ポン菓子
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ポン菓子(ぽんかし、ぽんがし)、ドン菓子(どんかし、どんがし)とは、コメなどの穀物に圧力をかけた後に一気に開放することによってふくらませて作った駄菓子の一種。ポンポン菓子・パンパン菓子とも、単にポンまたはドンと呼ばれることもある。専門用語では膨化食品(ぼうかしょくひん)と称されており、特に膨化米(ぼうかまい)は地方によって、ばくだん、こめはぜ、パン豆、パフ、パットライス(Puffed rice)、ポップライスなど様々な名前で呼ばれている。
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[編集] 製法
回転式筒状の圧力窯に生の米などを入れ蓋をして密閉し、釜ごと火であぶる。釜の中が十分加圧(10気圧程度)されたら、ハンマーでバルブを叩いて蓋を外し、一気に減圧する。この時原料内部の水分が急激に膨張し、激しい爆裂音とともに米などが釜からはじけ出る。この音から「ポン菓子」または「ドン菓子」と呼ばれるようになった。この膨化と称される作業で、米は元の10倍程度の体積にふくらみ、サクサクした食感の菓子になる。通常はこれに粉砂糖などをまぶして食べる。あらかじめ米に食紅をつけておくことにより、赤いポン菓子を作ることもできる。形状は原料をそのまま大きくした形で、味や食感はシリアル食品に近似している。
厚みのある丸い鉄の型に生米を入れ、型に蓋をして火であぶり数秒加圧し、蓋をはずして減圧することで煎餅状に膨らませる「ポン煎餅」というものもある。
[編集] 歴史
大正時代から昭和中期頃までは、定番の菓子として子供に人気があった。子供が集まる広場などにポン菓子製造用の器具を持ってきて、目の前で作ってみせるということがよく行なわれていた。特に、リヤカーに取付られた小型の窯を自転車などで牽引し、子供が持参した米をポン菓子に加工して歩く商売人の姿が、かつてはよく見られた。現在では特別なイベントなどでたまに行なわれる程度であり、ポン菓子の製造を見ることは珍しいものになった。
中国では、地方の自由市場などで、今でも製造している様子をみることができる。
[編集] 商品
ポン菓子自体はスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで現在でも袋入りで販売されている。粒が分離した状態のものと、粒に水飴などをからめておこし状に固めたものなどがある。
また米のポン菓子にチョコレートをまぶしたものは「ライスチョコ」、大麦のポン菓子にチョコレートをまぶしたものは「麦チョコ」と呼ばれ、やはりスーパーなどで多く販売されている。
ポン菓子を橙色のセロファンでつくった円錐形の袋に入れて販売されている駄菓子は、その形状から「にんじん」と呼ばれる。
愛媛県東予地方では引出物の定番である。米穀店の店頭に「パン豆加工賜ります」の看板が存在する。香川県西讃地方のおいり(おいり豆)も東予地方で引出物になることがあり、混同されがちだが別種の菓子である。
[編集] 原料
ポン菓子に用いられる原料
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- ポン菓子機・ポンせんべい機 製造直売のタチバナ機工
- 有限会社ポン菓子機販売
- ポン菓子(西堀家のホームページ)
- 超小型 ポン菓子製造機(たのみこむ)
- 「駄菓子 『バクダン』の味守る」(asahi.com 2006年1月26日)
- 「にんじん」(やおきんドットコム、2002年6月)
- 本日のコラム「デジタルで活躍しない人々#42ポン菓子機考案者 吉村利子さん」(日刊!関西インターネットプレス、2001年12月7日)