ヘレニズム
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ヘレニズムとはギリシア人(ヘレネス)に由来する語で、ギリシア風という意味で用いられるが、広くギリシア文化全体を指すこともある。
[編集] ヘレニズムとは何を指すか
一般にはアレクサンドロス大王の東方遠征によって東方の地域に伝播したギリシア文化が、オリエント文化と融合して誕生した文化、あるいはその史的展開を指して言うことが多いが、ヘレニズムとは何を指すかという根本的な命題に対しては学者の間でも見解の統一を見ていない。
ヘレニズムという概念が誕生したのは19世紀初頭のドイツの歴史学者ドロイゼンによってであるといわれる。
[編集] ヘレニズム時代
アレクサンドロスの死後、その版図はアレクサンドロスの部下達によって分割された。これら、およびさらにそこから派生した諸国をヘレニズム諸国という。
これらの国は東地中海からオリエント地域を支配し、ギリシャ系の文化「ヘレニズム文化」を発展させたが、次第に共和政ローマが東へ進出し、ついに紀元前30年、プトレマイオス朝エジプトがローマに併合されて完全にローマの支配下に入った。しかしその後も、ギリシア語は東地中海地域の共通語として使われ、ヘレニズム文化が栄えた。また、ローマ帝国分裂後も7世紀以降の東ローマ帝国では支配地域・住民がギリシャ語圏となったためにヘレニズムの伝統が重視され、キリスト教と融合した「ビザンティン文化」を生むことになった。