メジャーリーグの不文律
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メジャーリーグ・ベースボールには、ルールブックに記されていなくても守らねばならないマナーが存在し、これを破ると報復を受ける。
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[編集] 内容
不文律であるので当然のことながら成文は存在しない。諸説があり時代による変遷も考える必要があるが共通するものとして以下の不文律が存在する。
- 大差(概ね5点以上)でリードしている攻撃側は試合終盤で,
- ノーヒットノーランや完全試合阻止のみを目的としたバントはいけない
- 打者はホームランを打っても大げさにガッツポーズをとったり、わざとゆっくりとダイヤモンドを回ってはいけない
- 投手は三振に打ち取ったときでも派手なガッツポーズをしてはいけない
- 試合に勝っても、相手チームや観客の前で過剰に騒いではいけない
- 乱闘の際の「バット」、「蹴り」は禁止
[編集] ペナルティー
最も一般的なペナルティーは次打席での故意死球である。この場合でも部位は「腰から下」との不文律がある。指名打者制により打席のない投手ではマウンドに空振りのバットが飛んでくることがある。試合終了の際の行為に対しては次の試合で必ず実行される。このことは選手のみならず監督、チームオーナー、審判そして観客も承知している。大差での盗塁では、捕手は送球しないし公式記録員も盗塁を記録しない。
[編集] 事例
- 2006年のワールド・ベースボール・クラシック (WBC) 2次リーグ、日本-韓国戦は韓国が勝利したが、試合後に観客および日本チームの目前で韓国チームが自国国旗をマウンドに立てるなどし、翌日の米新聞各紙で敗者に考慮しない過剰な騒ぎであったとして厳しく非難された。
- 2001年当時ニューヨーク・メッツ在籍中の新庄剛志は大差 (11 - 3) でリード中にカウント 3B - 0S から本塁打を打ったが、翌日に足に死球を受けた。この件以外にも本塁打直後にバットを高々と放り投げる行為がガッツポーズであると受け取られ、故意死球を誘発することになった。
- 日本のプロ野球でも、ちょっとした事件があった。2001年に西武ドームで西武のアレックス・カブレラがロッテのネイサン・ミンチーからセンターへの特大本塁打を打った際、カブレラが審判がホームランのジェスチャーをする前からゆっくりと歩いていたため、ミンチーが「侮辱行為だ」と激怒した。
[編集] その他
敗者への配慮以外にも、故意死球といったペナルティーは無くとも「感心されない」行為というのも存在する。
- 2004年西武ライオンズからニューヨーク・メッツに移籍した松井稼頭央は開幕戦先頭打者として初球を本塁打した。しかしエース級を先発させる開幕戦においての初球は、その投手の「舞台」であるとして打者は見送るのが慣例となっていたので、米マスコミでは日本ほどの賞賛はされなかった。
- シアトル・マリナーズのイチローは渡米当初、打席に立った際にバットの先を投手に向ける習慣(日本ではそうしていた)があったが、相手投手に過剰な刺激を与えることに考慮して「上向き」に改めた。
[編集] 精神
勝負に負けた、あるいは負けつつある者をさらに貶めることを嫌うものである。規則や法律を研究し、スレスレの方法で利益を得たり、勝利したりすることが賞賛される傾向にあるアメリカにあっては、この種の不文律の存在は奇異に映るととる向きもあるが、これも(成文化されていないにしても)ルールなのであり、犯した際のペナルティーまで決まっているというのはむしろ「アメリカ的」とも言えるだろう。
上記の新庄選手の故意死球例では、当人はこの不文律を知らなかった。だが、すべて規則や法律というものは、たとえ不文律であろうとも「知らなかった」という理由でその罰を免れることはできない、言うなればそれこれが「法律」の定義の一つであるということを認識する必要がある。
[編集] 関連項目
[編集] 参考サイト
- メジャーにおけるアンリトン・ルール
- Gregg Pearlman - Creeping Back to .500 -- Part 1
- Jim Caple/ESPN.com - Spelling out the unwritten rules
- Nate Davis/USATODAY.com - Which ace is highest on your list?
- Tim Keown/Chicago San-Times - THE CODE
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