ハレンチ学園
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『ハレンチ学園』(ハレンチがくえん)は、永井豪により1968年から1972年まで週刊少年ジャンプ誌上に連載されたギャグ漫画作品。
[編集] 概要
少年誌としては過激な性表現・暴力表現で物議を醸し、社会現象になった。 永井豪の出世作であり代表作の一つ。便宜上、内容にて大きく分けて3部になる。
第1部連載中期の1969(昭44)14(7/24)号にて「モーレツごっこ」を登場させ、スカートめくり流行の一翼を担った。この「モーレツごっこ」は流行的には後発であったにもかかわらず、マンガという当時先鋭的であったメディアにおいて過激表現を糾弾する当時の動きと呼応したPTA等からの人格否定までも含んだ大きな批判を受けることとなる。
永井による自己分析では、当時の糾弾者たちはハレンチ描写だけにとどまらず、原始人の格好をしながらオネエ言葉で生徒に接する「ヒゲゴジラ」をはじめ、余りに理想の教師像からかけ離れた教師たちのいる学校という舞台で展開されたことにも遠因があるのではないかという。
結果これを逆手に取り、当時の学生運動も反映し、1970年に連載されていた第1部後半では「ハレンチ大戦争」と題してハレンチ学園と文部省やPTAとの戦争を展開した。この批判派(即ち既存権力側)対漫画(即ち若者・子供)の構図は、敵も味方もなく倒れていくのみ、という激しい描写を生み、ギャグマンガでありながらギャグの枠を超えてキャラクターたちに切れば血の出る、死を伴った肉体を与えていた。最終的には神である原作者に死の不条理を拒否、異議を申し立てるというメタフィクション的なギャグまで生み出す。
マンガの枠組を壊したメタフィクション的ギャグマンガという意味では、この『ハレンチ学園』と同時期にマンガのタイトル自体が破壊されるという『キッカイくん』の2作品が当時の先端であったことは異論を待たないだろう。
また結果的に、思想的な側面を切り離したところでは学生運動にしろ糾弾活動にしろ、互いに行使するのが暴力でしかない、という当時の騒ぎのある本質的な一面をも描き出している。そのモチーフは、「ハレンチ大戦争」とまったく同時期に平行して描かれたガクエン退屈男ではより明確に描かれただけでなく、後に繋がる魔王ダンテでは「正と邪の逆転」という構図になって現れた。それが続いて半ば意識的に語られることによって、人間の持つ邪悪な側面を暴くというデビルマンへと昇華したのである。
また、週刊少年ジャンプ誌上にてこの作品終了後に連載されたマジンガーZ主人公・兜甲児のキャラクター性は、山岸八十八の深く考えず状況に順応して行動する、という形をそのまま受け継いでいる。
1970年にはテレビドラマ(東京12チャンネル=現・テレビ東京作)化・映画化された。「大戦争」と同時期の作品だけに原作とした話は比較的おとなしい連載初期が元になっていたため、当時としては挑発的なハレンチ描写こそあれど、物語の構造自体はあくまで学園内の大人と子供の戦い程度の図式にとどまり、原作のような過激な展開は見せていない。余談だが当時東京12チャンネルは科学技術振興財団のテレビ部門で、財団のテレビ局が過激な性風俗をウリにした漫画を原作としたテレビドラマを創ること自体異常と言われていて、これが民間放送会社移行を加速させる要因になったという。
[編集] 連載時期
(第1部) 「少年ジャンプ」1968年8/1創刊号(週刊化前)読みきり掲載・他短編挟んで連載へ
~「週刊少年ジャンプ」1970(昭45)7/20(30)号
「少年ブック」「別冊少年ジャンプ」にも掲載あり。
※「ハレンチ大戦争」はこの部に含まれる。
(第2部) 「週刊少年ジャンプ」1970(昭45)8/24(35)号~1971(昭46)2/8(7)号
(第3部) 「週刊少年ジャンプ」1972(昭47)1/1(1)号~1972(昭47)9/25(41)号
※なお連載時はサイドストーリー「ヒゲゴジラ伝」が間に挟まり、その頭から第4部と称されていたが、その前後は同一設定上のストーリーため、ここでは第3部とする。
※2部・3部・本誌連載終了後にも短編として月刊少年ジャンプに掲載あり。
※また、後に1994・5年に『平成ハレンチ学園』が「週刊漫画ゴラク」「週刊漫画サンデー」に掲載。
2005年、第一部の続編として『ハレンチゴルファー十べえ』が「コミックビッグゴルフ」に掲載。
[編集] 主な登場人物
- 山岸八十八
- 柳生みつ子(十兵衛)
- 袋小路(イキドマリ)
- ヒゲゴジラ(吉永さゆり)
- 丸ゴシ
- アユちゃん
- パラソル
- マカロニ