仙台港
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
仙台港(せんだいこう)は宮城県仙台市宮城野区の東端に位置する港湾である。港湾管理者は宮城県。特定重要港湾に指定されている。
1971年に開港した比較的新しい港で、仙台湾の砂浜を掘り込んで建設された。仙台市民の間では、建設当時の「仙台新港」やその略の「新港」の通称が今でも通用しており、「仙台港」より「仙台新港」と言うことが多い。
仙台港が出来るまでは、隣接する塩竈市の塩釜港が仙台市の外港の役割を担ってきたが、仙台港の開港により役割分担が進んだ。このような経緯から、行政上、仙台港は長らく塩釜港の一部(塩釜港仙台港区)という扱いだったが、2001年に仙台塩釜港と改称して特定重要港湾の指定を受けた。仙台港はその一部の仙台港区と位置づけられている。
原油、自動車、重油、液化石油ガスや各種製品を貨物として扱う(2003年の貨物取扱量 : 3378万2千トン)。名古屋および苫小牧との間でフェリーが就航している。
仙台港の南側の砂浜は、東北地方で最も有名なサーフ・スポットとなっており、日本プロサーフィン連盟によるプロの試合が毎年開催されている。
目次 |
[編集] 沿革
- 1964年 - 建設計画決定。
- 1967年 - 建設工事開始。
- 1971年 - 開港。
- 1987年 - 未来の東北博覧会が開催される。
- 1995年 - ガントリークレーン供用開始。輸入促進地域(FAZ)指定。中核国際港湾に指定。
- 1997年 - 国際ゆめ交流博覧会が開催される。
- 1998年 - 横浜本牧~仙台港間に海上コンテナの鉄道輸送定期貨物路線が出来る。
- 2001年 - 仙台塩釜港と改称して特定重要港湾に指定。
[編集] フェリー航路
フェリーターミナルへは、仙台駅前から宮城交通バス仙台港線で「仙台港フェリーターミナル」下車。
[編集] 港の形状
掘り込み港部は、長軸(東西)の中央航路と短軸(南北)の北航路で構成され、「T」を逆さにしたような形をしている。中央航路は、港口から北航路の分岐部までは「外港」、分岐部より西側は「内港」と見れる。埠頭の水深は14メートルから7.5メートル。
中央航路(外港)の北側、および、北航路は、臨海工業用地とこれら施設のための桟橋となっており、火力発電所、エネルギー関連施設(ガスや石油基地)が並ぶ。
中央航路(内港)には、工場も立地しているが、旅客・貿易港としての機能が集積している。
- 中央航路の北側には、仙台臨海鉄道の線路が延びてきており、倉庫が多く並んでいる。北側の埠頭は以下の4つに分かれ、旅客と物流に対応している(東から西、港口から最奥部に列挙)。
- 高松木材埠頭(岸壁1つ)
- 中野埠頭(1-6号岸壁)荷捌き : ニューマチックアンローダー1基、ジブクレーン1基
- フェリー埠頭(1-2号岸壁)
- 雷神埠頭(1-3号岸壁)
- 中央航路の突き当たりには、野球場とテニスコートが併設された中央公園、および、夢メッセやアクセルといった大規模集客施設などがある。釣り客や一般利用客が多く利用する地区である。
- 中央航路の南側には工場が並んでいる。工場地区の東側、中央航路の外港部南側に埠頭があり、大型コンテナ流通施設が並んでいる(東から西、港口から最奥部に列挙)。
- 向洋埠頭(1号岸壁)
- 高砂埠頭(1-2号岸壁)荷捌き : ガントリークレーン3基
[編集] サーフィン・ボディボード
仙台港の建設は、仙台を一躍有名なサーフ・スポットに変えた(外国人サーファーも見かけるが、仙台在住の者であり、世界的に有名であるわけではない)。港の南側の砂浜では、外洋から入るうねりと南防波堤の反射波によって形の整った大きな三角波が発生するため、一年中多くのサーファーやボディボーダーを引き寄せている。仙台市中心部から車で30分程度の距離にあるため、勤務時間前後の朝夕にも多くの者が波乗りを楽しんでいる。
なお、仙台港の将来計画では、向洋埠頭の南側のサーフスポットとなっている海を埋め立てて、高砂埠頭と連続したコンテナターミナルとすることになっている。仙台港のコンテナ流通量が拡大傾向にあるため、近い将来、このサーフスポットは消滅する可能性が高い。
[編集] サーフ・スポット
向洋埠頭の南の砂浜から七北田川河口までの海岸線(長浜と呼ばれる)がサーフスポットとなっており、無料の駐車場もある。サーフスポットとしては 「仙台新港」 と呼ばれることが多いが、「仙台港」、「新港」、または、南防波堤を略して「ナンボー」などと呼ばれることもある。
波は夏季に高く冬季に低い。そのため、夏季はショートボードやボディボード、冬季はロングボードに適している。基本的に、南の七北田川の河口に行くにつれて波が大きくなるのであるが、海底の砂の形状や、親潮・黒潮・台風によるうねり・南防波堤の反射波などの諸要因が重なり、場所によって波の形状や大きさが違ってくるので、地元サーファーの間では更に細かく区分けされている。例えば、「杭前(くいまえ)」 といわれる場所が、最も波が大きくて上級者向けと言われている。なお、隣接してあるコンテナヤードの照明がとても明るいため、サーフスポットとしては珍しく日没後も明るい。
- コンテナ埠頭から七北田川河口までが、サーフ・スポットとしての「仙台新港」。
- 海面に見えるうねりの形状が、仙台港内は平面波であるのに対し、サーフスポットとしての「仙台新港」の方では、南防波堤の反射波の影響等で複雑になっており、かつ、波も高くなっている。「杭前」は、写真上で大きな離岸流が出来ている辺り。砂浜の最北端部は、元々資材置き場であったが、県当局とサーファーとの間の協議によって無料の駐車場として開放された。
うねりはかなり遠くからも到達し、例年の台風なら、紀伊半島沖辺りに到達すると仙台港にもうねり(回折波)が入り始める。また、ハリケーン・イオケ(台風12号 (2006年))の場合は、ハワイ沖にあるにも関わらず、うねり(直達波)が到達して最大8m程度の波高になった。遠くで発生したうねりは周期が長くなる傾向があり、晴天で凪であっても急激に波高が大きくなるので注意が必要である。なお、地球の反対側にあるチリで発生したチリ地震の際には津波が到達しているので、気象台(仙台管区気象台)発表の平均波高以外にも注意が必要なサーフスポットである。
[編集] プロ最高峰大会の開催地
2002年から、毎年日本プロサーフィン連盟主催のプロサーファー(男女)による国内最高峰ツアー「プロシリーズ」(ショートボード)が開催されている。例年、台風シーズンの9月~10月の開催。太平洋上の台風から届くうねりを期待しての時期設定であり、仙台直撃の台風を期待してるわけではない(通常、仙台直撃の台風は「雨台風」となる。台風直撃時の波は、フェイスのない崩れた波となるため、サーフィンには適さない)。
さらに2003年からは、ツアーの中で最も歴史と権威のある「オールジャパンプロ」の開催地に4年連続で選ばれている(★:オールジャパンプロを示す)。
- 2002年9月24日・25日 プロシリーズ第4戦
- 2003年9月24日~29日 プロシリーズ第3戦★+ロングボード第3戦
- 2004年10月1日~3日 プロシリーズ第4戦★+Grom-prix(15歳以下)
- 2005年9月15日・16日 プロシリーズ第3戦★
- 2006年10月18日~22日 プロシリーズ第5戦★
サーフスポットの砂浜沿いには、津波対策用の高さ3m~15m程度の土盛りがあるが、これが建設意図にはなかったであろう「観客席」としても使用できるため、観戦にも適した開催地となっている。
[編集] 釣り
仙台港は、最も安全に海釣りが出来るスポットとしても人気がある。中央公園の中央航路に面した岸壁には転落防止柵があり、そこから釣り糸を垂らす親子連れの釣り客が連日見られる。その他、仙台港の至る所で釣り客が見られる。
[編集] 周辺
仙台港の北側海岸沿い
仙台港の南側海岸沿い
内陸部
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
仙台港
- 仙台港 ホームページ
- 仙台国際貿易港 整備利用促進協議会
- 夢メッセ みやぎ みやぎ産業交流センター
- アクセル 仙台港国際ビジネスサポートセンター
- 仙台港貿易促進センター
- ジェトロ仙台 (JETRO 日本貿易振興機構)
- 宮城県 国際経済課
- 写真でみる宮城野区
- 国土地理院・地図閲覧サービス(仙台港)
- 仙台塩釜港の誕生
- JR貨物(国際海上コンテナ輸送)
- 海上コンテナの鉄道輸送
野蒜築港
石巻工業港
サーフィン