天然果実
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天然果実(てんねんかじつ)とは、法律用語で物の用法に従い収取する産出物をいう(民法88条1項)。法定果実の対概念である。天然果実は、その元物(天然果実を産出した物)より分離する時にこれを収取する権利を有する者に属する(同法89条1項)。
天然果実の収取権者には、善意の占有者(同法189条1項)、所有権者(同法206条)、地上権者(同法265条)、永小作権者(同法270条)、不動産質権者(同法356条)、目的物引渡未了の売主(同法575条1項)、使用借権者(同法593条)、賃借権者(同法601条)、親権者(同法828条但書)などがある。また、抵当権者は、被担保債権につき不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の天然果実と法定果実にも優先弁済権を行使することができる(同法371条、大審院大正6年1月27日判決民録23巻97頁)。
[編集] 具体例
- 果樹園で採取された果実
- 牝馬が出産した仔馬
- 鉱山から採取された鉱物
- 竹林から採取された筍
- 隣地から伸びた地下茎から生えた竹は、生えた土地の天然果実である(最高裁昭和35年11月29日判決判時244号47頁)。