画コンテ
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画コンテ(えコンテ、continuity)は、映画、アニメ、テレビドラマ、CM、ミュージックビデオなどの映像作品の撮影前に用意されるイラストによる表であり、映像の設計図と言えるものである。
絵コンテと表記されることもある。単にコンテとも呼ぶ。イラストではなく文章による場合は字コンテ(じコンテ)と呼ぶ。「コンテ」は、英語のコンティニュイティ (continuity) の略である。英語では continuity の他に storyboard とも呼ばれる。
[編集] 概要
画コンテは1つのカットがどのようなものかを説明するものである。人物などの被写体はどのようなサイズ、構図になるか、それらはどのような動きをするのか。カメラのどのフチから画面に入ったり出たりするのか、カメラ自体はどのような動きをするのか、固定(FIXフィックスと呼ぶ)なのか、どのくらいの時間映しているのか(尺と呼ぶ)、など。
画コンテはイラストのみによって説明するものではなく、必ず簡単な文字・文章が付属し、そのカットの詳細を説明する。1カットの中で大きな変化がある場合は何コマものイラストによって1つのカットが説明されるが、変化が少ない場合には1コマで説明される。Storyboardは全てのカットではなく、大体のイメージを掴むもので、Contextが全てのカットについて書くものであるという考えもある。
コンテは映画監督やディレクターが自ら書く場合も多いが、画コンテを書くだけのライターも存在する。映画やテレビドラマなどの脚本が存在する場合は、脚本が先に書かれた上でコンテが書かれる。SFXが多用される映画の場合は、画コンテに基づいてビデオコンテ(あるいはアニマティック、プレ・ビジュアライゼーションと呼ばれる)が制作される。
業界では画コンテを「書く」のではなく「切る」(一つ一つのカットごとに切っていくの意)という動詞が正しいとされている。しかし一般的には「書く」で十分通用する。
芸術性や資料性が高いものは本になることがある。
[編集] 有名な絵コンテ作家
富野由悠季は「コンテ千本切りの富野」と異名を取るほど、あらゆる作品で絵コンテを切りまくっていた時期がある。とにかく業界の誰よりも速くコンテを上げる為、助っ人的に重宝されていたという。後の監督作ではこれが職人芸的なレベルに昇華した姿を見ることができる。
庵野秀明などはコンテを切るのが非常にうまいとされ、一部のファンからは「××という映画は駄作だったが庵野の切った部分だけは非常によかった」などと言われることがある。『亡国のイージス』などがその典型例である。
頻繁に変更や移動が行われるため、資源が乏しい製作現場の場合いろいろと問題になる。樋口真嗣はこれに対応するため『ガメラ3 邪神覚醒』でFileMakerによるコンテの管理を開始、『ローレライ』では映像編集システムであるFinal Cut Proと連動させるシステムを導入した。
[編集] 関連項目
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