宇宙戦争 (映画)
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『宇宙戦争』 (うちゅうせんそう、War of the worlds) は、2005年のアメリカ映画で、SF映画。
H・G・ウェルズによる同名の小説を原作とする。『宇宙戦争』参照。
スティーヴン・スピルバーグ監督作品。 トム・クルーズは出演のほか製作にも参加している。 製作費は1億3200万ドル。6月29日、日米同時公開。
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[編集] 概要
この映画はH・G・ウェルズの小説だけではなく、1938年のラジオドラマや、1953年の映画『宇宙戦争』の要素を引用している。
2001年9月11日に起きた同時多発テロ事件で受けたアメリカに住む人々の衝撃・思いを反映している。映画には墜落したジャンボ旅客機、掲示板に貼られた無数の人探しの張り紙などが登場するが、これらは9.11のテロを連想させるものである。映画のメイキングでスピルバーグも公言しているが、あえて9.11のテロを連想させるようにしむけているとのことである。
この作品の特徴として、短期間で製作されたことが挙げられる。通常こうした大作のハリウッド映画は、制作期間が数年に渡るが、この作品は企画から公開まで1年ほどしかかかっていない。
なおILM社による複雑なデジタル合成を含むシーンを撮影前にシミュレートする「プリビジュアライゼーション」の方法を覚えるため、スピルバーグは『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』にアシスタント・ディレクターとして参加した。(もっともスピルバーグが自分の映画でプリビズを使うのはこれが初めてというわけではない。前々作『マイノリティ・リポート』でもプリビズは多用されている)。
[編集] ストーリー
湾岸労働者のレイ・フェリアーは離婚した妻との子供たち、レイチェルとロビーを預かるが、子供たちに対してあからさまに悪態をつく。翌朝、その町に奇妙な稲妻が数十回も同じ場所に落ちる。レイは多くの野次馬たちとともに落雷した場所を見にいくが、その地中から殺人マシーン・トライポッドが出現し、レーザー光線で人々を皆殺しにする。なんとか逃げて生き延びたレイは、盗んだ車にレイチェルとロビーを乗せて町を出る。悪い父親だったレイも、子供たちを守ろうと必死に奔走する。しかし、トライポッドは世界中に現れては町を破壊しており、どこにも逃げ場はなくなっていた。
[編集] キャスト
- レイ・フェリアー:トム・クルーズ(吹替:森川智之)
- レイチェル・フェリアー:ダコタ・ファニング(三村ゆうな)
- ロビー・フェリアー:ジャスティン・チャットウィン(野島健児)
- ハーラン・オグルビー:ティム・ロビンス(てらそままさき)
- メリー・アン・フェリアー:ミランダ・オットー(本田貴子)
- ナレーター:モーガン・フリーマン(津嘉山正種)
[編集] スタッフ
- 製作:キャスリーン・ケネディ
- 監督:スティーヴン・スピルバーグ
- 脚本:ジョシュ・フリードマン、デヴィッド・コープ
- 音楽:ジョン・ウィリアムズ
- 視覚効果スーパーバイザー:デニス・ミューレン、パブロ・ヘルマン
- SFX:ILM
[編集] 評価
この作品は大ヒットしたが、その一方で一部の観客から高い評価は得られなかった。これは観客が、大作ということでスカッとするような娯楽作を期待していたが、実際は意外にも暗く地味な映画であり、その上原作通りのあっけないラストだったためである。すなわち、すべてを主人公の視点から描写する一人称的技法によって映画の純度を高める一方、通例のディザスター・ムービー(パニック映画)の持つ祝祭的趣向を積極的に排除したことが要因と考えられる。『映画秘宝』の2005年度ベスト2位、ワースト2位の両方を取るという事から一部の人たちから熱狂的な支持を集めている事が分る。 作品の中盤で「大阪では(トライポッドを)何体か倒したらしい」というセリフは数々の特撮映画を撮った日本にスピルバーグが敬意を込めて入れたセリフである。また、本編中では、大阪からの停電についてのテレビ中継シーンもある。
また、この作品を語る上で頻繁に登場する作品に『インデペンデンスデイ』(1996年)がある。
[編集] 関連項目
- 宇宙戦争 (H・G・ウェルズ) - 左記には作品の内容に関する記述が含まれます。
- カルト映画
[編集] 外部リンク
- 宇宙戦争公式サイト(日本語)
- War of the Worlds(2005) at IMDb.com (英語)