日南線
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日南線(にちなんせん)は、宮崎県宮崎市の南宮崎駅から鹿児島県志布志市の志布志駅までを結ぶ九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線(地方交通線)である。
日南海岸沿いや鰐塚山地を縫って走り、宮崎県南部や鹿児島県東部の市町を結ぶ行楽・地域輸送路線。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):九州旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):88.9km
- 軌間:1067mm
- 駅数:28駅(起終点駅である南宮崎駅・志布志駅を含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:南宮崎~田吉間(交流20,000V・60Hz)
- 閉塞方式:特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
[編集] 運行形態
気動車を使用した南宮崎方面~青島・油津・志布志方面と、電化区間のみを運行する電車を使用した宮崎空港線直通列車の2つの運転系統に分かれるが、特急、ライナーに関しては田吉駅に停車しないため、前者の運転系統のみを「日南線の列車」として案内される場合が多い(宮崎空港方面は日南線の区間を含めて「空港線」の路線愛称がある)。ここでは、主に宮崎空港線直通列車以外を記す。宮崎空港線直通列車についての詳細は、宮崎空港線#運行形態を参照のこと。
ほとんどの列車が、南宮崎駅の隣の日豊本線宮崎駅まで乗り入れる。朝ラッシュ時には日豊本線佐土原駅・高鍋駅まで乗り入れる。
全ての普通列車で、ワンマン運転を実施している。宮崎~志布志間の列車が1~2時間毎に運転されているほか、宮崎・南宮崎~青島・油津間などの区間列車が運転されている。宮崎~志布志間に快速「日南マリーン号」が1日1往復運転されている。
[編集] 宮崎空港直通
南宮崎~田吉間には宮崎空港線と直通する列車が多数運転されており、南宮崎駅から日豊本線の延岡駅方面まで直通している。日豊本線の特急列車も一部が直通している。特急及びライナーは、南宮崎駅のみ停車し、宮崎空港線分岐駅の田吉駅を通過する。なお田吉駅は青島方面と宮崎空港方面の接続は完全ではない。
詳しくは宮崎空港線#運行形態を参照のこと。
[編集] 歴史
南宮崎~北郷間は、宮崎交通が1962年に廃止した南宮崎~内海間の線路跡を利用して翌1963年に開業した。この時、志布志線と繋がり、志布志~北郷間を編入して南宮崎~志布志間が日南線となった。
北郷~志布志間は志布志線の一部として開業した。このうち、飫肥~油津間は宮崎県営鉄道が飫肥線という軌間762mmの軽便鉄道として開業した路線を、改正鉄道敷設法の予定線に重なることから1935年に国有化し、のちに線路跡を利用したものである。
なお、志布志線は1963年の日南線全通時に志布志~北郷間が日南線に編入され、西都城~志布志間となった。志布志駅は、日南線、志布志線、大隅線が集まり、機関区を擁する交通の要衝であったが、1987年に志布志線、大隅線が特定地方交通線として廃止されると、1990年に東方へ移転して1線のみに縮小され、かつての栄華は見る影もなくなってしまった。
[編集] 宮崎軽便鉄道→宮崎鉄道→宮崎交通
- 1913年10月31日 【開業】宮崎軽便鉄道 赤江(現在の南宮崎)~内海 【駅新設】赤江、田吉(初代)、南方(初代。簡易停車場)、木花(初代)、青島(初代)、折生迫(初代)、内海(初代)
- 1914年7月15日 【簡易停車場→停留場】南方
- 1915年3月20日 【停留場新設】曽山寺(初代)
- 1915年7月1日 【駅名改称】赤江→大淀
- 1920年?月?日 【社名変更】宮崎軽便鉄道→宮崎鉄道
- 1923年10月22日 【停留場新設】青島温泉
- 1939年3月21日 【停留場名改称】青島温泉→子供の国(初代)
- 1942年4月1日 【駅名改称】大淀→南宮崎
- 1942年4月7日 【仮停留場新設】本郷
- 1943年8月24日 戦時企業統合政策により宮崎鉄道が宮崎交通となる。
- 1943年9月1日 【仮停留場廃止】本郷
- 1949年1月20日 【停留場新設】江佐原
- 1962年1月 青島~内海間が土砂崩れのため休止となる。
- 1962年7月1日 【路線廃止】南宮崎~内海 【駅廃止】飛行場前、田吉(初代)、南方(初代)、江佐原、木花(初代)、曽山寺(初代)、子供の国(初代)、青島(初代)、折生迫(初代)、白浜、内海(初代)
[編集] 宮崎県営鉄道飫肥線→国有鉄道油津線
- 1913年8月18日 【開業】宮崎県営鉄道飫肥線 飫肥~油津(3.9M→6.4km) 【駅新設】油津(初代)、一里松、飫肥(初代)
- 1914年6月22日 【停留場新設】星倉
- 1919年6月3日 【駅→停留場】一里松
- 1929年3月5日 【停留場新設】妻手橋、宮之前
- 1930年10月1日 【停留場→駅】一里松
- 1931年6月15日 【停留場→駅】星倉
- 1931年9月8日 【延伸開業】飫肥(2代)~東飫肥(0.4km) 【駅新設】飫肥(2代) 【駅名改称】飫肥(初代)→東飫肥
- 1932年8月1日 【貨物支線開業】星倉~大藤(5.3km) 【停留場開業】(貨)殿所、(貨)内之田、(貨)大藤
- 1935年7月1日 【買収・国有化】油津線 飫肥~油津(6.8km)、星倉~大藤(5.3km)
- 1937年4月5日 【駅名改称】油津→元油津
- 1941年10月28日 【路線廃止】油津線 飫肥~元油津(-6.8km)、星倉~大藤(-5.3km)。※志布志線延伸開業にともない。元油津付近は、改軌の上志布志線の貨物支線に流用。) 【駅廃止】元油津、妻手橋、一里松、宮之前、星倉、東飫肥、飫肥(2代)、(貨)殿所、(貨)内之田、(貨)大藤
[編集] 志布志線
- 1935年4月15日 【延伸開業】志布志~榎原(28.5km) 【駅新設】大隅夏井、福島今町、福島仲町、日向北方、日向大束、榎原
- 1936年3月1日 【延伸開業】榎原~大堂津(10.2km) 【駅新設】南郷、大堂津
- 1937年4月19日 【延伸開業】大堂津~油津(4.3km) 【駅新設】油津(2代)
- 1941年10月28日 【延伸開業】油津~北郷(13.5km)、油津~元油津(1.0km。貨物支線。実態は、油津線起点付近の改軌新線) 【駅新設】吾田、飫肥(3代)、内之田、北郷
- 1952年1月1日 【駅名改称】吾田→日南
- 1960年7月25日 【貨物支線廃止】油津~元油津(-1.0km)
[編集] 日南線
- 1963年5月8日 【開業】日南線 南宮崎~北郷(+32.5km)旅客営業のみ 【編入】志布志線 志布志~北郷(+56.5km) 南宮崎~志布志間が日南線となる。 【駅新設】田吉(2代)、南方(2代)、木花(2代)、曽山寺(2代)、子供の国(2代)、青島(2代)、内海(2代)、小内海、伊比井
- 1964年3月30日 【貨物営業開始】 南宮崎~北郷(32.5km)
- 1966年12月1日 【駅新設】折生迫
- 1971年10月1日 【駅廃止】田吉(2代)
- 1982年11月15日 【貨物営業廃止】全線
- 1984年3月18日 【臨時乗降場新設】運動公園
- 1987年4月1日 【承継】九州旅客鉄道(第1種鉄道事業者) 【臨時乗降場→駅】運動公園
- 1990年2月20日 【改キロ】志布志駅が移転し0.1km短縮
- 1990年8月8日 【臨時駅設置】食と緑博覧会(南宮崎・南方間、現田吉駅より南方側、1990年9月17日廃止)
- 1994年3月1日 ワンマン運転開始
- 1996年7月18日 宮崎空港線開業 【電化】南宮崎~田吉間。【駅新設】田吉(3代)
[編集] 駅一覧
- ●:停車、▼:志布志方面行きのみ停車、|:通過
駅名 | 南宮崎からの 営業キロ |
快速 日南マリーン号 |
接続路線 | 所在地 | |
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日豊本線 | |||||
宮崎駅 | 2.6 | ● | 九州旅客鉄道:日豊本線(大分・小倉方面) | 宮崎県宮崎市 | |
日南線 | |||||
南宮崎駅 | 0.0 | ● | 九州旅客鉄道:日豊本線(鹿児島方面) | 宮崎県 | 宮崎市 |
田吉駅 | 2.0 | ● | 九州旅客鉄道:宮崎空港線 | ||
南方駅 | 4.2 | | | |||
木花駅 | 7.5 | ● | |||
運動公園駅 | 9.0 | ● | |||
曽山寺駅 | 10.2 | | | |||
子供の国駅 | 11.4 | ● | |||
青島駅 | 12.7 | ● | |||
折生迫駅 | 13.8 | ▼ | |||
内海駅 | 17.5 | ▼ | |||
小内海駅 | 19.9 | ▼ | |||
伊比井駅 | 23.3 | ● | 日南市 | ||
北郷駅 | 32.5 | ● | 南那珂郡北郷町 | ||
内之田駅 | 37.1 | | | |||
飫肥駅 | 39.8 | ● | 日南市 | ||
日南駅 | 43.8 | ● | |||
油津駅 | 46.0 | ● | |||
大堂津駅 | 50.3 | ● | |||
南郷駅 | 53.0 | ● | 南那珂郡南郷町 | ||
谷之口駅 | 56.1 | | | |||
榎原駅 | 60.5 | ● | |||
日向大束駅 | 68.6 | ● | 串間市 | ||
日向北方駅 | 71.8 | | | |||
串間駅 | 74.4 | ● | |||
福島今町駅 | 77.2 | ● | |||
福島高松駅 | 79.6 | ▼ | |||
大隅夏井駅 | 84.5 | | | 鹿児島県志布志市 | ||
志布志駅 | 88.9 | ● |