機動戦士ガンダム 第08MS小隊
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機動戦士ガンダム第08MS小隊 | |
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OVA | |
監督 | 神田武幸(第1話~第6話) 飯田馬之介(第7話~) |
アニメーション制作 | サンライズ |
話数 | 全11話+1 |
映画: 機動戦士ガンダム第08MS小隊 ミラーズ・リポート |
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監督 | 加瀬充子 |
制作 | サンライズ |
封切日 | 1998年8月1日 |
上映時間 | 50分 |
『機動戦士ガンダム第08MS小隊』(きどうせんしガンダム だいぜろはちエムエスしょうたい、Mobile Suit Gundam The 08th MS Team)は、ガンダムシリーズのOVA(オリジナルビデオアニメ)で、1996年から1999年にかけて全11話が制作されたほか、後日談という形でスペシャルエピソード『ラスト・リゾート』も制作され、1998年には劇場版『ミラーズ・リポート』も公開された。
目次 |
[編集] 物語
連邦軍パイロットのシロー・アマダは地球上のアジア戦線に配属されることになったが、そこへ向かう途中に敵と遭遇し交戦、敵パイロット共々遭難してしまう。その敵(アイナ・サハリン)と協力して生還することで彼女との間に交流が生まれるのだが、いざ配属されたアジア戦線ではアイナと敵同士として対峙することになる。そこに至ってシローは、人間性として当然の倫理を否定する戦場においても敵とわかり合うことも可能だと叫び、それを証明すべく戦うのだった。
[編集] 作品解説
初代『機動戦士ガンダム』とほぼ同時期を描いた外伝である。 他のガンダムシリーズと比べて、戦場の生々しさやリアリティを追求した描写が特徴的である。 そこに、理想に燃える青年士官(シロー・アマダ)が主人公として登場することでより戦争の現実が強烈な印象をもって対比されている。 シローは、理不尽な戦いを目の当たりにし、軍務と倫理のギャップに激しく苦しむのである。
主軸となるのは、戦場において敵兵同士が愛し合うことは可能なのかというテーマである。
結末が悲劇だったのかハッピーエンドだったのかについてはぼかされたまま終わり、それを明らかにするのがエピローグスペシャルエピソード『ラスト・リゾート』である。
なお、本作は本来全12話完結の構想であり、監督は当初『銀河漂流バイファム』など手がけた神田武幸であったが、製作途中にて体調を崩し第7話から飯田馬之介にバトンタッチする。ストーリーそのものはもともと神田が考えていた筋書きにそっているが、1996年7月27日に彼が急逝したために、飯田ら残されたスタッフは生前彼が書き残していたメモやプロットを元に第11話までを完成させ、第12話ではなく特別編と言う形で「ラスト・リゾート」が製作された。本作がやや特殊な形態を取っているのはこういった事情による。そのため、本作は神田監督の遺作に当たっている。
また、大河内一楼による小説が出ている。なお、小説版と映像版では多少物語が違い、小説版の方が文字媒体という事もあり、表現や物語が生々しい。小説版では「ラスト・リゾート」でアニメからは想像もつかない展開がある。
[編集] 兵器
一年戦争において連邦軍が勢いを伸ばし始めた頃が舞台であり、登場する兵器もモビルスーツだけに偏らず、テレビシリーズ『機動戦士ガンダム』に登場した一見奇抜な兵器をもリメイクさせて登場させている。
モビルスーツがあくまで一兵器として扱われるのはガンダムシリーズ全体を通して言える特徴であるが、本作ではその傾向がことさら強い。特に、主人公の乗機は大抵強力な特別機なのが通例なところを、本作では量産機や改造機を主人公が駆っている。それ以外のメカ描写も細部まで技術考証が徹底された。
一方で、作品中にモビルスーツを登場させる必然性があったためテレビシリーズでは後半(29, 30話)に初登場するジム(連邦軍初の量産型モビルスーツ)が、10話前後に相当する時期に宇宙で配備されていたり、東南アジアに連邦軍の先行量産型モビルスーツ大隊がすでに存在していたりと、従来の設定を無視して連邦軍のモビルスーツ配備を大幅に前倒しした作品となった。「映像化されたものが公式設定」というサンライズの方針により、これ以降宇宙世紀世界では「テレビシリーズではたまたま登場しなかっただけで当時から連邦にもモビルスーツが存在した」というのが公式設定となっている。
敵の最終兵器アプサラスIIIは非常に凶悪であるが、これは外伝のストーリーに花を添える大道具としてはよくあるものと言えよう。
[編集] 主要登場人物
詳細は機動戦士ガンダム 第08MS小隊の登場人物を参照。
- シロー・アマダ(声:檜山修之)
- アイナ・サハリン(声:井上喜久子)
- カレン・ジョシュワ(声:小山茉美)
- テリー・サンダースJr(声:玄田哲章)
- エレドア・マシス(声:藤原啓治)
- ミケル・ニノリッチ(声:結城比呂)
- トップ(声:榊原良子)
- コジマ(声:藤本譲)
- キキ・ロジータ(声:西村ちなみ)
- ジダン(声:永井一郎)
- ギニアス・サハリン(声:速水奨)
- ノリス・パッカード(声:市川治)
- アリス・ミラー(声:高島雅羅)―劇場版に登場
[編集] スタッフ
- 企画:サンライズ
- 原作:矢立肇、富野由悠季
- キャラクターデザイン:川元利浩
- メカニカルデザイン:大河原邦男、カトキハジメ、山根公利
- 美術監督:池田繁美
- 監督:神田武幸(第1話~第6話)、飯田馬之介(第7話~)、加瀬充子(劇場版)
- 制作:サンライズ
[編集] 主題歌
- オープニング『嵐の中で輝いて』
- 作詞:渡辺なつみ 作曲:夢野真音 唄:米倉千尋 キングレコード
- エンディング『10 YEARS AFTER』
- 作詞:朝倉京子 作曲:三浦一年 唄:米倉千尋 キングレコード
- 劇場版テーマソング『永遠の扉』
- 作詞:渡辺なつみ 曲:鵜島仁文 唄:米倉千尋 キングレコード
[編集] 各話リスト
()内はVHSビデオ版発売日(1巻のみ2話収録でそれ以降は1話ずつ収録)
- 二人だけの戦争 (1996年1月25日)
- 密林のガンダム (1996年1月25日)
- 信頼への限界時間 (1996年3月25日)
- 頭上の悪魔 (1996年10月25日)
- 破られた待機命令 (1996年11月25日)
- 熱砂戦線 (1996年12月18日)
- 再会 (1997年10月25日)
- 軍務と理想 (1997年12月18日)
- 最前線 (1998年2月25日)
- 震える山(前編) (1998年7月25日)
- 震える山(後編) (1999年4月25日)
- 特別編 ラスト・リゾート (1999年7月25日)
[編集] 関連作品
[編集] 劇場版
『機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート』(きどうせんしガンダム だいぜろはちエムエスしょうたい ミラーズ・リポート)は、1998年8月1日に全国松竹系で公開されたアニメーション映画。
『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別編』の同時上映作品。
本作は、OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の1話から8話を再構成し、新キャラクターである連邦情報官「アリス・ミラー」の視点からシロー・アマダの軍歴を監査するという構成となっている。
- 概要
- 作品名:『機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート』
- ジャンル:アニメーション映画
- 公開年:1998年
- 上映時間:53分
[編集] 関連項目
- ガンダムシリーズ
- ガンダムシリーズ一覧
- 機動戦士ガンダム 第08MS小隊の登場人物
- ガンダムシリーズの登場人物一覧
- ガンダムシリーズ登場兵器一覧
- ガンダムシリーズ登場艦船一覧
- ガンダムシリーズ関連用語一覧
ガンダムシリーズ | |
シリーズ一覧: | ガンダムシリーズ一覧 - ゲーム作品一覧 - SDガンダム |
ガンダムシリーズの映像作品 | |
テレビシリーズ: | 機動戦士ガンダム - Ζガンダム - ガンダムΖΖ - Vガンダム - Gガンダム - ガンダムW - ガンダムX - ∀ガンダム - ガンダムSEED - SEED DESTINY - SDガンダムフォース |
OVA: | 0080 - 0083 - 第08MS小隊 - Endless Waltz - MS IGLOO - SEED STARGAZER - SD外伝 ジークジオン編 |
劇場版: | 逆襲のシャア - ガンダムF91 - G-SAVIOUR - GUNDAM THE RIDE - グリーンダイバーズ - SD外伝 聖機兵物語 |
その他: | GUNDAM EVOLVE |
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