井原鉄道IRT355形気動車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
IRT355形気動車(IRT355がたきどうしゃ)は、井原鉄道の気動車。
1999年の開業当初から使用されており、開業を記念して当時の郵政省が発行した「ふるさと切手」にも描かれている。
1998年に新潟鐵工所(現・新潟トランシス)の地方鉄道向け車両「NDCシリーズ」を元に製造されたが、当初からトイレを設置している。一般車両0番台10両とイベント車両の100番台2両の計12両でスタートしたが、2005年に200番台となった「夢 やすらぎ号」(水戸岡鋭治氏デザイン)1両が増備されて現在は計13両在籍している。
形式名に冠されたIRTとは「井原鉄道の列車」を意味するIbara Reilways Trainの頭文字をそれぞれ取ったもの。数字の355はこの車両の出力355PSにちなむ。
目次 |
[編集] 概要
新潟鐵工所の標準的な第3セクター鉄道向け気動車であるが、全長18mのステンレス車体と355PSの機関、変速2段直結3段の液体変速機の組み合わせにより最高運転速度を110km/hとするなど高性能を狙った車両である。
[編集] 諸元
[編集] 車体
[編集] 構造
全長18m(車体長17.5m)、幅2.8のステンレス車体で側外板厚が1.5mm、屋根板厚は0.6mmであるが、前面と床板はは4.5mmの一般構造用鋼板を使用している。
[編集] 設備
乗降用扉は車体両端2ヶ所に1m幅の片開きドアを設け、窓は熱線吸収ガラスの固定窓であるがカーテンもついている。また、出入り口はステップレスであるのも特徴である。
トイレは和式の真空式トイレを採用している。
暖房はエンジン廃熱を利用する温水温風式で、客室に8台、運転室に2台設置されている。冷房は機関直結式で15,500kcal/hの屋根上ユニットを2台搭載している。
[編集] 走行機器
[編集] エンジン・液体変速機
エンジンはコマツ製のSA6D125H-1A(定格出力355PS/2100rpm)で過給器および吸気冷却器付きである。液体変速機もエンジンと同じくコマツ製のKTF3335A-2Aで、変速2段・直結3段で33パーミルでの運転に対応しており、性能として直結1段で約50km/h、変速1段でも約45km/hのを確保(クーラー停止時)している。
[編集] 台車
動台車は2軸駆動のNP131D形、従台車はNP131T形である。いずれもボルスタレス台車で基礎ブレーキ装置はユニットブレーキ、軸箱支持方式は軸ゴムウイングバネ方式、軸受は密封複式円錐コロ軸受である。車輪径は一般の鉄道車両と同じ860mmである。
[編集] ブレーキ
電気指令式空気ブレーキで機関ブレーキ、排気ブレーキを抑速ブレーキとして装備しているが、特に機関ブレーキを常時使用して制輪子の長寿命化を図っている。