敵国条項
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
敵国条項(てきこくじょうこう)とは国際連合における条項。旧敵国条項とも言われる。
[編集] 概説
敵国条項は国連憲章53条と107条に規定されている。第二次世界大戦において連合国の敵だった国が、国連憲章に違反した行動を行なった場合に連合国の構成国は(単独でも)国連決議に拘束されずに無条件に軍事制裁を課すことができるとしている。
国連憲章における敵国は明記されてはいないが、第二次世界大戦において枢軸国であった日本、ドイツ、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、フィンランドを対象としている。なおイタリアは途中で枢軸国から脱退し、連合国に立ったため除外されている。また、タイ王国は日本と攻守同盟を結んで枢軸国側についていたが、日本敗戦後に条約は日本の軍事力を背景とした脅迫によるものと主張し、連合国によって枢軸から外された。
日本やドイツなどの敵国が全て国連に加盟した現状から死文化条項とされ、日本やドイツ等から敵国条項を削除する意見が高まってきた。1995年の国連総会において、同条項の国連憲章からの削除を求める決議が採択された。しかし、国連憲章は条約に相当するため、実際に敵国条項を削除するには加盟国の議会承認などの手続きが必要であり、2006年現在において敵国条項の削除は実現していない。