卓袱台
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卓袱台(ちゃぶだい)は、大正から戦中を経て、昭和40年代にかけて、日本の家庭で一般に用いられた四脚で折りたたみのできる木製の食卓(テーブル)。食卓としての利用が基本の用途だが、机や作業台としても利用される汎用の座卓である。 楕円形や四角形の物もあるが、一般的には円形をしている。
日本家屋は部屋の用途が特定されていないので、日中に居間として利用された部屋を夜間には寝室として利用する場合も多い。このため、寝具や家具は設置や収納が容易に出来るように工夫が施されている。座卓が折り畳み式になっているのもこのためで、折りたたみの出来ない座卓は卓袱台とは呼ばない。
小さな卓袱台を家族で囲んで食事をし、子供の勉強机として利用され、母親が裁縫をする台としても使われた。常に家庭の中心にあったので、家族団らんの象徴でもある。
卓袱(ちゃぶ)とは、中国で用いられる「テーブル掛け」のことで、ここから転じて日本では「食事」の意味で用いられる。現在はほとんど使われる事のない言葉だが、卓袱台のほかに「かめちゃぶ」(牛丼)という表現がある。
[編集] 卓袱台返し
アニメ『巨人の星』のエンディングで、主人公の父親で極端なスパルタ教育で知られる星一徹が、卓袱台をひっくり返すシーンが毎回見られたことから、一徹=「卓袱台返し」というイメージが一般化した。しかし実際に本編中では全話のなかで一度しか卓袱台をひっくり返すシーンはない。
このことから、トップが企画をご破算にしてやり直させることを「卓袱台返し」と称することがある。例えば任天堂のゲームクリエイター・宮本茂は、ゲーム作りへのこだわりからほぼ出来上がったものを大幅にやり直させることがしばしばあり、自らそれを『巨人の星』のそれにちなんで「ちゃぶ台返し」と呼んでいる。
[編集] 関連用語
- 卓袱屋(ちゃぶや)
- もともと食事を提供するということを名目にした売春宿のこと。横浜・神戸などの開港場の船員や外国人相手の小料理屋に由来する。
- 卓袱(しっぽく)
- 同じ漢字でも「しっぽく」と呼べばまったく異なる意味となる。卓袱(しっぽく)つまり「卓の覆い」から、中国風の食卓で朱塗りで、周囲に紅白の紗綾(さや)を垂れるものをいう。ここから「卓袱料理」の意味ともなった。長崎地方の郷土料理のことで、中国の精進料理が日本化したもの。大鉢などに盛って一つの卓に供する。