山川純一
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山川 純一(やまかわ じゅんいち)は、ゲイ雑誌『薔薇族』で活動した漫画家。(主にインターネットコミュニティにおいて)愛称は「ヤマジュン」。
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[編集] 作風
まるで1970年代の少女漫画そのままの男性キャラクターに、過剰なセックスアピールや、ギャグとも取れる強引な展開を基本スタイルとし、尚且つ時代劇やミステリー、第二次世界大戦などの様々な題材を手広く同性愛と融合させアレンジしている。
[編集] インターネット上での広がり
10年以上にわたって日の目を見ることのなかったヤマジュン作品が再び脚光を浴びる事になったのは、あやしいわーるど@暫定(暫定退避)というチャット風掲示板において2002年2~7月ごろ(2002年6月12日にあやしいわーるど@みらい(現あやしいわーるど@qwerty)において大きな話題となっていることが確認されている)に匿名投稿者が山川の作品、『くそみそテクニック』からの1ページをスキャンし、違法に公開したことが発端であった(2001年からという説もあるが、ログの追跡が困難であったためひとまず確認できた最古の時期を表記する)。本物のゲイでも有り得ない、荒唐無稽とも思える内容や台詞回しが滑稽で笑いを誘い、一部のネットワーカーの間でひそかな話題となっていた。
2003年3月ごろ、画像掲示板群ふたば☆ちゃんねるに山川の作品が公開され、ブームの兆しを見せる。ほぼ同時期、さらに輪をかけて利用者数の多い匿名掲示板群である2ちゃんねるにも笑えるネタとして飛び火し、認知度が飛躍的に高まった。作品中の台詞である『ウホッ!いい男……(道下正樹)』『やらないか(阿部高和)』はたちまち流行語となり、「ヤマジュン語」と呼ばれ、「ウホッ」という言葉がゲイを意味するようになるほどの浸透を見せ、2ちゃんねるのみならず、あらゆるコミュニティにおいて一大ムーブメントを巻き起こした。この為、それ以前に書かれた漫画の「ウホッ!(うほっ!)」が全てゲイ的に取られるという現象が起きている(例:横山光輝版『三国志』の張飛のセリフ等)。
更に、人気の上昇に伴って国立国会図書館で当時の薔薇族を探し、当時の作品をサルベージする(掘り起こす)者が現れ始め、ほとんどの作品がネット上に公開された。この人気は一部のものに留まらず、ゲーム、Flash、画像コラージュ、アスキーアートなどの二次創作が活発的に製作された他、オンリーイベントも催された。最終的にはファンによる復刊ドットコムへの復刊運動も発生し、実際に『ウホッ!!いい男たち ヤマジュンパーフェクト』というタイトルで今までの単行本や未収録作品をまとめた本が発売されることとなった。この人気には「くそみそテクニック」に見られるコミカルなインパクト以外に、短編としての面白さも評価されてのものだと思われる。また、ヤマジュンの魅力は本来の対象のゲイの男性のみならず腐女子をも虜にし、女性のヤマジュン愛好家をペニスが無いことを由来とした『無ジュニア』という名前で呼ぶようになった。
ヤマジュン作品がこれほどの高い人気を獲得している理由には、実際に雑誌上で作品を体験した訳ではない世代や、同性愛に興味のないノンケの読者でもそれ程抵抗感なく読み進められるタッチである事、そして短編ながらよくまとまった構成やストーリー性・ギャグ性・シリアス性などが挙げられている。ヤマジュン作品の多くは、単純にゲイセックスだけを扱っているのでは無く、ゲイを取り巻く環境・犯罪・精神世界・家族の形など様々なテーマを扱い、ファンの中には「既に一種の社会派・哲学的漫画に昇華している」とまで絶賛する者も居る程である。ヤマジュン作品のブレイク以降も、笑えるネタとしてホモ漫画が発掘される事はあったものの、これ以上の人気を得た作品は存在していない。
ブームは既に過ぎているものの、2ちゃんねるやインターネット上のサブカルチャー界では、ある種の「定番」として広く受け入れられ、完全に定着するに至っている。
[編集] 本人に関する情報
1982年の掲載開始以来、1988年まで足掛け6年にわたり薔薇族で読み切り作品を連載しており、単行本も3冊出されていたが、それ以降は少なくとも山川純一名義でのマンガは一切描いておらず、消息は明らかではない(連載が終了した理由は後述)。2ちゃんねるでは、有志が様々な方面から消息を捜索し、レディースコミックにおいて、辻あさ美名義で活動しているという説が有力となっているが、絵柄の近似のみによる推測である為、確たる情報が得られているわけではない。また、2ちゃんねるで山川の「甥」と名乗る人物が彼の近況を語るという出来事があった他、突飛な所では「自殺説」まで囁かれているものの、いずれも確証はない。
また、一連のブームや『ヤマジュンパーフェクト』の発刊などで、復刊ドットコムのスタッフが山川純一と連絡を取ることができたことから、何らかのコメントがあるのではないかという期待ももたれたものの、残念ながらファンの期待通りにはならなかった。
薔薇族の編集長である伊藤文學が同誌と所有のブログ内で語ったところに拠ると、『線が細い』『根暗な青年』『地味』『ひっそりと暮らしている風だった』という印象で、作品の持ち込みを始めた当時は生活に貧窮していた様子が伺えたという。また、作品のアイディアやストーリーなどは、実際のハッテン場に入り浸るなどして得たものではなく、自宅で考えたものだろう、とも推測している。
伊藤によると、インターネット上での人気とは裏腹に、連載当時の薔薇族のスタッフからは、山川の作品はひどく嫌われていた(少女漫画風で線が細く、長髪や面長な登場人物が受け入れられなかったという)。その為、度々連載を中止してほしいとスタッフから要請があり、連載を中止せざるを得なかったとしている。しかし、当時薔薇族からの稿料のみで生活を立てていたという山川を慮った伊藤は、作品の掲載が無い時にも稿料を支払っていたが、逆にそれを気にした為か、山川はそれ以降姿を現さなくなったという(この辺りがヤマジュン人気が出ても再登場しない所以なのか、もしくは死亡した為か?と推測させる遠因になっている)。
2006年11月に、薔薇族が使用していた事務所の引き払いの際、山川の35作品のうち、「裏切り」「美しき野獣」「快楽の罠」など13作品の原画が23年振りに発見された。それぞれの作品は保存状態も良好であったため、ネットオークションに掛けられファンに売却される事となったが、これについては「本人に返却すべきなのではないか」「売却せずに認知度を高めるために使うべき」という山川に好意的な意見が多く、ヤマジュン人気は衰えていない。
[編集] 著作一覧
[編集] 作品
- 刑事を犯れ
- やりすぎたイタズラ
- 薔薇族かくれんぼ
- 男狩り
- ひとつの青春が終わった
- 地獄の使者たち
- 教育実習生絶頂す
- 夏色転校生
- 宿直室を襲え!!
- 快楽の罠
- 死のロンド -オオカミと羊-
- 熱きライダーたち
- 裏切り
- 男新次はつっ走る
- ぼくらのスゴイやつ
- 兄貴が好きなんだ!
- 海から来た男
- ハレンチ教師
- 真夜中のノック
- ちび薔薇行進曲
- 華麗なる復讐
- 俺のオナニータイム
- 美しき野獣
- 湯けむりの中で
- くそみそテクニック
- 俺がいちばんセクシー
- 疾走する獣たち
- 僕の性活論
- BOY+愛2
- マゾの快感(よろこび)
- 荒野の果て
- 僧衣を脱ぐ日
- 男の約束
- 男たちの夏
- 絆
[編集] 単行本
- 君にニャンニャン
- 兄貴にド・キ・ド・キ
- ワクワクBOY
- ウホッ!いい男たち ヤマジュン・パーフェクト
[編集] 関連用語
- アッー! - 2ちゃんねる上のホモネタとして、「やらないか」と双璧を成す用語