ワルサーPPK
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ワルサーPPK .32ACPモデル |
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ワルサーPPK | |
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種類 | 警察用自動拳銃 |
製造国 | ドイツ |
設計・製造 | ワルサー社 |
口径 | .32口径(7.65mm) |
銃身長 | 83mm |
ライフリング | |
使用弾薬 | .32ACP弾 |
装弾数 | 7発 |
作動方式 | ダブルアクション ストレートブローバック |
全長 | 155mm |
重量 | 635g |
発射速度 | |
銃口初速 | 310m/s |
有効射程 |
ワルサーPPKは、ドイツのカール・ワルサー社が開発した小型セミオートマチック拳銃である。PP(Polizei Pistole)は「警察用拳銃」、PPK(Polizei Pistol Kurzschlus)。
目次 |
[編集] 概要
中型拳銃として開発されたPPをダウンサイジングし小型拳銃としたもので、ダブルアクショントリガーなど内部機構はほぼ同一で、一部の部品には互換性がある。
口径は.22LR、.25ACP、.32ACP、.380ACP(9mm Kurtz)など。
米国輸出用のPPK/Sは、ロバート・ケネディ暗殺事件の後、小型ピストルの輸入規制強化に対する苦肉の策であった。銃の全高・全長の合計が4インチ以上とされたため、PPKはそのままではこの規制に引っかかってしまい米国での販売ができなくなってしまう。このため、PPKのフレームを同ワルサー社製で一回り大きいPP(Polizei Pistole)のものと組み合わせ、規制をクリアした。これには、グリップが大きくなり手の大きな人には扱いにくいという小型ピストルの欠点を補う効果があり、米国では人気が高まることになった。 この規制強化はアメリカ国内の銃器メーカーを保護するためで、暗殺事件は方便として利用されたとする見方もある。
日本の警察でも要人警護用にワルサーPPKが使われている。
[編集] 歴史
1931年に発売開始。ドイツ警察や軍隊、国家社会主義ドイツ労働者党で制式拳銃とされる。
第二次世界大戦後、ワルサー社の工場はソ連占領地域になる。ワルサー社はフランスのマニューリン社とライセンス契約を結び、PPKは1980年代まで生産された。1961年からは新生ワルサー社でも生産が始められた。
1963年にケネディ大統領暗殺事件が起きる。この事件をきっかけに小型拳銃を規制する気運が高まり、1968年に小型拳銃の輸入規制が法制化される。1969年にPPK/S発売。
[編集] 登場作品
[編集] 映画・小説
- 007シリーズ
- ワルサーPPKは、イアン・フレミングのスパイ小説007シリーズの主人公ジェームズ・ボンドの拳銃として有名になった。
- 小説ではボンドは第1作でグリップ部にテープを巻いたベレッタ M1919を使っていたが、第5作「007 ロシアより愛をこめて」で 抜き撃ちをしそこなった事が原因で怪我を負い、上司のMにPPKに替えるよう命令されて以来使い続けた。映画では後の作品の「ドクター・ノオ」が第1作のため、この時にPPKに替えるように指示されている(第18作「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」以降はワルサーP99を使用している)。007シリーズは、ナチスドイツの拳銃というPPKの悪いイメージを払拭し、この銃の米国での販売促進に貢献した。
- 『ダイ・ハード』シリーズ
- PPK/Sは一部のテロリスト(カール、サイモン・グルーバー、カティアなど。カティアのはシルバーモデル)が使用していた。カールの場合、侵入時に消音器を装着していた。
[編集] 漫画・アニメ
- 『ルパン三世』
- 劇場作品『DEAD OR ALIVE』、TVスペシャル『ワルサーP38』などで峰不二子が愛銃のブローニングとは別に使用、また実写映画『念力珍作戦』のルパン、OVA『風魔一族の陰謀』の風見(警察なので、支給品の可能性もある)、TVスペシャル『ハリマオの財宝を追え!!』に登場したアーチャー卿等も所持していた。
- 『パタリロ!』
- バンコラン少佐が愛用している。
- 『名探偵コナン』
- 劇場版3作『世紀末の魔術師』では怪盗スコーピオン(浦思青蘭)が、劇場版10作『探偵たちの鎮魂歌』では清水令子が所持していた。