怒首領蜂
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怒首領蜂(どどんぱち)は、ケイブの業務用縦スクロールシューティングゲームのシリーズである。 続編に怒首領蜂II、怒首領蜂 大往生がある。 このうち怒首領蜂IIはケイブ作品ではなくIGSによるもの。 また、先祖の一つにプログラマーなどが共通のバツグン(東亜プラン後期の作品)がある。 この項目では「怒首領蜂」の前作である「首領蜂」についても述べる。
2006年現在のラインナップは以下の通り
- 首領蜂
- 怒首領蜂
- 怒首領蜂II(IGS制作)
- 怒首領蜂 大往生
- 怒首領蜂 大往生 ブラックレーベル
目次 |
[編集] 首領蜂
首領蜂 | |
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ジャンル | シューティングゲーム |
対応機種 | アーケード[AC] セガサターン[SS] プレイステーション[PS] |
開発元 | ケイブ |
発売元 | [AC]:アトラス [SS]:アトラス [PS]:SPS |
人数 | 1〜2人 |
メディア | [AC]:業務用基板 [SS]:CD-ROM [PS]:CD-ROM |
発売日 | [AC]:1995年 [SS]:1996年4月26日 [PS]:1996年10月18日 |
価格 | [SS]:5,800円(税抜) [PS]:5,800円(税抜) |
首領蜂(どんぱち)は、1995年稼働開始。総発売元はアトラス。1996年にセガサターン移植版がアーケード版と同じアトラスから、プレイステーション移植版がSPSからそれぞれ発売されている。
[編集] 概要
近年増加し一ジャンルを築きつつある、俗に言う弾幕系シューティングの始祖と言われる。
続編の怒首領蜂で開花した 膨大な敵弾の隙間を微少な当たり判定の自機ですり抜けていく というスタイルの萌芽は当作品にも見られるが、 怒首領蜂ほど垢抜けたものではなく、評価もいくぶんか低いものとなっている。 弾幕系シューティングが広く認知されるところとなるのは、怒首領蜂の大ヒットからである。
[編集] システム
- 自機
- プレーヤーはゲームスタート時およびコンティニュー時に以下の3種類の機体から1つを選択する。
- 狭範囲のショットを放つ赤い戦闘機Type A
- メインショットを前方に、オプションによるサブショットを移動方向に放つ緑のヘリコプターType B
- 広範囲の3wayショットを放つ青い戦闘機Type C
- ショット
- 各機体は自機より放たれるメインショットと、ゲーム開始時より展開する2つのオプションによるサブショットを持つ。オプションの配置は各機体により以下のように異なる。
- Type Aでは、オプションは自機前方で回転し、その火力をメインショットと結合させる。
- Type Bでは、自機の左右に固定となり、広範囲な火力をもたらす。
- Type Cでは、オプションは後方に位置し、外側を向いて斜め向きの火力をもたらす。
- レーザー
- ショットボタンを押し続けることにより、オプションが前方に集まり直線的なレーザを放つ。この時自機の移動速度は遅くなる。
- ボム
- 各機は個数制限のあるボムを持ち、ボムボタンを押すことで使用することができる。使用することにより、画面上のすべての敵にダメージを与えるまたは破壊する大爆発を発生させ、発生中はすべての敵弾が消滅する。
- レーザー中にボムボタンを押した場合には、爆発の代わりに高出力のレーザーボムを発射し、特定の敵により多くのダメージを与えることができる。
- 首領蜂のボムは一般的な縦スクロールシューティングと異なり、ステージクリア時にも個数が増える仕様となっている。また、ゲーム開始時に所持可能なボムは3個だが、ボムを3個使用する度に所持可能数が1つ増える(最大7個)ため、最終的にはかなりの数のボムを使用できる内容となっていた。
- 但し、ステージクリア時のボーナスが所持可能なボム数に関わっているため、スコアを稼ぐ場合はやはりボムを使わないようにする必要があった。
- ゲットポイントシステム (GPS)
- 俗にコンボと呼ばれる、このシリーズのスコア稼ぎの要となるシステム。一定時間以内に敵を連続で破壊することでコンボが成立し、最後に倒した敵の獲得スコアにそれまでに倒した敵のスコアが上乗せされるため1コンボがスコアに多大な影響を与える。
- 蜂ボーナス
- 各ステージに13個隠れている蜂アイテムを取ると発生。1個目は100点だがミスせずに続けて取ることでスコアが増加し、ステージ内の13個を全て取る10万点となる。
[編集] 怒首領蜂
怒首領蜂 | |
---|---|
ジャンル | シューティングゲーム |
対応機種 | アーケード[AC] セガサターン[SS] プレイステーション[PS] |
開発元 | ケイブ |
発売元 | [AC]:アトラス [SS]:アトラス [PS]:SPS |
人数 | 1〜2人 |
メディア | [AC]:業務用基板 [SS]:CD-ROM [PS]:CD-ROM |
発売日 | [AC]:1997年 [SS]:1997年9月18日 [PS]:1998年9月10日 |
価格 | [SS]:5,800円(税抜) [PS]:5,800円(税抜) |
『怒首領蜂』(どどんぱち)は1997年稼働開始。総発売元はアトラス。 1画面に最大245発の凄まじい弾幕とそれらの隙間を抜けられるほどの極端に小さい自機の当たり判定が話題を呼び大ヒット、現在に至るまで続く「弾幕系シューティング」の金字塔作品として知られる。
[編集] システムとスコアボーナス
この作品には多数のボーナスが存在し、それらをいかに維持・獲得するかでスコアに大きな差が生じる。
- 自機
- 自機は前作と同じ3種類だが、加えてショット強化とレーザー強化を選択できるようになった。
- ショット強化は、自機から発射されるショットが2連装になり、より広範囲に攻撃できる。
- レーザー強化は、レーザーの威力が増し、発射時の移動速度があまり低下しない。
- ゲットポイントシステム (GPS)
- 前作と異なり、同一の敵にレーザーを当て続けることでコンボが途切れないようになった。また、途切れるまでの時間がゲージで視覚的に確認できるようになった。
- コンボが繋ぎやすいように敵が配置されるようになった事もあって、ステージ最後までコンボを繋ぐ事が可能になり、遊びやすくなっている。
- 蜂ボーナス
- 前作と異なり、ステージ内の13個を全て取ると次ステージの蜂のスコアが増加するようになった。最終的には1個100万点まで増加する。
- マキシマムボーナス
- ボムの所持数が最大の時にボムアイテムを取ると発生、それからボムを使用するか死ぬまでの間、毎秒1万点以上(正確には1/60秒毎に220点)スコアに加算される。またボムアイテムを取り続けるとスコアの加算率が倍増していく。2周目は1周目の倍の点が加算される。
- 弾幕消しボーナス
- 特定の敵を破壊すると画面中の敵弾が消滅し、消滅した敵弾の数に応じたスコアが加算される。使用できる箇所は少ないが、最大で3,000万点ほど稼げるためスコア稼ぎには必須のボーナス。
- ノーミスボーナス
- 1度も死ぬことなくステージをクリアするとスコアに加算される。1周目は(ステージ数+1)×10万点で、2周目はその10倍。
[編集] 超高難度の2周目
当作品には、ノーコンティニューで下記の条件のいずれかを満たした時のみ挑戦可能な2周目が存在する。
- 5,000万点以上
- ミス回数が2ミス以内
- 蜂アイテムパーフェクト(各ステージに存在する13個の蜂を全てノーミスで回収)を4ステージ以上
- 最大HIT数が以下以上
- A-TYPE 270HIT以上
- B-TYPE 300HIT以上
- C-TYPE 330HIT以上
内容として主に挙げられるのは敵弾の倍増、コンボゲージ時間の延長、ボムボーナスの増加、そして1週目にはない7面と真のラスボスの存在である。特にラスボスの「火蜂」は全画面を埋め尽くすほどの敵弾を常時ばら撒く上にボム攻撃中やプレイヤーが死んだ後の無敵時間内は一切ダメージを受け付けないため、プレイヤーの腕前が問われる。 (ちなみに続編である怒首領蜂 大往生に登場する緋蜂とこのゲームで登場する火蜂は同類であっても異なるボスである)
[編集] スペシャルバージョン
セガサターン版のハイスコアアタックキャンペーンの優勝商品として1枚だけ生産された非売品。通称“青版”。ノーマルverより敵の弾数が多い、ボスの体力ゲージが2本あるなど色々と変更されている。2006年12月28日~30日に開催される年忘れケイブ祭りでプレイできる。
[編集] 移植版
- セガサターン (1997年9月18日発売)- オリジナルモードとサターンモードが選択可能。
- プレイステーション (1998年9月10日発売)- 同機の2D性能の限界に挑戦したと言われる。開発はSPS。
[編集] 怒首領蜂II
怒首領蜂IIは2001年稼働開始。この作品はケイブはライセンス提供のみ行っており、実際の開発はIGSが行った。販売はカプコン。
ステージは6面構成となっており、ステージ6終了時にスコアが4億点以上あるとステージ7に進むことができる。他の作品とは異なり、コンティニューの有無は問われない。
[編集] 怒首領蜂 大往生
怒首領蜂 大往生 | |
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ジャンル | シューティングゲーム |
対応機種 | アーケード[AC] プレイステーション2[PS2] |
開発元 | [AC]:ケイブ [PS2]:アリカ(移植) |
発売元 | [AC]:AMI [PS2]:アリカ |
人数 | 1〜2人 |
メディア | [AC]:業務用基板 [PS2]:DVD-ROM |
発売日 | [AC]:2002年 [PS2]:2003年4月10日 |
価格 | [PS2]:5,800円(税抜) |
『怒首領蜂 大往生』(どどんぱち だいおうじょう)は2002年稼働開始。総発売元はエイエムアイ。2003年にはアリカの移植によるプレイステーション2版(白版・後述)が発売された。これには「緋蜂」を倒すという究極のプレイが収められたDVDが付属し、それが人気の一助ともなった。
[編集] 概要
はるかな未来、1000年前の愚かな戦争以来封印してあった機械兵団の復活により危機に瀕していた人類が、知性や感情を持つ人型機械である「エレメントドール」らと協力して機械兵団に立ち向かうという筋立て。
前々作の首領蜂や前作怒首領蜂との直接のストーリー関係はないが、ステージ2後半やステージ3前半での前作へのオマージュ、最終ステージでの怒首領蜂キャラクターのゲスト出演などに前作との繋がりを感じ取ることができる。
ゲームシステムとしては前作よりもさらに派手な攻撃が可能となった「ハイパー」システムが特徴。 上級者はミスせずに大量に使用することで、高い難度によるスリルと手応えを得られる。
音楽は並木学が作曲。なお、同じくケイブのケツイ ~絆地獄たち~、エスプガルーダIIも氏の作曲で、虫姫さまは岩田匡治との共同。
[編集] システムとスコアボーナス
- 自機
- 自機の選択は前作および前々作から大きく変更され、3種類あったものが2種類へと削減されている。プレイヤーはまず以下の2種類のタイプから1つを選択する。
- 移動速度が速く前方集中型のショットを持つType A
- 広範囲のワイドショットを持つが移動速度が遅いType B
- タイプ選択後、以下の強化タイプの異なる3種類のエレメントドールを選択する。
- 通常ショットが強化されるショーティア
- レーザーが強化されるレイニャン
- 通常ショット・レーザーの両方が強化されるエクスイ
- なお、各タイプごとにボムの初期数や上限数が異なる。
- ハイパー
- 画面上部のハイパーメーターが上限まで達するとハイパーアイテムが1個出現する。アイテムをとるとストックされ、ボムボタンを押すことで発動することができる。発動時には画面上の敵弾を消す効果があり、発動した瞬間からステージ道中では80フレーム、ボス戦中では120フレームの無敵時間が存在する。また、複数個をストックすることも可能だが、発動時にはストック個数に関係なくそのすべてを一度に消費する。ハイパー使用中は自機の攻撃がショット・レーザーともに強化される反面、敵の攻撃や弾速が激しくなるため、ボムの代わりとして使用する際には注意が必要である。
- コンボボーナス
- 前作とほぼ同じ内容である。ハイパー使用中は通常とは異なり、ハイパーによるヒット数増加部分に、コンボ累計得点の1/10が加算される。
- 蜂ボーナス
- 各ステージに10個隠れている蜂アイテムを取ると発生。取得すると、取得時のコンボ数×1,000点が加算される。なお、10個すべてをノーミスで取得した場合、最後の1個は得点がさらに2倍される。
[編集] 難度とブラックレーベル
年々ライトユーザーの増えつづけるシューティングゲームにおいて、前作怒首領蜂とほぼ同水準の 難度(1周目)は相対的に「現在では多くのユーザーにとっては高難度である」という現象を生み、 達人王以来のシューティングゲームの高難度という問題がここにおいてふたたび表面化した。
ケイブはこれに対し初期難度をやや落とし新モードを追加するなど細部を調整したバージョンアップ版「ブラックレーベル」を発表した。 流通量としてはブラックレーベルは少なく、それに対し通称「白版」と呼ばれる通常版の稼動するゲームセンターのほうが多い。
また、こののちのケイブ作品は、同程度の難度であるケツイ ~絆地獄たち~のインカム不振をへて、エスプガルーダや虫姫さま(いずれもインカム好調)と、より初期難度が時代に合わせて低下した間口の広いものとなった。
[編集] 前作を超える超々高難度の2周目
当作品には前作怒首領蜂同様、ノーコンティニューで下記の条件のいずれかを満たした時のみ挑戦可能な2周目が存在する。
- ミス回数が2ミス以内
- ボム使用回数が3回以下
- 蜂アイテムパーフェクト(各ステージに存在する10個の蜂を全てノーミスで回収)が3ステージ以上
前作との大きな違いは開始前に残機が没収されることである。2周目1面は一度のミスで即ゲームオーバーとなり、コンティニュープレイも不可能という厳しさで、プレイヤーからは「スリリング」「練習の機会が少なすぎる」など賛否両論であった。また、2周目の最後に登場する真のラスボス「緋蜂」は前作の「火蜂」を上回り人間の限界を超えるほどの攻撃をし、全国の腕自慢がこれに挑んだものの数ヶ月もの間はこれを倒せる人間は現れなかった。当作品の「緋蜂」は、現在でもシューティングゲーム最高難度ボスの一つに数えられる。
[編集] デスレーベル
当作品のプレイステーション2版にはデスレーベルというモードが追加されている。デスレーベルにはステージ道中はなく、各ステージのボス前から開始となる。また、ボス戦前にハイパーアイテムをフルストックすることができる。難易度は通常モードの2周目とほぼ同じ。また1周目をクリアすると無条件で2周目に突入となるが、このモードの2周目では1周目より攻撃が激しくなるだけでなく、残機無しでスタートされ、開幕時のハイパーアイテムも無くなり、さらにボムを使うとボスの耐久力が回復するとあまりにも過酷な条件下で戦い抜かなければならないために、その難易度は最強最悪を誇る。事実、PS2版が発売されてから3年以上経った現在でも2周クリアを実現できた人は未だに現れていない事からもその凶悪ぶりを垣間見ることができるだろう。
1周目をクリアした際には前作怒首領蜂の登場人物であるシュバルリッツ・ロンゲーナ大佐らしき人物がゲスト出演するというサービスもある(当作品アーケード版には登場しない)。この場面での彼の言葉「死ぬがよい」は前作怒首領蜂2周目7面においての決り文句でもあり、高難度への挑戦意欲をかきたてるPS2版の有名なキャッチコピーともなった。