震電
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震電 | ||
概要 | ||
用途 | 試作戦闘機(爆撃機迎撃用) | |
乗員 | パイロット 1 名 | |
初飛行 | 1945-08-12 | |
運用開始 | 運用に至らず | |
メーカー | 九州飛行機 日本海軍空技廠 |
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寸法 | ||
全長 | 9.76 m | |
全幅 | 11.114 m | |
全高 | 3.55 m | |
主翼面積 | 20.50 m2 | |
重量 | ||
空虚 | 3,525 kg | |
運用 | 4,950kg | |
最大離陸 | 5,272 kg | |
滑走距離 | ||
離陸 | 560 m | |
着陸 | 580 m | |
動力 | ||
エンジン | 三菱製 ハ-43-42(MK9D改) 星形複列18気筒 (延長軸・強制空冷・フルカン継手過給機) |
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出力 | 2,130 HP 1,590 kW |
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性能(目安) | ||
最大速度 | 750 km/h(計画) @高度8,700 m |
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巡航速度 | 425 km/h | |
航続距離 | 1,000~2,000 km (装備によって変化) |
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実用上昇限度 | 12,000 m | |
上昇率 | 750 m/min | |
武装 | ||
機関銃 | 17試 30 mm 固定機銃一型乙(機銃一門あたり弾丸60発携行、発射速度は毎秒6発から9発) ×4
訓練用 7.9mm 固定機銃×2 写真銃×1 |
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爆弾 | 60 kg×4 30 kg×4 いずれか or 混載 |
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その他 |
震電(しんでん)は、第二次世界大戦末期に日本で開発された、レシプロ単発単座の試作局地戦闘機。日本の航空機エンジンの非力さを補い、かつ強力な機銃を操縦席前方正面に配置してプロペラの制約なしに効率よく撃ち込む目的で当時としては珍しいエンテ型飛行機(先尾翼型、前翼型とも)。
唯一、現存する機体はアメリカの国立航空宇宙博物館の復元施設であるポール・E・ガーバー維持・復元・保管施設にて分解状態のまま保存されている。復元の予定はない。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 開発経緯
1944年(昭和19年)6月に日本海軍がB-29迎撃を目的に航空技術廠と九州飛行機に共同開発を命じた。MXY6等を利用しての基礎研究が既に行われていたとはいえ、わずか1年足らず後の1945年(昭和20年)7月に初号機が完成し、8月12日に試験飛行にも成功した。実は、これ以前に試験飛行は行われたが、離陸時にプロペラを地面にぶつけるという事故があった。そのため、主翼についている垂直安定板の下端に海軍練習機「白菊」の車輪を取り付けるなどして対策を計った。
[編集] 機体の特徴
B-29の迎撃の切り札として、また、P-51を圧倒する性能を目標に最大速度750 km/hを目標とされた。この機体は、「将来ジェット化する計画」が最初からあった。搭載予定だったエンジンは「ネ130型ジェットエンジン」。(ネ20型の強化・発展型と思われる。)、その場合の最高速度は約800km/h~900km/hと考えられていた。しかし当のエンジンの開発が追いつかず、ジェットエンジンを搭載したテストをすることなく終戦を迎えた。ちなみに、当時利用可能であったネ20の推力ですらこの機体を単発で支えるには著しく力不足であったとも言われている。 震電に限らず単発の先尾翼機はエンジンがコクピットより後方に来るため、緊急時に脱出する際にパイロットがプロペラに巻き込まれる恐れがあった。そこで本機では試作2号機からハブ内に火薬爆破式のプロペラ離脱装置を備える予定であった。
先尾翼も特徴的ではあるが、生産性を重視したことも注目に値する。以下のような工夫が見られた:
3. は彩雲に倣ったものである。彩雲は厚板を採用することで零戦の1/2以下のリベット本数で組み立てられている。
[編集] 形式
- 動力:単発、推進式(プッシャ)
- プロペラ:VDM 定速、6翅(量産型では4翅に簡略化予定)
- プロペラ直径:3.40 m
- 主翼:低翼、単葉
- 動翼:前翼型式
- 構造:全金属製、応力外皮構造、主翼‐層流翼型、前翼‐開閉式スロット翼
- ランディングギア:引き込み脚、前輪式
[編集] 登場作品
その特徴的な外観から架空戦記を中心に様々なフィクションで登場している。
- 劇中に登場する局地戦闘機「蒼莱」が震電の生まれ変わりとされている。
- 「Chapt.24 空飛ぶ自動車部(単行本第4巻に収載)」で、主人公の所属する猫実工大自動車部が、地下に眠っていた震電を発掘・修理し、学園祭のイベントとして試験飛行に成功した話がある。
- 敵組織の基地に乗り込むため男塾塾長、江田島平八が操縦する形で登場。
- 外伝1巻収録「成層圏の撃墜王」に、ジェットエンジンへ換装済みの「呂式震電」として登場。B29と死闘を繰り広げる。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 日本の戦闘機 | 大日本帝国海軍航空機