桓玄

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桓玄（かんげん　369年 - 404年）は中国東晋の軍人・政治家。字は敬道。東晋を牛耳り、安帝より簒奪して新たに楚を建てるが、国内掌握に失敗して滅びた。

桓温の庶子として生まれ、その才能を愛されて後継とされた。桓温の死後は叔父の桓沖の後見を受け、桓温の後を継いで武昌（湖北省武昌）の西府軍を継承した。その後、義興（現在の江蘇省宜興）太守となるが「父は九州の伯と為り、 兒は五湖の長と為る!」（父・桓温は（東晋）全土の覇者となったのにお前は五湖（太湖）の長で満足するのか！）と言われ、恥じて辞職した。

若い頃から博学で知られ、配下に多くの著名文人を抱えていた。その中には、帰去来辞を詠んだ陶淵明も桓玄の配下にいた。しかし、桓玄はその才能を警戒され中々中央に進出する事が出来なかった。

当時の東晋は安帝を擁立した会稽王・司馬道子が全権を掌握し、その配下の王国宝などの寒人層と呼ばれる非名門系の起用と賄賂政治により貴族層の不満を買っていた。これに対して398年、貴族で北府軍を率いる王恭が反乱を起こし、桓玄はこれに同調して兵を挙げた。この反乱自体は王恭の下で実際に北府軍を指揮していた劉牢之の裏切りがあり、失敗に終わる。しかし桓玄はこの反乱を利用して自勢力を拡大し、荊州刺史の殷仲堪・雍州刺史の楊佺期を殺し、荊州・雍州を制圧した。

その後、建康政府は司馬道子の息子元顕が政権を握り、勢力を拡大した桓玄に対して警戒を強めるようになった。道子・元顕親子は相変わらずの腐敗した賄賂政治を行い、これに反発した五斗米道系の道士・孫恩による反乱が起きる。

孫恩は劉牢之などに何度も敗れるが、その度に根拠地へ戻って勢力を持ち返し、遂には建康まで迫る勢いを見せた。しかしここで劉裕（後の宋武帝）の軍に大敗し、孫恩は自殺。その後の反乱は妹婿の盧循により引き継がれる。

この間、建康の司馬元顕が劉牢之に対して桓玄を討伐する勅書を出して、桓玄を滅ぼそうとしたが、劉牢之は桓玄に寝返り、建康に入った桓玄は司馬元顕らを皆殺しにして全権を掌握し、総百揆・侍中・都督中外諸軍事・丞相・録尚書事・揚州牧などの称号を名乗った。

その後、劉牢之は桓玄をも裏切ろうとしたが、度重なる寝返りに部下に見放され、逃げ出した後で自殺した。建康を完全に支配した桓玄は403年、安帝より帝位を簒奪して国号を楚とし、永始と元号を建てた。

しかしそのわずか三ヵ月後、北府軍を掌握した劉裕の軍に大敗、西へ逃れた所を益州都護の馮遷に殺された。

建康に入った劉裕は安帝を復位させ、全権を掌握し、420年に禅譲が行われる。劉裕が建てた宋は桓玄の楚とは違い、59年とそれなりの期間存在する。全権掌握後すぐの簒奪とあまりに性急に事を進めたために桓玄の覇業は失敗に終わった。おそらく劉裕は桓玄を反面教師として、慎重に禅譲への道を歩いていったのであろう。