が効果的に運用できる武器の開発が急務となった。
それまで、そのような部隊で常時使用される銃器は、短機関銃や、カービン銃、拳銃といったものが常套であったが、特に兵站施設などではこれらの銃器は、「帯に短く襷に長し」といったような状況で、アサルトライフルやアサルトライフル系のカービン銃などでは、長くて扱いにくく、奇襲などを受けた際、非戦闘員のとっさの迎撃行動に難があり、短機関銃や拳銃などでは利便性に富むが、相手がボディアーマーで防護され、軽車両などを擁していた場合全く役に立たなくなることも考えられ、こうした状況に効果的に適応できる銃器が皆無であることが判明した。
こういう状況が判明し、分析した結果、以下のような仕様の銃器が効果的であると西側先進国は結論を出した。
- 後方施設内全域で戦闘行為を行える有効射程距離にして200~300メートル程度の能力がある物。
- 短機関銃のようなあらゆる兵科の兵士が扱える利便性を持つ物
- 片手撃ちが可能なサイズもしくは形状である物
- 発射反動が片手使用で扱える物
- 上記射程範囲で対物貫通力が小銃並に高い物
- 装弾数が可能な限り多い物
すなわち、小銃、カービン銃より小さく、短機関銃並の扱いやすさを持ち、片手でのとっさの取扱が可能で短距離を越える距離でボディアーマーに対して効力を持つ銃器の開発を行うことが肝要とし、これらの銃器の開発を各メーカーに求めた。そしてこれらの銃器を「PDW」と分類し、全く新しい銃器として認識されるようになるのである。そして開発されたPDWは、逆に言えば上記で定義された状況での攻撃的な戦闘でも威力を発揮するということでもあり、特殊作戦を行うような強襲部隊や、警察の機動化部隊などでの使用も非常に効果があることがわかり、今日では、その分類呼称に反し、このような特殊な兵科での使用の方が盛んなようである。最近の有名な事例では、「ペルー日本大使公邸人質事件」では、ペルー軍突入部隊が、PDWであるFN社のP90を使用しており、最近ではドイツ軍特殊部隊KSKなどでのヘッケラー&コッホ社のMP7の正式採用も現在確認されている。
[編集] PDWとして分類される銃器
- 現在のPDWと同様の目的で開発されたカービンライフル。