楕円ピストンエンジン
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楕円ピストンエンジンとはピストンの形状が真円でなく長円となるレシプロエンジンのことである。ホンダによりレースで使用され市販化もされた。正確にはピストンの形状は数学でいう長円であり、楕円ではない。ロードレース世界選手権（通称：WGP）で使用されたエンジンでは長円（ふたつの半円を直線で繋いだ陸上競技のトラックのような形状）であったが、耐久レース用のレーサー及び市販されたホンダ・NRでは正規楕円包絡線形状といい、正規楕円の周囲に沿って移動する円が形成する曲線の形状となった。現在、F1での使用は禁止されており、MotoGPでの使用もレギュレーションでハンディを課せられている。
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[編集] 開発の経緯
1970年代後半、ホンダが当時のWGP500ccクラスに復帰するに当たって使用するエンジンが検討された。当時のホンダは市販車では2ストロークエンジンにはあまり積極的ではなかったことから4ストロークエンジンを使用することが決定された。当時のレギュレーションでは自然吸気エンジンでは4気筒まで、過給エンジンでは2気筒250ccまでであった。ターボの使用も検討されたが、ドライバビリティの問題もあり自然吸気エンジンに決定された。当時の2ストローク勢の馬力に対抗するためには4ストロークエンジンでは約2万回転まで回して回転数で馬力を稼がなければならなかった。8気筒であれば2万回転も可能であることはわかっていたが、4気筒ではそこまでの高回転化は無理であると考えられた。そこでホンダは8気筒のパフォーマンスを4気筒で実現する楕円ピストンエンジンの開発に踏み切った。
[編集] 構造
基本的にはV型4気筒であるが、1気筒あたり吸気バルブ4本、排気バルブ4本、点火プラグ2本、コネクティングロッドはひとつのピストンあたり2本と、V型8気筒エンジンの隣接する2気筒同士を繋げた格好である。ピストンの形状は前述のように長円形であった。ピストン形状は市販化に当たって長円形から正規楕円包絡線形状に変更された。これは長円形では円から直線への移行部で曲率が不連続に変わり、加工が困難であったためとされている。正規楕円包絡線形状ではこの問題が解決されているが、ピストンリングの問題は最後まで残されたままであった。
[編集] 試験エンジンの仕様
- 1978年7月 K00
- エンジン - 空冷4サイクル・SOHC4バルブ・単気筒
- 排気量 - 152cc
- 最高出力 - 約10ps
- 特記 - 市販車XL250のシリンダー及びピストンのみを長円のものに置換した試験機
- 1983年10月 NR250 TURBO
- エンジン - 水冷4サイクル・DOHC16バルブ・V型2気筒
- 排気量 - 250cc
- 最高出力 - 153ps/18500rpm
- 特記 - 過給圧2.0、ツインターボ、長円ピストンの可能性を探る試験機
車両に搭載されたエンジンの仕様はホンダ・NRを参照のこと
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 富樫ヨーコ 『ホンダ二輪戦士たちの戦い（上）-異次元マシンNR500』 講談社<＋α文庫>、2000年。
