ガクエン退屈男
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『ガクエン退屈男』は永井豪(1945年-)による漫画である。
講談社「週刊ぼくらマガジン」1970年2/17号~9/22号に連載された。マカロニ・ウェスタンと1960年代から1970年代初頭の学生運動にヒントを得た作品で、日本中の教育機関(大学から幼稚園まで)において、学生(生徒・児童・幼児)と教育者(官僚・教師・PTA)が敵対し、武器を持って全面戦争に陥っている、という設定に則っている。
題名は時代劇映画「旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ・東映1958.08.12ほか)」から借用しており、主人公の名も「早乙女主水之介(さおとめもんどのすけ、「旗本退屈男」の主人公)」をもじった「早乙女門土(さおとめもんど)」であり、トレードマークの眉間の傷まで拝借している。
ギャグマンガとしてスタートしたが、連載中盤より暴力、あるいはそこから生まれる殺戮そのものを描くことへと主眼が移っていった。それとともにサブの主人公であった、美形の青年・身堂竜馬の存在が大きく立ち上がる。また、ヒロイン級のキャラクターとして怪力無双の美少女・錦織つばさが登場。門土・竜馬・つばさをリーダーとするゲリラと「権力」が対峙する構図となる。クライマックスの前段で身堂視点の話となり、「美と醜」「リアルとフェイク」というテーマが突如現れ、後に永井が描く悪魔的作品に連なるモチーフが展開された。
作者は相前後した作品『ハレンチ学園』や『あばしり一家』とともにこの作品で、暴力の百花繚乱ともいうべき世界観を提示、当時の「ギャグマンガ」の範疇から逸脱した「永井豪とダイナミックプロ」的な世界観を作り上げた。さらに、これら人間同士が衝突した時に避けられない暴力性・残酷性が後年の『デビルマン』・『バイオレンスジャック』へと繋がっていく。
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