ラフレシア
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ラフレシア | |||||||||||||||||||||
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Rafflesia arnoldii の花 |
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Rafflesia spp.R.Br. | |||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||
10数種 |
ラフレシア(Rafflesia)は東南アジア島嶼部とマレー半島に分布するラフレシア科ラフレシア属の全寄生植物で、十数種を含む。多肉質の大形の花をつけるものが多く、中でもラフレシア・アーノルディ Rafflesia arnoldii (日本で「ラフレシア」と呼ぶ場合、たいていこの種を指す)の花は直径90cm程にも達し、世界最大の花としてよく知られている。この花の花粉を運んでいるのは死肉や獣糞で繁殖するクロバエ科のオビキンバエ属などのハエであり、死肉に似た色彩や質感のみならず、汲み取り便所の臭いに喩えられる腐臭を発し、送粉者を誘引する。
目次 |
[編集] 形態
ブドウ科植物の根に寄生し、本体は寄主組織内に食い込んだごく微細な糸状の細胞列からなり、ここから直接花を出す。茎、根も葉もない。花は雄花と雌花に分かれており、雄花の葯からは粘液に包まれてクリーム状になった花粉が出て、花の奥に入り込んだハエの背面に付着する。このハエが雌花に誘引されて花の奥に入り込み、雌しべの柱頭に背中が触れると受粉が成立する。
[編集] 分類
ラフレシア科は近年の遺伝学的研究ではキントラノオ目(トウダイグサ科やスミレ科などの仲間)に入るとする説が有力である(ただし進化の過程で他の植物からの遺伝子の水平伝播があった可能性もある:下記文献)。これまでラフレシアに近縁とされてきたヤッコソウ科(日本にも分布する全寄生植物)はツツジ目に入るとする説が有力とされている。
[編集] 名称の由来・他
ラフレシア・アーノルディをヨーロッパ人として最初に発見し、近代植物学の世界に紹介したのはシンガポールの建設者として知られるトーマス・ラッフルズと、彼の調査探検に同行した博物学者のジョセフ・アーノルドであり、学名はこの2名に献名されたものである。
またこの植物の強い印象から様々な架空の存在の名前として採用されている。→ ラフレシア (曖昧さ回避)を参照。
[編集] 世界一大きな花か、否か
最初に記載された Rafflesia arnoldii の花は、世界最大の花として広く知られているが、実際にギネスブックに公認されている世界最大の花は直径1.5メートルに達するスマトラオオコンニャクである。しかし、後者の「花」は厳密には花序とそれを覆う仏炎苞の複合体であり、ひとつの独立した花として世界最大なのは依然 R. arnoldii とみなすことができる。
[編集] 参考文献
- [1] D L Nickrent et al. Phylogenetic inference in Rafflesiales: the influence of rate heterogeneity and horizontal gene transfer. BMC Evol Biol. 2004; 4: 40.
- [2] T J Barkman et al. Mitochondrial DNA sequences reveal the photosynthetic relatives of Rafflesia, the world's largest flower. PNAS 2004; 101: 787.