名鉄小牧線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
小牧線（こまきせん）は、愛知県名古屋市北区の上飯田駅から愛知県犬山市の犬山駅までを結ぶ名古屋鉄道の鉄道路線である。
上飯田～味鋺間は地下線となっている。起点の上飯田駅は1971年に名古屋市電の路線が廃止されて以降、長らく路線バス（上飯田バスターミナル）以外に連絡手段のないターミナルで、近隣の地下鉄名城線の平安通駅まで徒歩15分かかり、通勤時間帯は上飯田駅～平安通駅間を歩く人が多くいた。2003年3月27日に名古屋市営地下鉄上飯田線が開業し名城線の平安通駅まで直通するようになり、利便性が向上した。
運賃計算区分はB。（運賃計算に用いる距離は営業キロの1.15倍）
なお、小牧市内を起終点とする定期券を所持していれば、こまき巡回バスが無料で利用できる。また、こまき巡回バスへと乗り継ぐ場合、こまき巡回バスの運賃は無料になる。ただし「巡回バス乗継券」を改札口でもらい、提示する必要がある。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄・路線距離（営業キロ）：全長20.6km
- 軌間：1067mm
- 駅数：14駅（起終点駅含む）
- 複線区間：上飯田～小牧間
- 電化区間：全線（直流1500V）
- 閉塞方式：車内信号式（上飯田～味鋺間）、自動閉塞式（味鋺～犬山間）
- 交換可能駅：田県神社前駅、楽田駅、五郎丸信号場
- 最高速度：95km/h
[編集] 運行形態
 
|
普通列車のみで平安通駅～犬山駅間（地下鉄上飯田線直通運転、所要は昼間時間帯で下り37分・上り34分）の列車が毎時4本運行。このほか、平安通駅～小牧駅間（所要約18分）の列車が朝夕に2～4本加わる。
駅集中管理システムが導入されたため、車掌による発券・改札作業が不要となったことから、各駅のホームの映像を運転席のモニタに電送するシステムを導入した上でワンマン運転を実施している。
上り下りそれぞれの終着駅である犬山駅では名鉄犬山線・広見線が、平安通駅では名城線と接続しているものの、名鉄と地下鉄との相互乗り入れ路線でありながらも連絡接続を行っていないために最低でも約10分から最大約30分待たされることが多く、平安通駅では上飯田方面から到着した列車から名城線に乗り換える際に久屋大通と本山方面の列車が発車した後（もしくは発車直前）であることがほとんどである。また犬山駅においても名鉄の路線にも関わらず他の名鉄線との連絡接続は行っていない。また犬山線からの列車が（事故などで）遅れた場合、各務原線や広見線方面はある程度は連絡待機するのに対して、ほぼ独立路線である小牧線では連絡待機せずそのまま出発してしまうために乗客が乗り残しをしてしまう問題も発生している。
[編集] 使用車両
[編集] 歴史
名古屋鉄道の前身である名岐鉄道により開業した。当時は非電化路線で、気動車（ガソリンカー）による運行であった。
2003年、上飯田線との相互直通運転を前に、名古屋鉄道の路線では初めて無人駅に遠隔操作による駅集中管理システムを導入。線内の全駅に自動券売機と自動改札機、自動精算機が設置され、名古屋地区共通の共通乗車カードシステム「トランパス」が導入された。また、上飯田駅には可動柵（ホームゲート）が設置された。
同年3月27日、上飯田～味鋺間の地下新線が複線で開業し、旧来の地上単線区間は廃止された。この結果、小牧駅以南の区間がすべて複線となった。同時に、名古屋市営地下鉄上飯田線との相互直通運転をワンマン運転で開始した。なお、上飯田～味鋺駅の地下線区間は上飯田連絡線株式会社が保有することとなったため、当該区間は名古屋鉄道が第二種鉄道事業者となっている。なお地下化する際に、同区間に「瀬古駅」を設ける話も浮上したが、結局設置は見送られた。
国土交通省（当時運輸省）の運輸政策審議会（1992年1月10日答申第12号）により、小牧～犬山間の複線化が答申路線A（2008年までに整備することが適当である路線）として盛り込まれたものの、その後小牧～小牧原間が2006年9月30日に廃線となった桃花台新交通の高架が邪魔をしており、それ関して愛知県は、撤去に莫大な費用がかかることから「撤去はしない」方針であることや、名古屋鉄道自身も小牧線における優先順位がかなり低く、莫大な費用をかけて複線化しても需要が少ないと判断され着工には至っていない。
- 1931年2月11日 名岐鉄道城北線上飯田～新小牧（現在の小牧）間開業。
- 1931年4月29日 新小牧～犬山間が開業。大曽根線と改称。
- 1942年 追分駅を楽田原駅に改称。
- 1942年7月1日 上飯田～新小牧間が電化。
- 1944年 味美～春日井間の春日井口駅、牛山～小牧口間の間内駅、新小牧～味岡間の上新町駅、小牧原駅、味岡～楽田間の久保一色駅、楽田～羽黒間の楽田原駅、羽黒～東犬山間の五郎丸駅が休止。
- 1945年5月1日 小牧線（後の岩倉支線）が新小牧駅に乗り入れ。岩倉支線の小牧駅が廃止され、新小牧駅を小牧駅と改称。
- 1946年3月1日 広見線の犬山口～東犬山～富岡前間廃止に伴い、乗換駅である羽黒～犬山間の東犬山駅廃止。
- 1947年11月24日 小牧～犬山間が電化。間内駅営業再開。
- 1948年5月16日 大曽根線を小牧線、岩倉～小牧間の小牧線を岩倉支線と改称。
- 1951年10月11日 小牧原駅営業再開。
- 1964年10月1日 架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
- 1965年3月1日 休止していた久保一色駅を田県神社前駅として営業再開。
- 1966年11月3日 羽黒駅を明治村口駅に改称。
- 1969年4月4日 休止中の春日井口駅、上新町駅、楽田原駅、五郎丸駅廃止。
- 1974年11月26日 明治村口～犬山間の単独立体交差事業（高架）が完成。国道41号との平面交差が解消。
- 1977年5月29日 間内～小牧間が複線化。
- 1979年4月1日 味美～豊山信号所間が複線化。
- 1979年8月 連続立体交差化事業の国庫補助が確定。
- 1980年7月 名鉄小牧線関連の都市計画策定（連続立体交差事業、高架事業）。
- 1981年12月 小牧線の連続立体交差事業の認可が下りる。
- 1982年7月 小牧線の高架事業に関する3者間の事業協定締結（愛知県、小牧市、名鉄）。
- 1982年10月 高架事業工事着工。
- 1983年3月 連続立体交差事業工事着工。
- 1985年10月9日 明治村口駅を羽黒駅と改称。
- 1987年6月14日 小牧～田県神社前間の単独立体交差事業（高架）が完成。小牧原駅と味岡駅が高架駅となった。1989年完成の連続立体交差事業との境界は、東名高速道路となっている。
- 1989年4月23日 間内～小牧原間の連続立体交差事業（南側掘割区間795m・中央地下区間1150m・北側掘割区間555m）が完成。小牧口駅が掘割区間に移設され、小牧駅は地下駅として旧駅の150m東側に移設された。
- 1990年3月 連続立体交差事業完了。
- 1997年2月8日 味鋺～味美間が複線化。
- 2000年10月18日 豊山信号所～間内間が複線化。豊山信号所廃止。
- 2002年3月 小牧～犬山間を15分間隔の運行とするため、田県神社前駅構内に列車行き違い用設備と羽黒～犬山間に五郎丸信号場を新設。
- 2003年3月27日 上飯田～味鋺間の旧線が廃止され、上飯田連絡線が開業。名古屋市営地下鉄上飯田線と相互直通運転を開始。この前後から「駅集中管理システム」を導入、稼動開始。
- 2004年5月8日 間内～小牧口間の限度額立体交差事業（高架）が完成。
- 2005年6月29日 上飯田以外の全駅で「乗車券確認システム」を導入。名鉄初の不正乗車防止システム。
[編集] 駅一覧
普通列車のみ運行。全列車、各駅に停車。
| 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
|---|---|---|---|---|
| 名古屋市営地下鉄上飯田線平安通駅まで直通運転 | ||||
| 上飯田駅 | 0.0 | 名古屋市営地下鉄：■上飯田線(K01)（直通運転） | 愛知県 | 名古屋市北区 |
| 味鋺駅 | *2.3 | |||
| 味美駅 | 3.7 | 春日井市 | ||
| 春日井駅 | 5.4 | |||
| 牛山駅 | 6.9 | |||
| 間内駅 | 7.8 | |||
| 小牧口駅 | 9.0 | 小牧市 | ||
| 小牧駅 | 9.8 | |||
| 小牧原駅 | 11.3 | |||
| 味岡駅 | 12.4 | |||
| 田県神社前駅 | 13.3 | |||
| 楽田駅 | 14.9 | 犬山市 | ||
| 羽黒駅 | 17.2 | |||
| 五郎丸信号場 | (18.9) | |||
| 犬山駅 | 20.6 | 名古屋鉄道：犬山線・広見線 | ||
*：運賃計算の際は、上飯田駅～味鋺駅間の営業キロは旧線の2.1キロを用いる。
[編集] 過去の接続路線
- 味鋺駅：名鉄勝川線 - 1937年2月1日廃止。
- 小牧駅：
- 名鉄岩倉支線 - 1964年4月25日廃止。
- 桃花台新交通桃花台線 - 2006年10月1日廃止。
- 小牧原駅：桃花台新交通桃花台線 - 2006年10月1日廃止。
- 東犬山駅（廃止）：名鉄広見線 - 1946年3月1日廃止。東犬山駅も同時に廃止。
