市町村民税
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
法令情報に関する注意:この項目は特に記述がない限り、日本の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律の専門家にご相談下さい。免責事項もお読み下さい。 |
市町村民税(しちょうそんみんぜい) は、住民税とも呼ばれ、当該自治体に住所または居所を置く個人、本店支店を置く法人、または家屋敷、事務所等を所有するものに賦課される。これらは市町村(または特別区)により賦課徴収される。 昭和25年7月31日、法律226号として地方税法が存在する。
目次 |
[編集] 個人の住民税
主に個人の収入に着目(課税客体)して賦課する。
- 住民税の年税額は、課税標準額に一定の税率を乗じて算出する所得割額と、一律の額により課税される均等割額との合算額である。
- 主な所得の種類は、営業・農業・不動産・利子・配当・給与・一時・その他事業所得・雑所得(年金含む)・譲渡所得であり、その所得の計算方法は収入金額から経費を差し引いたものが所得となる。(給与・年金は、所得控除の専用の計算式がある。)
- 所得控除は、雑損・医療費・社会保険料・生命保険料・損害保険料・寄付金控除などの支払額に関する控除(物的控除)。老年者・寡婦(カフ)・寡夫(読みはカフだが寡婦と区別するためカオットと表す。)・勤労学生・障害者・配偶者・配偶者特別・扶養・基礎控除があり、これらは、人を目的としているものなので人的控除と呼ばれる。
- 課税標準額は、住民税においては「所得金額-控除金額」で計算される。
- 所得割額は、課税標準額から、それぞれ市町村民税の税率を乗じて算出する。
- 均等割額は、一定の非課税限度額を超える場合に一律の額により課税される。
- 未成年者、寡婦(寡夫)、障害者に該当する者で、年間の合計所得金額が125万円以下である場合は課税されない。
[編集] 法人の住民税
法人税(国税)から算出される法人税割と、従業員数や資本金から算出される均等割がある。
[編集] ワンポイント整理
- 主に収益に着目して課税される。(均等割部分も収入が少ないと賦課されない。)
- 課税客体は、ほとんど所得税と同様である。(給与や年金の計算控除額は同じ。)
- 所得控除は、ほとんど所得税と同様だが控除額が少ない。(幅広く負担を求めるため。)
- 一般市民における一番大きな所得税との差は、住宅借入金等特別控除が無いことである。(住宅ローン減税)
- 実際には道府県(または都)分の住民税と併せて賦課徴収される。(市県民税・道村民税などのように、先に市町村、後に都道府県を冠して表記されることが多い。)
- 二種類以上の収入がある場合は申告の必要がある。(所得税では従たる収入が20万円以下の場合は確定申告を要しない。)
[編集] 特別徴収
[編集] 住民税の問題点
- 申告しない者に帰属する所得の把握が困難である。
- 所得税と住民税の事務が大部分で重なっている。(課税自主権の問題となる。)
- 自治体毎に賦課しているため、自治体間の連携が取りづらい。
- 税制改正により所得税・住民税自体の諸控除額が減らされ、広く浅くの住民税と狭く深くの所得税の差異が少なくなっており、それぞれの存在的価値は単に国税か地方税かという課税庁の差異だけになりつつある。特に扶養控除額(配偶者控除・特定扶養控除など)はすでに縮小廃止され特に子供を持つ若い世代に対しての増税が顕著で、出生率の減少に対する施策となっていない。さらに老年者に対する課税も徐々に強化され(もともとかなりの優遇ではあったが)、定率減税なども廃止の方向であり、全般的に増税の傾向である。現在では給与所得控除の縮小も検討され、申告知識の差がより税額に反映してくる制度となるであろう。