ワリオの森
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ワリオの森 | |
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ジャンル | アクションパズル |
対応機種 | ファミリーコンピュータ/Nintendo Entertainment System (FC/NES) スーパーファミコン/Super Nintendo Entertainment System (SFC/SNES) |
開発元 | 任天堂 |
発売元 | 任天堂 |
人数 | 1-2人 対戦プレイ |
メディア | FC/NES: 4Mbロムカセット SNES:8Mbロムカセット SFC:8Mメモリーパック |
発売日 | FC/NES: 日本:1994年2月19日 北米:1994年3月26日 SFC/SNES: 北米:1994年12月10日 日本:未発売。1995年4月からサテラビュー用に配信 |
対象年齢 | ESRB:Kids to Adults |
『ワリオの森』(ワリオのもり)は1994年2月19日に任天堂よりファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されたアクションパズルゲーム。
この作品は同時発売された『ゼルダの伝説1』と共に任天堂が発売した最後のファミコンソフトとなった。ただしゼルダの伝説1はディスクシステム用に発売された『ゼルダの伝説』をロムカセットへ移植した作品であることから、実質の最終作はワリオの森のみと解釈することもできる。またサードパーティからはこの後も数本ソフトが発売されたため、これら2作はすべてのファミコンソフトの中で最後の作品というわけではない。最後のファミコンソフトは1994年6月24日にハドソンから発売された『高橋名人の冒険島IV』であった。
任天堂は『Dr.マリオ』から『テトリスフラッシュ』に至るまで、自社のアクションパズルゲームにおいてはファミコン版とゲームボーイ版の双方を用意し発売したが、ワリオの森はファミコン版のみの発売に留まった。ただし日本国外ではスーパーファミコン版に相当するSuper NES版も発売された。
目次 |
[編集] ストーリー
ワリオが我が物顔で支配する「ワリオの森」。しかしここは元々「平和の森」と呼ばれる妖精たちが住む森であった。キノピオは妖精たちの作り出す爆弾を使ってワリオを森から追い出すことができるだろうか?
[編集] ゲーム内容
ゲームフィールド内にいるすべてのモンスターを消すことが目的の落ち物パズル。一般の落ち物パズルのように落下してくるブロックを動かすのではなく、主人公のキノピオを操作し、落ちてくるモンスターや爆弾を並べ直すことでこれらを消していく。ゲームタイトルから誤解されやすいがワリオは主人公ではない。モンスターを使いキノピオを邪魔する敵として登場する。
ゲームモードは全3種用意されている。1人用ゲームにはモンスターを消して面を順にクリアしていく「ラウンドゲーム」と、5つのラウンドを1セットとしてモンスターを消す時間の短縮を目指す「タイムレース」が、2人用ゲームには相手との対戦を行う「VS」がある。いずれのゲームにも得点の概念はなく、得点の獲得を目的としたゲームモードも存在しない。この他にゲームの操作やテクニックの練習ができる「レッスンモード」と、成績の閲覧等ができる「オプション」も用意されている。
当時のパズルゲームとしては珍しくバッテリーバックアップ機能が搭載されている。この機能はラウンドゲームの進行状況やタイムレースのクリア時間などの保存に利用された。
[編集] ラウンドゲーム
ラウンドゲームにはモンスターを消す面だけで構成される「Aゲーム」と、10ラウンドごとにボス敵との対戦を行う「Bゲーム」が存在する。いずれも末尾が9のラウンドをクリアするごとにキノピオとワリオの掛け合いを描いたデモシーンが挿入され、ラウンド99をクリアするとエンディングを見ることができる。
エンディングの後もゲームは続き、最終的にはラウンド256まで続くことが確認されている。しかしラウンド256をクリアしても特別なメッセージなどは出ず、再度ラウンド256が続くのみとなる。さらに進行状況の記録は100ラウンドをもって停止し、以降のラウンドは続きから再開することはできない。このこととエンディングの存在から実質99ラウンドまでと解釈することもできる。
[編集] ルール
キノピオを操作してモンスターや爆弾を担いで動かし、縦横斜めいずれかに3つ以上並べて消すのが基本ルール。以下のルールはファミコン版のもの。
- ゲームフィールドとキノピオ
- ゲームフィールドは通常縦11ブロック×横7ブロックで構成されるが、縦方向はワリオの攻撃により縮小されることもある。
- フィールドにはあらかじめ配置されたモンスターがいる他、画面上からはモンスターと爆弾が落ちてくる。
- プレイヤーはフィールド内のキノピオを操作する。キノピオはフィールド内に存在する爆弾やモンスターを担いだりキックをして任意に移動させることができる。
- フィールドがモンスターや爆弾で埋まり、キノピオの身動きが取れなくなるとゲームオーバーとなる。
- モンスターを全て消せばラウンドクリアとなり、次のラウンドへ進む。ラウンドゲームの場合はクリア時間に応じ、30枚でコンティニュー数を1回増やせる「コイン」がフィールド内に降る。
- 爆弾タイムとモンスタータイム
- 「爆弾タイム」とは妖精が爆弾を降らせる時間でキノピオには有利となる。
- 「モンスタータイム」とはワリオがフィールドの天井となっているドッスンを下げ、ドドリゲスがモンスターを降らせるなどの邪魔をする時間で、キノピオには不利となる。ただし、妖精に比べると数は少ないが、ドッスンが爆弾を振らせてくれる。
- ゲーム中は爆弾タイムとモンスタータイムが交互に繰り返され、回数を重ねるごとにモンスターや爆弾の落下速度が増す。
- モンスターと爆弾の消し方・連鎖
- 爆弾は同じ色が縦・横・斜めいずれかに3個以上並ぶと消える。同じ色のモンスターと混ぜて消すこともできる。
- モンスターを消すにはそれと同じ色の爆弾が1個以上必要となる。爆弾を含めて同じ色が縦・横・斜めいずれかに3個以上並ぶと消える。
- モンスターの中には斜め方向で並べないと消せない者や、一度並べただけでは消えずに再度爆弾を使用しなければならない者もいる。
- モンスターや爆弾が消えるとその上にあったキャラクターが落下し空間が埋まる。このとき再度モンスターや爆弾が並んで消えると「連鎖」となる。
- 連鎖をすると爆弾タイムが延長され、モンスタータイムは縮小される。この他ワリオに下げられたドッスンを上げることができる。
- モンスターもしくは爆弾を斜めに消すか縦横4個以上並べて消すとドッスンを上げることができる。
- ダイヤモンド
- 同じ色の爆弾のみ、もしくはモンスターと爆弾を5個以上並べて消すと「ダイヤモンド」が登場する。
- ダイヤモンドは爆弾のかわりに使用することができるが持ち運びをすることはできない。
- ダイヤモンドを消すことができればフィールド内にいる同じ色のモンスターが全て消え、ドッスンを上げることができる(但し同じ色の爆弾やダイヤモンドは消えない)。
- 対戦モード
- ゲームフィールドは1プレイヤー、2プレイヤーとも通常縦11ブロック×横6ブロックで構成されるが、縦方向は相手の攻撃により縮小されることもある。
- すべてのモンスターを相手より早く消すか、相手がゲームオーバーになれば勝利となる。
- 連鎖消しを行うと相手のフィールドにモンスターが送られ、相手の攻撃で下げられた自分のフィールドのドッスンを上げることができる。
- モンスターもしくは爆弾を4個以上並べて消すと、相手のフィールドのドッスンを下げることができる。
- ダイヤモンドを消すと相手のフィールドの爆弾が全てモンスターに変わる。
[編集] 評価
このゲームの評価ははっきりと二分されているが、以下に示す要素が原因となる。
- 複雑なルール
- 落ち物パズルは単純なルールと操作の物が多いが、ワリオの森はいずれも複雑なため人を選ぶ。ゲームに慣れなかったためにクソゲーとの批判を受けた反面、ゲームに慣れた人々からは中毒性がある佳作、もしくは良作などと良好な評価を受けた。
- 演出の問題
- 地味なゲーム画面で面白そうに見えない。ゲームフィールドの背景が黒一色であったり、練習モードのメッセージが全部カタカナで表示されるなど前世代のゲームのような雰囲気がある。加えてファミコン末期に発売されたにもかかわらずハードの限界に挑戦したグラフィックや演出などもなく、ファミコンユーザーの注目を引くことはできなかった。
- 落ち物パズルとファミコン市場の崩壊
- テトリスやぷよぷよで築かれた落ち物パズルブームはすでに過ぎ去り、新規の落ち物パズルはゲームファンから敬遠されていた。さらにスーパーファミコンに主導権が移り、ファミコンのソフト市場が完全に萎んだ時期に発売された。これらの理由から供給過多に陥り、ゼルダの伝説1とともに数百円で叩き売りされることとなる。この状況はゲームファンに安っぽいゲームとの印象を与え、一度もプレイせずにクソゲーと批判する者も現れるほどになった。
[編集] 広告
放送されたテレビCMはすでに発売されていた新モデルのファミコン、通称「ニューファミコン」の紹介を主とし、合間に「ゼルダの伝説1」と「ワリオの森」の説明が入る構成であった。このCMで使用されたアニメーションにはマリオやカービィなど任天堂のゲームキャラクターが多数登場して歌を歌うが、最後にはゼルダの伝説の主人公リンクと悪役キャラクターのワリオが仲良く肩を組んで踊る奇妙なシーンも見られた。
雑誌媒体による広告でもゼルダの伝説1とワリオの森はまとめて扱われた。半ページに各々のパッケージイラストと簡単な説明文を添えただけの地味なデザインであった。
[編集] 移植作品
日本で市販された作品はファミコン版のみであったが、この他にも対応機種や内容が異なるいくつかの「ワリオの森」が存在する。
[編集] 海外版
海外ではWario's Woods のタイトルでファミコン版に相当するNES版と、スーパーファミコン版に相当するSuper NES版が発売された。北米ではWario's Woodsが最後のNES用ソフトとなっている。
Super NES版ではグラフィックとBGMの向上によりファミコン版にあった地味な雰囲気は払拭された。さらに複数のボタン操作が必要であったキックや行上部への移動が1つのボタンで実行できたり、ダイヤモンドの持ち運びが可能となるなど、操作性の改善やルールの簡略化が施されている。ラウンドゲームのBゲームは無くなったが、新たにコンピュータとの対戦を行いストーリーを進める「VS.COM」モードが加わった。
[編集] サテラビュー版
海外版の発売後、日本では衛星放送を利用したスーパーファミコン用データ放送受信機「サテラビュー」の専用ゲームとして、Super NES版を改変したイベント作品の放送が行われた。サテラビューのサービスはすでに終了しているため、これらの作品をプレイするのは不可能に近い。
- ワリオの森 爆笑バージョン
- 1995年4月から1996年春まで放送された。ゲーム中には当時サテラビュー向けラジオ番組のパーソナリティを担当していた爆笑問題の2人が登場する。ラジオ番組では2人がゲームに挑戦する様子が放送された。ゲーム画面において田中は本来キャサリンが担当していたキノピオの応援役として、太田は天井のドッスンとして出演した。
- ゲームモードにはSuper NES版に存在するVS.COMモードの代わりにイベント用ゲームが用意されている。著作権表記はSuper NES版と同じく(c)1994 Nintendo とされた。
- ワリオの森 再び
- 1997年10月に月間イベントゲーム企画「マンスリーイベント」の作品として初放送され、以降データ放送サービス終了となる2000年まで不定期に再放送された。初回放送時にはタイムレースの時間等を競うイベントが実施されている。キノピオの応援役にはデータ放送受信カセットのプレイヤーキャラクターとして登場した女の子が採用された。
- 爆笑バージョンにあったラウンドゲームに代わりSuper NES版から引用したVS.COMモードが用意されたが、キャラクターのほとんどが削除されている上にこれをクリアしてもエンディング等は無く、イベント専用作品の趣が強い。
[編集] ゲームキューブ どうぶつの森シリーズ
ニンテンドーゲームキューブ用に発売された『どうぶつの森+』と、そのリニューアル版となる『どうぶつの森e+』では、ゲーム中のアイテムの1つとして「ワリオのもり」が登場し、これを手に入れるとファミコン版のワリオの森がゲームキューブ上で遊べるようになる。
しかし『どうぶつの森+』の前作となるNINTENDO64用ソフト『どうぶつの森』には、残念ながらワリオの森は収録されていない。
[編集] 登場するキャラクター
モンスターとBゲームのボスはこのゲームでのみ登場する。後のマリオシリーズには一切登場しない。
- キノピオ - 妖精たちが困っていることを聞きつけワリオの森にやって来た。このゲームの主人公なのだが、ゲームタイトルが「ワリオの森」なので主人公と認識されない事も多い。アクションゲームのプレイヤーとして操作できるのはスーパーマリオUSAに続き2作目。
- ワリオ - モンスターを従えて平和の森を乗っ取った張本人。ラウンドゲームのデモシーンでは森から出て行くようキノピオに脅しをかける。本来ワリオの帽子とシャツは黄色、ズボンは紫色なのだが、この作品中ではファミコンの表現能力の限界から帽子はズボンと同じ紫色に、シャツは乳白色に変更された。
- 妖精 - キノピオを助ける森の住人。爆弾を作り出すことはできるがそれを使ってワリオと戦うことはできない。
- ドドリゲス ジュニア - ワリオの手下としてモンスターをばら撒くカラス。夢工場ドキドキパニックの敵キャラクター、ドドリゲスの息子。
- キャサリン - 自分を女の子と思い込んでいるピンク色の恐竜。キャサリンもドドリゲスと同様に夢工場ドキドキパニック出身のキャラクターである。この作品ではなぜか爆弾タイムでキノピオを応援する脇役として登場。画面の端で応援してくれるが、ゲームのストーリーには一切関って来ない。
- ドッスン - 四角く巨大な石のお化け。普段はゲームフィールドの上に留まっているが、ワリオに体当たりされると落下しゲームフィールドを圧迫、キノピオを苦しめる。
[編集] モンスター
キノピオが爆弾を使って消していくモンスターたち。以下の3匹はいずれも縦・横・斜めに並べれば消える。
- ウマウマ - 長く垂れ下がった耳が特徴のモンスター。
- ベイジー - 野菜のカブに顔がついたようなモンスター。
- トッポ - クルクル巻いた耳とカエルのように大きい口を持つモンスター。
以下の2匹は縦や横に並べても消えない。斜め方向に並べることで消すことができる。
- バーソロミュー - スカートをはいたチアガールのようなモンスター。
- ソラリ - ハート型の顔が特徴の人型モンスター。
以下の2匹は特殊な消し方をしなければならない。
- ヒュードー - センスのような大きな手が特徴のモンスター。爆弾を使うと色が変わるので、再度爆弾を使用すると消える。もっとも連鎖がしやすいモンスターと言える。
- マイコニン - いつもニコニコしているキノコのようなモンスター。爆弾を使うとしばらく点滅するので、その間にもう一度爆弾を使用すると消える。
[編集] Bゲームに登場するボス
いずれも名前が率直かつ安易である。このネーミングセンスもゲームに安っぽさを与えている理由のひとつ。これらのボスとワリオを退治するには、キャラクターの縦横斜めの延長線上で爆発を起こしてダメージを数回与える必要がある。それぞれが特殊能力を持っている。
- アクマン - 三叉の矛を持った悪魔。特殊能力は、画面内の爆弾を全て破壊する。
- ゴーラ - 岩石でできたゴーレム。特殊能力は、ドッスンを下げる。
- デ・ブー - フォークとナイフを持った豚の化物。ゼルダの伝説のガノンやモリブリンに少し似ている。特殊能力は、一定時間周囲にモンスターをばら撒く。
- シーサ - フードをかぶったガイコツの化物。見た目は死神のようである。特殊能力は、モンスターを横一列に一往復半降らせる。
- メイドー - 若い女の人魚。マーメイド。特殊能力は、妖精を一定時間動けなくする。
- ドラゴ - 翼を生やした緑色のドラゴン。特殊能力は、画面内の爆弾をモンスターに変える。