晦-つきこもり
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晦-つきこもり | |
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ジャンル | アドベンチャー(サウンドノベル) |
対応機種 | スーパーファミコン[SFC]、ニンテンドウパワー[NP] |
開発元 | パンドラボックス |
発売元 | バンプレスト |
人数 | 1 人 |
メディア | [SFC] ロムカセット [NP] SFメモリカセット(F:8 B:4) |
発売日 | [SFC] 1996年3月1日 [NP] 1998年1月1日 |
価格 | [SFC] 7,800 円(税抜) [NP] 1,000 円(税抜・書換料のみ) |
その他 | サブタイトルは本作における晦の読み。従って実質のタイトルは晦1字 |
『晦-つきこもり』はパンドラボックスによって制作され、1996年3月1日にバンプレストより発売されたサウンドノベル形式のアドベンチャーゲーム。
目次 |
[編集] ストーリー
- 春休み内、主人公の祖母の七回忌、それは親戚が一同に会する日。故人を偲ぶ式も終わり、一族は見知った仲同士、宴会に大いに謳った。主人公の父母は酔いとお喋りに、久しい顔合わせに浸っていた。
- そして、雑踏から離れ、当然親しい内で集まっていた葉子たちが雑談に花を咲かせる時、一族の一人、真田泰明が突然に口を開く。
- 「七回忌の晩、怖い話をし合うと死者が蘇るんだそうだ」
- 同じく一族の一人藤村正美の制止もままならずに一同は空き間を見つけ移動。一方、いつも来る事で評判の和弘が十五時までに来るといっていたのにも関わらず、二十一時の現在になってもまだ来ない。共にいる親戚中が不安に思う中、使われていないはずの空き間が賑わっているのを不審に思って覗いた本家の嫁前田和子が怖い話の参加者に加わる。直後、その和子が口を開いた。
- 「この客間のこと知ってるの? ちょっとした曰くつきなのよ。それはね……」
- 物語りは始まる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 解説
- 語り部6人を好きな順番で指定していき、全員聞き終えた後の六人目に応じた七人目(七話目)の話を無事聞き終える事が目的という、同社制作の前作『学校であった怖い話』(以下前作)に、ゲームとしての作りを同じとしている。システムの詳細は前作を参照。主な変更点は次に挙げる通り:
- 語り部のグラフィックパターンが複数用意された。
- 選択肢が増えた。
- 話の舞台が建物一箇所以外に及ぶことで、シナリオがバラエティに富んだ内容を取り扱う事が可能になった。
- バッドエンドのパターンが増えた。
- 前作では
[スタートボタン]
を押す事により、話している最中の語り部の話を最初から聞き直したり、以前までの話を語り終えた語り部を一人単位で聞き直し、その聞き返した語り部以後の順番を再度任意選択できる機能が盛り込まれていたが本作では使用不可能になっている。
- キャストは一部を除き、前作に同じく語り部に扮した開発スタッフ。また、前作で語り部を担当した人物も端役に扮して出演している。キャラクターとしては前作から風間が特別出演し、担当者も同一人物。
[編集] 登場人物
[編集] 主人公
- 前田 葉子(まえだ ようこ)
- 年齢:15歳
- 職業:中学生
- 中学を卒業し、今年で私立女子高の高校一年生になる主人公(女性)。語り部の一人であるが、作品中では聞き手に回るため本人が怪談を語る機会は無い。真田泰明に好感を抱く一方で、その様子をからかう前田良夫を嫌う。名前は姓名共に変更可能で、上の姓名が予め設定されている。オープニングデモはこの姓名で進行する。性別は固定。
[編集] 語り部
[編集] 本家
- 前田 和子(まえだ かずこ)
- 年齢:53歳
- 職業:主婦
- 本家の嫁。息子に良夫がいる。地元の主婦らしく、地域の伝統に根ざした怖い話を語る。
- 前田 良夫(まえだ よしお)
- 年齢:11歳
- 職業:小学六年生
- 和子の一人息子で葉子の従兄弟。真田泰明に好意を抱く主人公をからかうが、それが幼いなりの愛情表現であることは多くのシーンで窺える。子供の噂話や子供の目線から見た怖い話が得意。
[編集] 親戚
- 真田 泰明(さなだ やすあき)
- 年齢:33歳
- 職業:TVプロデューサー
- 年齢:28歳
- 職業:自称冒険家
- 主人公のおじ。主人公曰く鈴木由香里に同じにフリーターだそうである。ガハハと声を上げて笑う豪快な性格で、興味ある話題を話し出すと止まらない。
- 鈴木 由香里(すずき ゆかり)
- 年齢:20歳
- 職業:フリーター
- 主人公の遠縁の親戚。高校卒業後、花嫁修業と称して職を転々としているフリーター。醒めた目で世を斜めに見据え、時に残酷な語りをする。変わった(危険な)アルバイトが多いらしく、話題は豊富。主人公を妹のように可愛がっている。
- 藤村 正美(ふじむら まさみ)
- 年齢:26歳
- 職業:看護師
[編集] その他
- 和弘(かずひろ)
- 七回忌に出席する予定だったが、なぜか約束していた二十一時になっても現れない参加者。シナリオの展開次第では七話目に登場する
- 風間 望(かざま のぞむ)
- 前作からの特別出演。本作においても重い雰囲気の空き間に一時の華を添える
- シナリオの展開で、1話~6話全てに登場させる事も可能。
[編集] シナリオ紹介(抜粋/概略)
- ここに書かれたシナリオは一部であり、特に有名かつ人気が高いものも含む。シナリオの総数は隠しシナリオを合わせて50以上。また複数の選択肢が存在し、一つのシナリオの中でも複数のシナリオが派生する。
- ヒナキちゃん
- わらし様
- 沢登り
- 最高の悲鳴
- 自殺の名所
- 死を招くベッド
- 七不思議
- 風間さん
[編集] 評価
前作ならびに本作の監督をつとめた飯島健男は前作を「笑いのない、あってはならない正統派の怪談物作品として制作した」と付属のマニュアル上で発言した。この同氏の意図は、次に挙げる点から前作に比して成功した。その一方で前作を軽い学園物の作品と、怪談物としての前作を同人化という形でからかえるほどに、ともすれば同氏の意図を見下していたユーザーたちからは怪談物作品としての評価を見直された、もしくは同人化し難い内容となっている:
- セーブデータをロードする際の「環境設定」メニューで本編の未使用だった曲を試聴できるほど、豊富に用意されたBGMや効果音のリアルさから怖い話要素が上昇した。前作はピアノ曲であったが、今作においてはオルゴール曲を使用している。
- 選択肢を選んで部屋を探索するイベントが増加し、アドベンチャーゲーム要素が上昇した。
- 反面、前作の学校という身近な身の上話に親近感を持てたが、今作で舞台が広がったため、沸き難くなった:
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- 語り部が良夫を除いて大人である(前作と同世代の語り部は1人も存在しない)。
- 語り部の職業が番組制作会社のプロデューサーや冒険家や看護師など広範。
- その語り部たちの仕事場である病院やテレビ局に対する怖い話の内容。
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- シナリオ上の舞台が会場である客間以外になったことに伴う、晦-つきこもり全体としての密度が低くなった。会場である客間が舞台のシナリオも用意されている一方で、その比率や全体を纏め上げるに耐え得るシナリオとしての完成度は低く、方々に散らばったシナリオをまとめるには及ばない。
- 豊富なバッドエンドパターンに伴い、七話全てを無事聞き終えること自体の、ゲームソフトとしての難易度が上昇した。
[編集] 制作スタッフ
- オープニングシナリオ:飯島健男
- 語り部シナリオ:古川猛・早川奈津子・小島早紀子・川上俊則・大池叙子
[編集] 関連書籍
- 晦 勁文社 1996年4月 ISBN 4-7669-2462-2
- 晦-つきこもり必勝攻略法 双葉社 1996年4月 ISBN 4-575-28574-9