ヒドラ (生物)
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ヒドラ (Hydra) とは刺胞動物のうち、ヒドロ虫綱・ヒドロ虫目・ヒドラ亜目のヒドラ科に属する動物の総称である。また、広くヒドラ亜目のものを指す場合もある。
ヒドラ科 (Hydridae) の生物は、細長い体に長い触手を持つ、目立たない動物である。これらは淡水産で群体を作らず、浅い池の水草の上などに生息している。体は細い棒状で、一方の端で基質に付着し、他方の端には口があり、その周囲から6～8本程度の長い触手が生えている。体長は約1cm。触手はその数倍に伸びる。触手には刺胞という毒針を持ち、ミジンコなどが触手に触れると麻痺して食べられてしまう。体内に緑藻を共生させ、全身が緑色になる種もある。
有性生殖でも増えるが、暖かな季節には親の体から子供が出芽することによって増える。栄養状態が良ければ、円筒形の体の中程から横に小さな突起ができ、その先端の周辺に触手ができて、それらが次第に成長し、本体より一回り小さな姿になったとき、基部ではずれて独り立ちする。場合によっては成長段階の異なる数個の子を持っている場合もあり、これが複数の頭を持つと見えることから、その名の元となったギリシア神話のヒュドラを想像させたものと思われる。また、強力な再生能力をもち、体をいくつかに切っても、それぞれが完全なヒドラとして再生する。
有性生殖では、体の側面に卵巣と精巣を生じ、受精が行われる。クラゲは形成しない。
飼育が容易であり、発生生物学の分野では細胞分化のモデル生物として研究されている。まれに生き餌に混じって熱帯魚の水槽に侵入して嫌われることがある。
[編集] ヒドラ亜目
多くは海産の固着性動物で、小さなポリプからなる群体を作るものが多く、触手を伸ばして微小な動物を捕らえて食べる。出芽などによって無性生殖するが、有性生殖の場合はクラゲを形成して、そのクラゲが有性生殖する、いわゆる世代交代を行うものが多い。
ほとんどは10cm程度までの小型動物であるが、深海産のオトヒメノハナガサ(Branchiocerianthus imperator)は単体ヒドラで最大で、深海底の泥の中から立ち上がり、高さが1mを越える。また、ギンカクラゲ(Porpita umbella)とカツオノカンムリは群体性クラゲとして管クラゲ類とされてきたが、近年、浮遊性の群体ヒドラであると考えられるようになった。他に、造礁サンゴでもあるアナサンゴモドキもこの仲間である。刺胞の毒が強いので注意を要する。
昭和天皇はこの仲間に造詣が深く、「相模湾産ヒドロ虫類」をはじめいくつかの著作がある。
