自動車検査登録制度
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自動車検査登録制度(じどうしゃけんさとうろくせいど)とは、自動車や排気量250cc超の自動二輪車に対して、保安基準に適合しているかを確認するため、一定期間ごとに国土交通省が行う検査を言う。一般には車検(しゃけん)と呼ばれる。
車検には、道路運送車両法上、新規検査(58条)・継続検査(62条)・構造等変更検査(67条)の3種があるが、新規検査は、新車を納品する前に購入先のディーラー(販売店)が代行することが多いため、通常は継続検査を指して車検と呼ぶことが多い。
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[編集] 車検の方法
車検の方法には、
- 定期点検整備と検査をディーラーや整備業者に任せる「ディーラー車検」
- 定期点検整備や検査を利用者自らが行う「ユーザー車検」
- 検査を業者に代行してもらう「車検代行」
などがある。このうち、通常はディーラー車検の利用者が多い。
厳密には定期点検整備は車検とは別なので、車検を通した後にまわすこともできる(前検査・後整備)。検査を受けるためには、有効な自動車税納付証明書が必要になる。 検査の際には、自動車損害賠償責任保険の更新、自動車にかかる税金(自動車重量税)の納付なども合わせて行う。
検査に合格すると、有効期間満了日を記載した前面ガラス(オートバイとトレーラーはナンバープレート)に張る検査標章(ステッカー)と、自動車検査証(車検証)を受け取り、完了となる。
[編集] 車検を行う場所
軽自動車は軽自動車検査協会の専門の検査場で行い、それ以外(オートバイ含む)は陸事分野の運輸支局で行う。(前記2つを総合的に「車検場」あるいは「陸事」と呼ぶ。)
この他、国土交通省の指定を受けている自動車整備工場では、自ら検査を行うこともできる。(これを俗に「民間車検場」と呼ぶ。)
[編集] 車検の期間
自動車の種別によって異なる。
- 自家用軽乗用車 - 初回は3年後、以降は2年ごと。
- 自家用軽貨物車 - 2年後ごと。
- 自家用乗用自動車 - 初回は3年後、以降は2年ごと。
- 自家用貨物自動車 - 初回は2年後、以降は1年ごと。
- 営業用(事業用=緑ナンバー)自動車 - 1年ごと。
- 特殊構造車 - 初回は2年後、以降は2年ごと。ただし、大型車や営業用など車種によっては1年ごとの場合もある。
- 二輪車(排気量250cc超) - 初回は2年後、以降は2年ごと。
自動車の種別については以下、または自動車#自動車の種類、ナンバープレート (日本)#分類番号を参照。
- 自家用軽乗用車
- 俗にいう「50ナンバー」(現在は50ではなく580)。
- 自家用軽貨物車
- 軽トラック、軽ライトバンなど。俗にいう「40ナンバー」(現在は40ではなく480)。
- 自家用乗用自動車
- 自家用貨物自動車
- 商店や土木・建設会社などのライトバンや小型~大型トラック。俗にいう「白ナンバー」の4、1ナンバー。
- 営業用(事業用)自動車
- バス会社のバス(路線バス、観光バス)やタクシー、運送会社(宅配便など)の貨物自動車など。俗にいう「青ナンバー」あるいは「緑ナンバー」の1(中・大型貨物)、2(バス<小型から大型まで>)、3(幅広(あるいはジャンボ)タクシー)、4(小型貨物)、5(一般タクシー)ナンバー。
- 特種用途自動車
- キャンピングカー、タンクローリー、冷凍車など。俗にいう「8ナンバー」。
[編集] 注意
誤解される事が多いが、車検は、単に公道を走行する上での保安基準に適合するかどうかを検査する物であり、検査項目に含まれる一部の要素を除けば、車両が機械として故障している、あるいは故障の可能性を検査するものではない。 たとえ、車検の帰りに車が故障したとしても、それは車検をパスしたこととは関係のない話である。 一般にディーラー車検が高価なのは、ディーラーの収益も兼ねて、車検前の点検整備で予防的に消耗品を交換するからであり、ユーザー車検や代行車検がディーラー車検より安価なのは、検査にパスする最低限の点検整備しか行わないからである。 従って、単にディーラーの点検整備費用をケチるために、ユーザー車検や代行車検を選択するということは、安さの代償として、整備水準の面ではある程度妥協しているという面には注意すべきである。