二ヶ国語放送
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二ヶ国語放送(にかこくごほうそう)は、音声多重放送の一種。
二ヶ国語放送とは、音声信号として2つ(或いはそれ以上の場合も一般にはそう呼ばれる)の言語を同時に放送するものを呼ぶ。
日本のアナログ放送の場合は、使用可能な音声トラックは2つと定義されており、それぞれを主音声トラックと副音声トラックとして使用している。日本国内での二ヶ国語放送の場合は、ごく一部の特殊なケースを除けば、主音声には日本語、副音声には外国語の音声を入れて放送する事が一般的になっている。(同様の仕組みで、副音声に日本語での解説を入れたものは解説放送と呼び分けている。)
デジタル放送の場合、この音声トラック(デジタル放送に関する解説では通常は「音声ストリーム」と呼ぶ)については、一つの放送番組につき最大8トラックまで同時使用が可能で、それぞれの音声トラックをステレオ2ch、副音声付(デジタル放送では二重音声と呼ぶ)、5.1chサラウンドステレオなどにすることが可能になっている。但し、組み合わせによっては1番組内で使用帯域数の制限を受けるため、必ずしも音声トラック8本が全て常に同時に使用できるわけではない。 これにより、アナログ放送では二ヶ国語の場合は各言語がモノラルにしか出来なかったり、最大でも二ヶ国語であったが、デジタル放送では各言語をそれぞれステレオ2chにしたり、5.1chサラウンドも同時放送したり、さらには3ヶ国語以上の放送も技術的には可能になった。
放送受信機器側の都合で、二重音声放送(アナログ放送における副音声付放送)の場合は、一度切り替えた音声設定は、再度変更するまではチャンネルや番組が切り替わってり電源の入/切を繰り返しても変らないものが殆んどだが、デジタル放送で取り入れられた多重音声トラック方式では、3多重音声以上の放送を考慮しなければならない為、チェンネルや番組が変ったり電源の入/切を行なうたびに第一音声に戻るものが殆んどになっている。そのため、放送規定としては本来任意になっているが、テレビ局側も機器側事情を考慮して、二重音声放送が行なう場合、必ず第一音声を二重音声としている。
音声多重放送による二ヶ国語放送を実施している分野はいくつかに絞られる。
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[編集] ニュース番組
現在、定時放送ではNHKは「NHKニュース7(現在は土・日・祝含む)」と「ニュースウォッチ9」など、TBSテレビでは「イブニング・ファイブ(平日全国ニュース枠のみ)」が実施している。なおテレビ長崎の「KTNスーパーニュース」では英語とは別に朝鮮語と中国語の同時通訳が放送されている。
また過去にはNHKの「NHKニュース9(1995年4月~2000年3月の間のみ)」と「NHKニュース10」と「BSニュース経済最前線(2005年12月まで)」、日本テレビのお昼以降のニュース番組、TBSテレビの「JNNニュースコープ」と「JNNニュースの森(平日全国ニュース枠のみ)」、フジテレビの20時55分の「FNNニュース・明日の天気」(現在のFNNレインボー発)、2002年の「FIFAワールドカップ™」の期間中のみ「NHKニュース(正午)」、フジテレビの「ニュースJAPAN」で実施された。
それらとは別に、海外の放送局製作のニュース番組を日本語に通訳して放送するケースもある。CNNjや、BS1で放送中の「ABC NEWS ナイトライン」など。
また、「JNNニュースの森」のページも参照のこと。
[編集] 映画・洋画番組
映画・外国製映画では声優による日本語吹き替えを主音声で、オリジナルを副音声で放送する事が多い。
現在では地上波放送局の映画番組であるテレビ朝日「日曜洋画劇場」、日本テレビ「金曜ロードショー」、テレビ東京「木曜洋画劇場」、フジテレビ「土曜プレミアム」では常時吹き替え放送を実施している(吹き替えなしの場合あり)。デジタル放送ではステレオ2音声で放送することもある。その一方、衛星放送では予算の関係もあり、吹き替えを行わず字幕を使用するのが多い。
吹き替えに関しては、いわゆるハリウッド映画に登場する俳優の、吹き替えを担当する声優が固定されていることが多く、中には放送局によって配役が異なるケースもある。
[編集] 海外ドラマ
日本でテレビ放送が始まってまもなく、アメリカをはじめとする海外の放送局が制作したドラマの放送が始まり、その頃から吹き替え放送を実施している。
吹き替えに関しては映画と同じく、日本語吹き替えを主音声、オリジナルを副音声にして放送する事が多い。吹き替えなしの字幕放送は少ない。
一方で、テレビ東京「ポケットモンスターアンコール」(放送終了)では日本で製作されたアニメであるが、副音声ではアメリカ版の英語放送を放送していた。
また、TBSテレビ「兼高かおる世界の旅」(放送終了)では日本で製作された旅番組であるにもかかわらず、副音声では英語放送を放送していた。
[編集] その他
プロ野球中継-NHK BS1では主音声では通常の実況放送、副音声では場内の音声のみを放送している(そのほかのスポーツ中継番組でも実施されているものがある)。本当に会場にいる雰囲気だけを楽しむことができる。 また、BASEBALL L!VE-フジテレビでは主音声では通常の実況放送、副音声では各地の途中経過や結果を放送している。ただし、ローカルで中継を行う場合(テレビ西日本{ソフトバンク}・仙台放送{楽天}など)はステレオ放送になる。
[編集] 現在使用中の「二ヶ国語放送」テロップ
- NHK-2003年4月頃~ 地上波・BS放送・NHKワールド(国際放送)各放送共通で「BILINGAL(その下に)2か国語」(その下に下線が入る 画面右上に表示 地上デジタル放送も同様だが4:3の映像の収まる範囲内で表示されているため少し中央よりである)それ以前は「BILINGAL〈下線〉二ヶ国語」と画面左下に表示していた。2001年頃まではBS1とBS2ではごく一部の番組を除き一切表示しなかった。
- 日本テレビ-時期不明~ 「二BILINGAL」
- TBS-時期不明~「2」の数字に上に「BILINGAL」。BS-iも同様のデザインである。
- フジテレビ-時期不明~
- テレビ朝日-時期不明~
- テレビ東京-時期不明~ ステレオ放送と共通の音声多重放送マークに「BILINGAL」。音声多重放送マークの表示はTXN各局・BSジャパン共通だが最近では表示されていない。
※民放各局の「放送」テロップは提供クレジット用のものを使って表示されている。また、音声多重放送マークの表示は北海道の一部地域で実施されていないことに配慮し、全国各放送局別で出している。