鳥居峠 (長野県)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鳥居峠(とりいとうげ)は、長野県の塩尻市奈良井と木祖村藪原を結ぶ峠。
目次 |
[編集] 概要
標高1197m。峠山の標高は約1415.7m、旧中山道の難所であった。
古くは吉蘇路(きそじ)の県坂(あがたざか)、中世にはならい坂、薮原峠と呼ばれた。国境に位置しているので、中世には戦いが何度も行われた。木曽義昌と武田勝頼の戦いで命を落とした武田の兵士500人を埋葬したという、葬沢という沢もある。このなかにあって木曽義元が、御嶽山に戦勝を祈って峠に鳥居を建てて以来、鳥居峠と呼ばれるようになった、といわれている。
峠の東側を北に向かって流れる奈良井川(日本海側河川)と、西側を南に向かって流れる木曽川(太平洋側河川)との中央分水嶺。木曽谷地方の信濃国編入以前は、ここが信濃国と美濃国の国境であった。
[編集] 見どころ
現在の中山道、国道19号は、この鳥居峠を延長1738mの新鳥居トンネルで通過するようになっている。新鳥居トンネルが開通したのは1978年(昭和53年)のことであるが、これが完成する以前には、昭和30年完成の鳥居隧道があった。さらにそれ以前には、明治23年の七道開削事業により、峠道が広げられた。
旧中山道の峠道は整備され、信濃路自然歩道(昭和46年指定)となっている。
奈良井宿は、妻籠宿と並ぶ木曽路でも栄えた宿場町であった。宿屋が千軒並んでいたとも言われ、現在も観光で風情を楽しむことが出来るようになっている。国道19号沿い、中央本線奈良井駅から800mほどであり、近辺には木曽の大橋、高札場跡、鎮神社、中村邸、上問屋史料館、楢川村歴史民俗資料館などがある。
ここから峠へ上がっていくと、武田氏と木曽氏の古戦場があり、水場、トイレ、峠の茶屋の休憩所があり、展望があり(西方向に御嶽山、南方向に駒ヶ岳)、立派な栃の木があり、木曽義仲の硯水があり、さらに上がって峠の頂点には御嶽神社がある。道中ところどころに「熊よけの鐘」がある。
峠を下っていき、中央本線藪原駅から1200mほどのところに、江戸時代の尾張藩の鷹匠役所跡(お鷹城)があり、900mほどのところに、藪原神社がある。この近辺から藪原駅までの間に、極楽寺(宝蔵庫)、高札場跡、ギャラリー、木祖村資料館(お六櫛博物館)などがあり、再び国道19号まで降りてくる。
奈良井宿から藪原宿までは8km、徒歩約3時間半の道程。車を利用して行く場合は、奈良井の道の駅「木曽の大橋」を利用すると便利。
[編集] 関連著作
- 菊池寛『恩讐の彼方に』