将閭

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将閭(しょうりょ、? - 紀元前209年)は、秦の荘襄王の子とされ、始皇帝の異母弟とされる。姓は嬴(えい)。但し､史書では、単に秦の公子だけとしか記されていない。彼は公子の中でも聡明で知られ、人望が篤かった人物だったという。一説では子嬰の父らしい。

[編集] 略歴･人物

紀元前210年秋7月に始皇帝が50歳で病死し、末子の胡亥が李斯と趙高らに擁立されると、胡亥は趙高に自分の親族を処置を相談した。胡亥が｢父の代からの重臣らは朕を馬鹿にしおるし、官僚達は適当過ぎる。また朕の叔父と兄らも朕の過失を粗探しし帝位を狙うとの噂があるようだが…｣と問うた。そこで賺（すか）さず趙高は｢陛下を愚弄する重臣と官僚達は全て陛下の叔父御と兄君の配下でございます。陛下、そこでです。まずは官僚とそれを監察する大臣らを苛酷に裁くのです。彼等に過度があれば、そのお上である叔父御と兄君を連座として罪に問うことが可能です。｣と述べた。これを聞いた胡亥は大いに喜び、趙高に全ての権限を委ねたという。こうして、世に言う趙高の恐怖政治が始ったという。

趙高はまず自分に敵愾心を見せる官僚と大臣を捕らえて、無実の罪でこれを処刑した。さらに亡き始皇帝の公子12人（公子高も含む）が咸陽の市場で極刑され、その公主（皇帝の皇女）10人が磔の刑に処されて無惨な最期を遂げ、その財産は殆ど没収されたという。しばらくして、趙高の親衛隊長が将閭の邸宅に乗り込んで来て「公子将閭さまとその御舎弟さま達を勅命で逮捕をいたします。」と叫んだ。将閭が不審に思って聞くと「公子さまご兄弟は陛下に不敬な態度を取られた罪で、それは死に値するとのことです。」と答えた。すると将閭は激怒して「わしが不敬罪だと？冗談じゃない。わしは秦の伝統の儀式に従って、模範通りにやったのだぞ！」と叫んだ。だが親衛隊長は「そのことはわたしには全く関わりのないことです。それは趙高さまにお伺いくださいませ。」と義務的に冷たく答えたという。すると将閭は観念し、同母弟らに向かって「弟達よ。もうわしらはお終いだ。他の公子もこうやって非業の死を遂げたのだろうな…」と述べた。こうして「趙高の下僕らに申し付けて置く。わしらは天命で自決するのだ。決して罪で死すのではないぞ！」と叫んで剣に頸（くび）を当てて壮絶な自決を遂げたという。将閭の同母弟らも兄の後を追うように自決して果てたという。さらに主だった一族も趙高によって、刑場で極刑にされ晒しものになったという。

後日談になるが、一説では秦の公子の子嬰が、趙高によって自決に追い詰められた胡亥の跡を継いで三世皇帝（実質的には秦王）に即位すると、彼は趙高を憎悪し、仮病と偽って儀式に参加せず、彼は自分の息子と家臣と密談して、痺れを切らした趙高を自邸に誘って、これを謀殺したところを見ると、子嬰は将閭の遺児という見方もあると窺える。