HD24P
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
HD24P(エイチディーにじゅうよんピー)は、20世紀末に登場した、映画撮影のためのビデオカメラおよびHDTV映像信号の規格の一種である。ソニーによって製品化された。「HD24p」というふうにPを小文字にして表記する場合も多い。会話の中では単に「24P」(にじゅうよんぴー)とも呼ばれる。また、HD/24Pとも表記される。通常、HD/24Pというと、HD1080/24Pを指すが、簡易版のHD720/24Pという規格も存在する。本項目内では特に断りのない限り、HD1080/24Pについて記す。
「p」はプログレッシブの訳で、「順次走査」を意味する。これに対し、後に述べるインターレースは「飛び越し走査」であり「i」と略される。プログレッシブ方式のことをノンインターレースと呼ぶこともある。
この登場に伴いデジタルシネマの動向が活発化し始める。これ以前にもCGの活用による映画のデジタル化は進んでいたが、フィルムとビデオとの基本的な表示方式の違い(フィルムは毎秒24コマ・プログレッシブ、ビデオはNTSCの場合毎秒29.97コマ・インターレース)により、テレシネ変換(フィルムに記録された映像をテープに移す)で2-3プルダウンというコマ数変換過程を経なければならず、これが大きな足枷になっていた。しかし、HD24Pはフィルムと同じ形式での記録が可能であるためコマ数変換が不要、かつフィルムからのテレシネ工程が不要で、ダイレクトにデジタル加工が可能という画期的な商品だった。『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年)で利用されて実用性が実証された後に採用が相次いでおり、将来的には過半がデジタルビデオカメラによる撮影・制作になるといわれてる。
日本の劇場用映画では、『式日』(2000年)の一部で使われたのがごく初期での使用例である。全編をこのシステムで撮影した劇場用映画は、『仮面ライダーアギト PROJECT G4』(2001年)が世界初である。
[編集] 特徴
素材の記録媒体がテープで安価なため、同一予算で35mmフィルムの数倍の撮影が行える。現像という工程が不要、音声も同時収録されるため、撮影現場で撮影した映像を確認できる。このため、アクションシーンなど動きの激しい撮影などに向いている。絞りを開放にすれば、かなり暗い場所でも無照明で撮影でき、野外で広い場所を撮影するのにも向いている。
一方いかにフィルムに近いとはいえ、デジタル独特の色味やフィルムとの粒状感の違いから、動きの少ない叙情的なシーンには嫌われる傾向がある。
[編集] HD撮影による映画作品
- リリイ・シュシュのすべて
- 模倣犯
- トリック劇場版
- スパイ・ゾルゲ
- ドラッグストア・ガール
- 踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!
- BLOOD THE LAST VAMPIRE
- 平成仮面ライダーシリーズ
[編集] 外部リンク
- What's HD/24P ? (映画仮面ライダーアギトのサイト内にあるHD/24Pシステム紹介ページ)