屋号
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屋号、家号(やごう)とは、日本における商家・農家・俳優などが称する家の称号。
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[編集] 日本における屋号
日本における屋号は、江戸時代において士農工商の身分制度により武士以外の者が苗字を名乗ることが認められなかったため、商人や大きな農家が、取引をするための必要性から、あるいは日常生活上の必要性から屋号を使うようになった。
[編集] 商家の屋号
商業においては、屋号はのれんや看板として商人の信用の基礎となり、現在でも屋号を商号としている会社や個人事業主は多い。
[編集] 役者の屋号
江戸時代初頭において、歌舞伎役者の身分は士農工商以下の河原乞食という賤民だとされていたが、役者の人気上昇とともにその経済力、発言力などの影響が無視できなくなり、幕府は役者を良民であるとした。これにより役者達は表通りにも住むことが可能となり、当時、表通りは商家と決まっていたため、役者達はこれに習い商売を始めた。そこで役者を屋号で呼ぶようになった。主な商いは化粧屋・小間物屋であったが、中には薬屋などもあった。この屋号は役者の地位の象徴となった。
- 歌舞伎役者の屋号一覧も参照のこと。
これにならって、落語・講談・浪曲など、伝統芸能の諸分野において屋号が用いられるようになった。なお、落語家の屋号には~亭というものが多いので、一般に落語家の屋号を亭号とも呼ぶ。
[編集] 家族制度の屋号
屋号は地域によっては家の姓に代わるものとしても用いられたので(特に同姓が多い地域で現在でも必要な場合もある)、一家族、一族の系統を示すものとしても用いられている。この場合の屋号は地方によっては士農工商の身分制度とは関わりなく用いられ、姓を持つ士族の家系にも使われている事も多々ある。これらの制度は商人との取引が多かった地域などに見ることもできる。
古くからの地域や特定の集まりに根付いた家は、集落内における家の特徴(本家・分家などの家の成り立ち、家が立地している地理的特徴など)を含んで屋号が名づけられている。また、家長が代々襲名する名乗りを屋号にしていることも多い。この場合、屋号はその地域や特定の集まり以外でほとんど使われることがない。
[編集] 日本の屋号の例
日本の屋号は、いくつかの種類に類型化することができる。
まず、語尾に「屋」を付すもので、江戸期に発生した屋号に多い。現在は歌舞伎役者の屋号のほぼ全てこの形であり、他にも商家から続く会社の屋号に多く使われる。
国名+屋
生業・職業名に由来
その他
また、記号と文字を組み合わせた紋章(印)をそのまま屋号とするものもある。多くは記号1つと文字1つの組み合わせで使用される。現在では倉庫業、味噌・醤油製造業の会社に多く見られる屋号である。セリ仲買人の屋号にも多く使用される。「丸(○)+文字」形式の例には、丸井、丸大食品、マルハなど。「カネ(┐:金、曲、兼)+文字」形式の例には、金森倉庫、カネミ倉庫、かねさなど。「山+文字」形式の例には、ヤマキ、ヤマサ醤油など。その他の例にはキッコーマン(亀甲萬)などがある。
この他、農漁村に多いのは、家の地位・所在地・特徴などを屋号としたものである。道のかどにあるので「カド」、田のふちにあるので「タブチ」、村の庄屋なので「ムラカミ」、家の始祖が三郎左衛門なので「サブロザエモン」、新たに家を創始したので「シンタク」(新宅)などの例がある。農漁村の屋号は非常に多様であるとともに、村の歴史を内包したものでもあるため、民俗学上の貴重な史料とされることが多い。
[編集] 関連項目
[編集] ヨーロッパにおける屋号(der Geschäftsname)
ドイツ語圏における屋号には、"Zum Goldenen Schwan"(金の白鳥亭) とか "Weisser Hirsch"(白い鹿亭)といったものが多い。オーストリアを初めドイツ語圏でもっとも多く上演されるオペラに、ラルフ・ベナツキー作曲の「白馬亭 Im Weißen Rößl」がある。
各地の屋号例;
- ウィーン:
- ザルツブルク:
- Weisses Rössl(白馬。ブランド名でもある)
- Goldener Hirsch(金の鹿)
- Weisse Taube(白鳩)
- Elefant(象)
- Blaue Gans(青の駝鳥)
- インスブルック:
- Goldener Adler(金の鷲)
- Weisses Rössl(白馬)
- Jörgele(開業者の名前)
- Grauer Bär(灰色の熊)
- Schwarzer Adler(黒鷲)
- Goldene Krone(金の王冠)
- Weisses Kreuz(白十字)
- プラハ:
- U zlatého hada(金の蛇) - カフェ
- U tří pštrosů(三匹の駝鳥) - カフェ
- Zlatý drozd / Goldene Drossel(金の鶫)
- フランクフルトのユダヤ教徒コミュニティー:その項目を参照
- ハイデルベルク
- Zum roten Ochsen(赤い雄牛亭)