北東アジア
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北東アジア(ほくとうあじあ)は、広大なアジア地域の地域区分の一つで、東アジアと北アジアを合せた地域区分。
1980年代以降使用数が増加してきた。ほぼ同義の東北アジアとともに使用数が増加している。1980年代に見られた北東アジアの使用例では、中国東北部、朝鮮半島、ロシア(ロシア連邦)極東の沿海州、日本というほぼ環日本海に重なる地域区分であったが、現在は中国(中華人民共和国)全域・ロシアのシベリア・モンゴルにまで拡大する使用例も多くなり、ほぼ東北アジアの使用例と合致するようになっている。
この北東アジア・東北アジアは、いずれも20世紀後半には使用例が見られていたが、特に、1980年代から1990年代以降、顕著に使用数が増加した。この両語の歴史的背景、現在的状況及びその地域の諸問題については東北アジアの項目を参照のこと。
日本では、特に環日本海経済交流圏(中国・朝鮮半島・ロシア・日本)交流を目指していた日本海側の道府県で多く環日本海を使用していた。しかし、韓国(大韓民国)が日本海の名称をめぐって、東海であると主張したため、1990年代になると、国際会議等で環日本海を避けて北東アジアを使う場合が多くなった。
なお日本の報道機関では中国語・朝鮮語の「東北亜」を東北アジアではなく、北東アジアと訳する場合も多い。ただ、国際政治・経済・歴史・考古学・文化人類学等各分野の研究書・論文等では、東北アジア・北東アジアのいずれの使用例も増加している。また、現在、ネット検索において、東北アジア320万件以上、北東アジア80万件以上の検索数がある検索エンジンもあり、特に日本において東北アジア・北東アジアが定着し、21世紀において有意義な地域区分用語となっていることが分かる。
また、日本外務省の北東アジア課は、1958年以来朝鮮半島を主として担当する課であって、その所管する地域範囲は狭い。しかし、この地域で現在的に進行している六カ国協議には、この地域に密接に関わる日本・中国・韓国・北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)・ロシア・アメリカ(アメリカ合衆国)が参加しており、世界最強の軍事力・経済力をもつアメリカ(アメリカは、アラスカ・アリューシャン列島を考慮に入れると、事実上、この地域の一部を構成している)、世界最大の人口を有し経済発展が著しく軍事プレゼンスも顕著な中国、世界最大の領土を持つロシア、世界第2位の経済力をもつ日本という、巨大な勢力が国境と海域を接してせめぎ合う場となっており、この地域の平和・共生・安定と、経済・文化等の交流拡大が、21世紀の日本にとって極めて重要となっている。