ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章
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『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』(ドラゴンクエストれつでん ロトのもんしょう)は、1991年から1997年まで月刊少年ガンガンに連載されたファンタジー漫画作品である。愛称はロト紋。原作・設定:川又千秋、脚本:小柳順治、画:藤原カムイ。
目次 |
[編集] 概要
月刊少年ガンガンの販売元・エニックス(現:スクウェア・エニックス)の看板作品であるテレビゲームのドラゴンクエストシリーズを題材に、同誌創刊時の看板作として登場した。1994年にはコミックCDが発売され、1996年には映画化されている(ただし映画の評価は高いとは言えない)。 無名な上に駒が不足していた黎明期のガンガンはこれがなければ廃刊していてもおかしくないとも言われ、次世代の戦力が整ってから見事にバトンを渡して円満終了したことから歴代ガンガン作品の中でも極めて評価は高い。
本作はゲーム・ドラゴンクエストシリーズ初期の1~3作目「勇者ロトの伝説シリーズ」の『III』→『I』→『II』と続く時系列の中で、『III』→『I』の間に位置する物語として設定されている。
ストーリー的・作画的にも、ドラゴンクエストの世界観を見事に再現しており、特にシナリオの秀逸さは他のマンガ作品の追随を許していない。「ダイの大冒険」のような、ドラクエの名を負う必要も無いともいえる作品とは次元の違う評価をされる。どちらも大人気を博した漫画であるが、こちらはやや高め(中学生以上)の年齢層向きか。
多少の矛盾は出てくるが、おそらくドラクエファンの殆どが正史として扱われることを願っている。連載終了して10年近くたった今も、アニメ化・ゲーム化を望む声も多く、メーカーの対応が待たれている。
2006年現在、ヤングガンガンに、本作の続編である『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 ~紋章を継ぐ者達へ~』が連載され、本作も完全版コミックスの刊行が開始されている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
- プロローグ
- かつて大魔王ゾーマを倒したロトの名を継ぐ勇者アレルの子、ローランとカーメンがアレフガルドより帰ってきた。彼らは地上で自らの国を築き、それぞれの国にはロトの紋章が分けて伝えられていた。
- またアレルとともに旅をした3人のケンオウ(剣王=戦士フルカス、拳王=武闘家フォン、賢王=賢者カダル)もまた、いずれ現れるであろう闇に対抗するため、子孫にその技を伝承していた。
- ゾーマが倒れて100年…世界は異魔神という更なる闇によって脅かされようとしていた。
- 異魔神の軍に襲われたカーメン城(ネクロゴンド大陸、かつてのバラモス城)では城は陥落するもののロトの子孫アルスは救出され、聖域に逃げ込んでいた。一方同じように襲撃を受けたローラン城(北方大陸、かつての竜の女王の城)も陥落、ロトの子孫はジャガンと名づけられ、異魔神の配下・魔人王ジャガンとなった。
- 3人のケンオウ
- 聖域にも魔の手が及び、アルスは仲間と共に旅立つ。ロトの仲間であった賢者カダルの下で修行を受けたアルスは3人のケンオウを探し始める。まずアッサラームに向かった一行は、魔道に堕ちた剣王サーバイン・魔剣ネクロスと対決する。その際に拳王ヤオと出会い、アルスと共に育ったキラがサーバインの弟であり、彼もまた剣王であることを知る。キラは自分の運命を知り、仲間から離脱し単身滅ぼされた剣王の里へと向かった。一方、アルス達一行はカーメン城、アリアハンへと旅を続け、カーメンでは古の魔王であったバラモス(バラモスゾンビ)、大海原では魔物に操られた海王リヴァイアサン、アリアハンで獣王グノンと対決する。戦いの中で半ば無理やりついてきた遊び人ポロンが賢王へと覚醒、キラも幻魔剣を身に付け真の剣王として合流、ついに3人のケンオウが揃う。
- ジャガンとの戦い
- 獣王グノンを倒したアルスは、次にジャガンとロトの血を分け合った宿命の対決に向かうも敗北し、死の淵をさまよう。世界中の葉によって命を取り留めたアルスは王者の剣を手に入れるためジパングへ向かう。ジパングで再びジャガンの襲来を受けるも打ち勝ち、止めを刺そうとした際、第三のロト・アステアが現れる。3人のロトの子孫と紋章が集まったことにより精霊ルビスの意志が伝えられる。
- 最終決戦へ
- 王者の剣を手に入れ、冥王ゴルゴナを倒した一行はタオ導師から異魔神の正体を聞き、敵の本拠地となったローラン城へ突入する。
[編集] 主な登場人物
[編集] ロトの血を引くもの
- アルス (声優:コミックCD 高山みなみ、映画 平松晶子)
- 本作の主人公。カーメン王国の王子として生を受けるが、誕生と時を同じくして城が竜王の手によって陥落、共にイシスに逃げ延びた老師タルキンやカーメン騎士団長の娘ルナフレア達に育てられる。
- そしてキラとともに蜃気楼の塔でのカダルからの修行を受け、勇者として旅立つ。心優しい性格でまだ幼さの残る少年だが、自身に託されたロトの紋章の勇者としての使命に立ち向かっていく。旅の過程で剣王サーバイン・バラモスゾンビ・海王の体内に巣食っていた甲殻魔獣ダフォーラ・獣王グノンなど数々の強敵を破るが、同じロトの血を引く魔人王ジャガンとの1対1の対決に挑んだ際に剣術でも魔法でも圧倒され死亡する。しかしその後キラ達の必死の努力で確保された世界樹の葉と、霊界からの愛する人の励ましにより蘇生した。この戦いで自らの甘さを悟り、再び蜃気楼の塔で自らを鍛えなおす。剣王から剣術、賢王から呪文の修行を受け大きく飛躍し、王者の剣を得た後のジャガンとの再戦では彼を打ち破った。
- 武器はカダルから貰った光の剣を使っていたが、獣王グノン撃破後ジャガンによって破壊され、アリアハンに保管されていたロトの父オルテガの剣を使用した。その後ジパングでヤマタノオロチを封印していたオリハルコンでできた聖なる龍の像を譲り受け、自身とイズナによって練成した「アルスの剣」(2本目の「王者の剣」)を装備、最後まで使用していた。なお、アルスの剣はミナデインの力がこもった一撃で異魔神のコアを撃破した際に折れた。
- 呪文は序盤から勇者の証であるライデインやマホステを使いこなすが、攻撃呪文に特化し過ぎた為に回復呪文やルーラを扱うことは出来なかった。修行を経た終盤ではギガデイン他多彩な呪文を使う。
- ジャガン (声優:コミックCD まるたまり)
- またの名を魔人王ジャガン。ローラン王国の王子で、勇者としてその生を受けるはずだったが、異魔神の策略により呪われた名「ジャガン」を付けられ、魔王として育てられる。性格は傍若無人にして残忍。勇者アレルの剣術とアレルが身につけていた伝説の武具(王者の剣、光の鎧、勇者の楯)はローラン王家に伝わり、ジャガンもそれを身に着けているが、これらの武具も異魔神の血の呪いによって強化され、赤色に変わっている。ロトの力と魔人の力を併せ持ち、ライデイン以上の威力を持つ呪文、黒い稲妻「エビルデイン」を得意とする。圧倒的な実力差で、アルスを一度は死の淵に追いやった。
- 幼少時から魔王軍に捕われの身となりローラン戦士団との対決の中でロトの剣術を会得し最終的には父ローラン王との戦いの際にロトの血を克服し、血を操る能力を覚え父を殺害し、魔人王となった。
-
- アラン
- 魔人王ジャガンが異魔神の呪いから解放され、母フレイアから本来の名前とその命を与えられて生まれ変わった姿。無愛想の性格はそのままだが、本来の善良な心を取り戻している。異魔神の呪いが解けた勇者アレルの武具を身に着ける。また異魔神に力を吸収されたため一時期白髪だったが、それも取り戻して黒髪に戻る。後にアステアと結婚するが、そのぶっきらぼうな物言いのためか、最初はやや折り合いが悪かった。
- アステア
- 地下世界アレフガルドからやって来た勇者。通称第三のロト。死産とされ匿われていた勇者ロトの第三子フローラの血を引き、異魔神の目を逃れて力をつけていた。アロイスという兄がいるが、ラダトーム城の攻防戦で死亡しており、彼の使命とロトの紋章とを受け継いでいる。本編初登場では、ラダトーム城の支配者となっていた竜王を煙に巻き、必ず城を取り戻すと挑戦状をたたきつける。
- その後は闇のオーブをすり替え、本物を聖域に封印するため地上世界へ。アリアハンのルイーダの酒場へ向かうも一足違いで、再びジパングへ向かう。この間の移動はロトの紋章の効果によって封印されている旅の扉を使っていた。ジパングではアルス、ジャガンの決闘の間に入ってとめる。その後は、ラーミアの卵がおかれていた聖域に闇のオーブを封印し、ロトの紋章をアルスに預けルーラで再びアレフガルドへと戻っていった。戻った後はあまり描かれていないが、アレフガルドで軍を率いてラダトーム城を奪還している。
- 作中では自分のことを「僕」と言っているが、セリフや描写の端々に女性らしさのようなものが見られ、ファンの間で「実は女性なのでは?」との噂が絶えず、連載終了後も論議の種となっていた。しかし近年、ヤングガンガンに掲載された番外編「ロトの紋章Returns」において、公式に女性であることが判明した。後にアランと結婚し、続編の主人公となるアロスと姉のアニスを出産する。
[編集] 3人のケンオウ
- キラ (声優:コミックCD 鈴木みえ、映画 山口勝平)
- アルスと共に育った親友。剣王になれる器の証「車輪眼」を持つ。隊商のギランの息子として育てられる。おっちょこちょいでお調子者だが、剣の腕に長けている。後に実兄サーバインとの対決を経てその出生の秘密が明かされ、第五代剣王としてアルスと共に異魔神に立ち向かう。呪われた武具を自在に操り、斬りつけた傷口が絶対に塞がらない幻魔剣の使い手で、生きている鎧「ブラックシーザー」を身に着ける。
- 剣王であることをしったキラは、一度アルスと別れ自分の生まれ故郷である剣王の里跡地を訪ねる。そこで、子供に戻り剣王の里の民から剣王の修行を受け、剣王震空呀が覚えたことで剣王として認められる。その後は剣王としてアリアハンで獣王と戦うアルスの下に駆けつけ以後は供に旅を続ける。
- 後にヤオと結婚。カダルから貰った「隼の剣」を最後まで使用していた。隼の剣は後にその力を強化するため、剣王の里で呪いがかけられたようだが、どんな呪いなのかはすぐに幻魔剣を身につけたため不明。なお、基本的に幻魔剣の効果が有効な戦果になることはなく、衝撃波を操る技で戦うことが多かった。隼の剣の効果により、剣王震空呀も二重になっていた。
- ヤオ
- 拳王の少女。出身地である拳王の里がとある事件により滅ぼされ、彼女が唯一の拳王継承者となる。里の者達の敵を追って、ファン爺と大道芸をしながら世界を旅していた。里の仇を見つけ出したとき、アルスやキラたちとも出会う。当然ながら体術に優れ、気を自在に操る波動拳を駆使する。アルス達と出会う前にイシスで関わった事件以来、へビが大の苦手になる。登場初期はおかっぱ頭の幼さの残る少女だったが、ストーリーが進むにつれて女性らしくなっていく。
- 後にキラと結婚。続編では「リー」という男の子を産んでいる事が判明し、ヤオ本人は目が見えなくなっている。
- ポロン
- 自称「伝説の遊び人」。本名ノロップ(NOROP→PORONのアナグラム)。大賢者カダルの弟子の魔法使いの母と僧侶の父を両親に持つ。カダルと直接的な血の繋がりがないのにもかかわらず、外見は少年時代のカダルに酷似している。カダルの最後の秘術によってその知識と魔力のすべてを受け継いだがその際に倒れて、家族達に死んだもの勘違いをされる。この勘違いをうまく利用しノロップは死んだものとして、遊び人ポロンとして生活を始める。するとモンスターの声がわかるようになり、暴れドラキー、はぐれスライム、見習いゴーストを仲間にし、引き連れていつも悪戯をしていた。遊び人時代は、パチンコやブーメンなどを武器として使用していた。
- アルス達と出会ってからは、強引に旅に合流。遊び人時代にも合成呪文バギラやバイバーハ無意識に使うも本人は覚えていなかった。アリアハンでの獣王グノンとの戦いの際に、タルキンや仲間のモンスター達の死を受け、カダルの継承者として覚醒し、賢王となる。蜃気楼の塔で賢者の書を読み知識も得て、幾多の呪文を使いこなす。さらにカダルの最秘奥である合体呪文を使いこなし、最後にはカダルですら成し得なかった究極合体呪文マダンテをも成功させた。
- 異魔神撃破後はジパングで知り合ったサクヤと結婚するが、結婚式直前に逃げ出そうとする。余談だが、遊び人から賢者になるという設定はゲーム『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』で特殊に位置付けられたシステムに倣ったものである。
[編集] その他仲間
- ティーエ(声優:映画 三石琴乃)
- いつもアルスのそばにいる小妖精。植物の生長を促す力を持つ。アルスには優しいがキラやポロンにはきついツッコミを入れることが多い。武器はアッサラームからは縫い針の剣、アリアハンからは刺した物体に命を吹き込む「タイターンの針」を装備する。その正体は精霊ルビスの化身(当人も忘れていた)で、異魔神が倒れると世界樹と共にルビスとして復活した。
- ルナフレア (声優:コミックCD 水谷優子、映画 冬馬由美)
- カーメン騎士団長ボルゴイの娘で、カーメン流二刀剣術「霞の小太刀」の使い手。老師タルキンとともに、まだ幼いアルスを滅び行くカーメン城から脱出させた。性格は基本的に男勝りで強気だが、女性らしい部分も多数見せる。アルスとキラにとっては最初の剣術の師匠であり、姉のような存在。アッサラーム市街で、魔剣ネクロスに支配されたキラの兄・剣王サーバインと戦い、共に戦っていたギランともども幻魔剣の傷を受けてしまう。傷が塞がらず出血もひどい中で、アルスとタルキンに連れられ教会に赴き、アルスの無事を精霊ルビスに祈りながら力尽きる。
- スーの村にて船を作った際に船首の像がルナフレアに似ていた事から「ルナフレア号」という名前が付けられる。死後その魂は、死者が渡ると言われるアケロンの河のほとりに佇み、ジャガンに負け自分を見失いかけたアルスに助言をして立ち直らせた。
- 老師タルキン (声優:コミックCD 仲木隆司、映画 千葉耕市)
- ルナフレアとともにまだ幼いアルスを滅び行くカーメン城から脱出させ、親代わりとなってイシスの隠れ家でアルスとキラを育てた。温和で、ちょっとお調子者なところのある好々爺。かつてカーメンで神官職を務め、ホイミ系やバギ系の呪文を使いこなす。逆に格闘戦は苦手で体力が持たない。ポロンが賢王として覚醒するまで、パーティーの呪文役を一手に引き受けていた。獣王グノンの放つモンスターの大群相手に奮闘するが、ついに進退窮まったところで覚悟を決め、アルス達を救うためにグノンに対し自己犠牲呪文メガンテを放ち、残っていたモンスター達もろとも塵となった。そのメガンテもグノンには通用しなかったが、命を賭したタルキンとポロンの子分のスライム達の行動は、戦いにおびえるだけだったポロンを立ち上がらせ、賢王の力を目覚めさせる。
- 死後その魂は、死者が渡ると言われるアケロンの河のほとりに佇み、ジャガンに負け自分を見失いかけたアルスに助言をして立ち直らせた。
- タオ導師
- アルスの魔道の師。イシスの隠れ里に住んでいた。好々爺な外見からタルキンと年齢が変わらないように見えるが1万年以上生きている。正体はかつて存在したムー帝国の王で、冥王ゴルゴナは弟にあたる。ギランの看病の為一時離脱するが終盤に再登場し、ゴルゴナそして異魔神と永年にわたる決着をつけることになる。
- ボルゴイ
- 元カーメン騎士団長でルナフレアの父。カーメン王の異変に気づきルナフレアと共にアルスを救出するも魔物を食い止める為に自ら残る。その際に果てたと思われていたがカーメン兵の亡霊と共にカーメン城を守っていた。後遺症で失明しているが剣の腕は衰えていない。ルナフレアの死については武人の務めと割り切るそぶりを見せていたが一人になると涙した。
- ギラン
- イシスの砂船乗りでキラの父親(養父)である。キラの宿命を知っていたがサーバインが現れるまで仲間にも隠していた。サーバインに瀕死の重傷を負わされるがファンの気功術によって一命を取り留め、飛行船団を率いて最終決戦に参加する。
- ファン
- ヤオとともに旅をしていた、サーバインによって滅ぼされた拳王の里の生き残りの一人。ギランの治療のためにアッサラームに残る。
- ピエタ
- 星降る腕輪を持っていたエルフの少年。騙すつもりが騙され、星降る腕輪を譲ることになるもののその相手が拳王であることを知った後は喜んでいた。最終決戦前には、ピラミッドで手に入れた黄金の爪をヤオに渡すため再び登場する。
- ルイーダ
- ルイーダの酒場の経営している。アルス達をかくまったり、タルキン達を助けるなど活躍。
[編集] ジパングの民
- イヨ
- ジパングの女王。扇を使った技を使う。
- イズナ
- イヨの婚約者であり、刀鍛冶リハクの弟子。負傷したリハクに代わり、アルスのためにオリハルコンを鍛え上げ王者の剣を作る。
[編集] 海王関係者
- 海王リヴァイアサン
- 海を支配する善良な王であったが、異魔神との戦いに敗れ封印される。その後体内に魔物を植えつけられ、ただ海の生物を飲み込み続けるだけの怪物としてアルス達の前に立ちふさがる。
- パール
- 海王の妻。封印された海王を守り続けていた。最後には海王とともにトライデントに貫かれる。
- シーザリオン
- 2代目の海王。リヴァイアサンの死後に生まれ変わる。異魔神との最終決戦では成長して再び登場するも、体を引き裂かれる。
[編集] ロトとその仲間
- アレル
- ロトの称号を得た勇者。アルスの祖先にあたる。戦士フルカス、武闘家フォン、賢者カダルとともにゾーマを倒す。その血筋はカーメン王国とローラン王国に受け継がれている。
- カダル (声優:コミックCD・映画共に関俊彦 )
- かつて勇者ロトと共に大魔王ゾーマと戦った大賢者。元の職業は僧侶。時の砂の呪文によって若返りを繰り返すことで生きながらえており、外見は20歳だが実際には120歳の老人である。番外編「ロトの紋章Returns」によると、一度スーの村の娘と結婚しているもののゴルゴナとの戦いがもとで先立たれている。賢者になった時の契約により子供が出来ない体となっており、自分を受け継ぐ者が現れるのを待っていた。性格はかなり軽めでナハハ笑いが口癖であるが第三の目が開くとひょうきんな面が消える。アルスとキラに自身の住処「蜃気楼の塔」で修行を積ませ、「光の剣」と「隼の剣」を託す。その後生涯最大にして最後の秘術を使い、自らの知識と力、そして肉体を流星と化してノロップ(ポロン)を撃ち、賢王としての力を授けた。これにより肉体は消滅したが、その後も精神体としてポロンの真の覚醒時やアルス達の危機にたびたび登場する。なお、ドラゴンクエストVII エデンの戦士たちのコミック版(作者:藤原カムイ)にも少しだけ登場、キーファに「蜃気楼の塔」の説明をして立ち去った。
- フルカス
- ロトの仲間の一人で職業は戦士。初代剣王。仲間になる以前からルイーダの酒場では有名な戦士だった。ゾーマ打倒後、幻魔剣を編み出す。
- フォン
- ロトの仲間の紅一点で職業は武闘家。初代拳王。ゾーマ打倒後、波動拳を編み出す。
[編集] 異魔神とその配下
- 異魔神 (声優:コミックCD 柏倉つとむ)
- 突如として現代に蘇った太古の魔神。その強大さゆえに魔界からも追放され、亜空間に幽閉されていたが、ムー帝国の魔導師ゴルゴナによって召喚され、生き神として崇められる。しかしその圧倒的な力と野心から暴走を始め、ムー帝国を一夜にして崩壊させてしまう。その後、精霊ルビスの放った究極の大転移魔法オメガルーラによって肉体を封印されるが、1万2千年の時を経てその精神のみが蘇る。魔人王ジャガン、獣王グノン、冥王ゴルゴナ、竜王の魔王四天王を従え、肉体を取り戻して世界を混沌に陥れようとする。
- 竜王 (声優:コミックCD 山口健)
- ドラゴンクエストに登場する竜王の若き日の姿。竜族を統括し、普段は人間の姿をしている魔王。ドラゴンクエストIII そして伝説へ…に登場して勇者ロトに光の玉を与えた「竜の女王」の息子であり、本来は世界を守護する善の神の一柱、竜神であるが、アランのように異魔神に呪われた名前をつけられ魔王とされた。自分の出生の秘密と、異魔神への忠誠が偽りだったことを知り、混乱の余り巨大な竜の姿に変身する。後に勇者達と和解し、異魔神に反旗を翻す。
- 冥王ゴルゴナ
- 黒衣の姿をし、得体の知れない雰囲気を持つ。異魔神とは古くから関わりがあるらしく、その言葉を他の魔王に伝える役割を持つ。死者を操る妖術に長けており、かつて勇者アレルに倒された魔王バラモスをも復活させ、操った。また「光葬魔雲」などの技で聖なる力を消し去ることができる。その正体は古代ムー帝国の魔導師、科学者にして太陽王(ラ・ムー)の弟、そして異魔神を召喚した張本人であり、その部下達が不死の力を得るため冥界の蜘蛛にとりついた姿である。自己中心的な性格で、異魔神すら自分の野心のために利用しようとしていたがしだいに手に負えなくなり、ムー帝国崩壊のきっかけを作った。兄であるタオに沈みゆくムー大陸に取り残されたが、生き残るため冥界の王、大蜘蛛と部下の魔導師、科学者達と共に合体する。1万2千年を経て再び兄タオ導師と対峙し、その兄の手で葬られる。ちなみにタオ導師やゴルゴナ、その部下たちは七福神がモデルになっている。
- サーバイン
- 魔剣ネクロスを使用する剣王で、拳王の里・剣王の里双方を壊滅させた本人。ネクロスの呪いにより逆に操られてしまっており、アッサラームにてルナフレアと交戦、後にアルス一行を襲う。タオ導師のシャナクにより一時的にネクロスの呪いが解け、その際の攻撃にて重傷を受けたネクロスに解放され正気に戻るが、最後はアルスに向けられたネクロスの攻撃を捨て身で止め、ライデインによってネクロスと共に炎に焼かれる。
- その後、キラが剣王の里の跡地についた際、冥界から剣王の里の人々の魂を一時的に復活させ、キラに幻魔剣の極意と母のぬくもりを伝えた。魔剣ネクロスに操られ、魔道に堕ちた為にできる技のようであるが、効果は1週間のみ。命を落とした際にニフラーヤによって昇天していたものの、剣王の里の人々の魂とは逆の方に帰っていった事から地獄へ行ったものだと推測される。
- 魔剣ネクロス
- 生きた剣。血を求めている。幻魔剣により呪われた武器をつかいこなす剣王の里でもこの剣は封印されていた。異魔神から、剣王と拳王の里を壊滅する命を受けていた。サーバインがこの剣を手にしたことで目的を果たす。最後はサーバインと共にライデインに焼かれて燃え尽きていった。マヌーサやベホイミを使用。
[編集] 獣兵団
獣王グノン率いる、獣のモンスターによる部隊。精鋭の獣王四天王の下に数十万の獣型モンスターを従えており、大軍を率いてアリアハンに侵攻する。
- 獣王グノン
- 竜王と同じく普段は人間のような姿をしているが、本来の姿は人面に獅子の体、蛇の尾、翼を持つスフィンクスに似た巨大な獣である。気性が荒く冷酷かつ残忍、逆らうものや気に触るものには、部下にも容赦がない。最後はアルスと仲間達、そしてアリアハンの人々全員の魔力を結集したミナデインによって破れるが、その闘志は凄まじく屍となっても戦う姿勢を崩さなかった。
- 獣魔将軍リカンタス
- 獣王四天王の一人。剣術使いで、キラと対決する。必殺技は大岩をも斬り刻む獣魔百烈断。キラの幻魔剣に腕を斬られ、最後はキラと相打ちを狙うも、敗者の弁を良しとしないグノンによって首をはねられる。
- 魔猿将軍エイプス
- 獣王四天王の一人。瘻瘡邪骸拳という触れたもの全てを腐らせる拳法を使うが、ヤオの前に完敗する。
- 怪鳥将軍バークート
- 獣王四天王の一人。呪文の力をこめた弓矢・マジックアローを武器に使い、空を飛びまわる。タルキンとポロンを圧倒するも、キラを踏み台にして飛び上がったヤオから燎星雷吼拳を受け倒れる。
- 金羊将軍ミナトン
- 獣王四天王の一人。体毛に魔法を吸収し蓄えることができる。アルスを相手にライデインを吸収するなど優位に戦いを進めるも、マホトーンを込めたバークートの矢をアルスが逆用する事によって吸収した魔法を打ち消され、斬られる。
[編集] ゾーマとその配下
- ゾーマ
- 勇者ロトが打倒した大魔王。回想シーンにのみ登場。死ぬ直前に再び世界が闇に包まれることを予言したと伝説に記されている。
- バラモス
- 勇者ロトが打倒した魔王。冥王ゴルゴナの手によりバラモスゾンビとして復活。アルス達と序盤に戦う。最後は自らアルスの手によって再び眠りにつくことを望んだ。
- ヤマタノオロチ
- ロトに倒された魔物。しかし実際は死んでおらず仮死状態だった。アルス達がジパングを訪れた際に復活。オリハルコンを飲み込み、脅威の回復力を示すようになる。勇者ロト時代はヒミコに化けてジパングに潜入するなど策を弄する狡猾さも持ち合わせていたが、この時代においては脳が退化しており、知性はほとんど無くなっている。最後は体内に入り込んだティーエがタイターンの針でオリハルコンに命を与えたことにより完全に消滅する。
[編集] 用語
- ロトの紋章
- タイトルにもなっている、勇者ロトの紋章。『ドラゴンクエスト』(第1作)および『ドラゴンクエストII』では「ロトの印」、『ドラゴンクエストIII』では「聖なる守り」と呼ばれているもの。カーメン王国とローラン王国に二つに分けられていると伝わっていたが、実際はフローラの子孫にも中心の宝玉が受け継がれていたため三つに分けられていた。三つを合わせることでオメガルーラ発動のための立体魔方陣を出現させる。
- 他にも異魔神の肉体を封じたり、封印されていた旅の扉を通れるなど聖なる力が宿る。
- 闇のオーブ
- 異魔神の肉体を封じたオーブ。ラダトーム城の地下に隠されていた。ラダトーム城が魔王軍によって落城する前にアステアが偽者とすり替え、地上のラーミアの卵を守っていた聖域に移す。しかしジャガンによって持ち去られ、彼によって異魔神の前で破壊される。これにより異魔神は肉体を取り戻した。
- 闇の衣
- 魔法を無効化する衣。ゾーマやバラモスゾンビ、異魔神が操る。
- 光の玉
- ロトがゾーマの闇の衣を剥ぎ取るために使用された玉。その後、この玉は闇のオーブと同じ、ラダトーム城地下の聖域に封印されていた。
- 世界樹
- 葉を飲むことで命を蘇生させると伝説にあるが、現在は世界樹は枯れてしまっている。しかし、一枚だけ残った葉により、アルスは命を救われる。
- 旅の扉
- 本来は人を転送できる魔法の扉であったが、異魔神が復活して以後は通行することができなくなり通信設備としてのみ使用されている。しかし、ロトの紋章中心にある赤い玉を持つ者だけは通行することができる。地下世界アレフガルドとも繋がっている。
- 幻魔剣
- 剣王フルカスが編み出した、呪われた武器を使いこなす技術。幻魔剣で傷つけられた傷は、魔法や薬草の治癒が効かない。また剣王震空呀など衝撃波を用いた攻撃を繰り出すこともできる。
- 波動拳
- 拳王フォンが編み出した、気を操る格闘術。攻撃術だけでなく軟気孔と呼ばれる回復術や、敵の攻撃を跳ね返す技などがある。
- 蜃気楼の塔
- 賢者カダルが住む、魔法の塔。蜃気楼のように現れたり、消えたりする。アルスやキラ、ポロンの両親はこの塔の中で修行を行った。賢王としてポロンが覚醒したあとは再び現れ、世界樹の下へ導く。
- 幻の月
- 異魔神が古代文明を崩壊させたときにあらわれた謎の月。正体は異魔神が死者の魂を集めて創っていた。
- ルイーダの酒場
- アレルが仲間達とであった酒場。しかし、現在では弱気な国王のために廃れてしまっている。
[編集] 世界観
ベースになっているのはドラゴンクエストIIIの世界である。
- カーメン城
- ロトの子孫、カーメンの子孫が王の城。元は魔王バラモスの城だった。
- アルスはルナフレアによって脱出できたものの魔王軍の侵攻によって陥落。しかしカーメン騎士団が亡霊としてモンスターに襲い掛かり魔王軍は撤退、その後はボルゴイが一人住んでいる。アルスが訪れた際に冥王コルゴナがバラモスを蘇らせ戦闘となった。
- ローラン城
- ロトの子孫、ローランの子孫が王の城。元は竜の女王の城だった。ロトの武具や剣術が伝わっている。
- カーメン城と同じく魔王軍の攻撃を受け、以後は魔王軍の本拠地となっている。侵入者を妨げるため城全体を覆う闇の衣を備えている。
- アリアハン
- ロトの生まれ故郷。現在でもルイーダの酒場があるが賑わってはいない。
[編集] 呪文
本作にはゲーム版のドラゴンクエストシリーズに登場した呪文が多々登場している(→ドラゴンクエストの呪文体系参照)。本作オリジナルの呪文もあり、非常にごく一部ではあるがゲーム作品にフィードバックするものも生まれた。本作ではストーリーの魅力を削ぐ原因となることから、ザオラルなどの蘇生呪文は使用されていないが、スカラ・バイキルト・ピオリムなどの能力向上呪文は使用された。
以下は本作のオリジナル呪文である。
[編集] オリジナル呪文
- ニフラーヤ
- 昇天呪文。地上を彷徨う霊魂をあの世へと送り届ける。
- エビルデイン
- 黒い雷を放つ、魔人と勇者の両方の血を併せ持つジャガン専用呪文。その威力はライデインを凌ぐ。
- オメガルーラ
- かつて精霊ルビスが生み出した究極の大転移魔法。異魔神はこの呪文を受けて精神を宇宙の彼方へと飛ばされ、肉体は闇のオーブに封印された。3つのロトの紋章(アルスが下半分、アランが上半分、アステアが中央の宝玉)に刻まれており、紋章がひとつになった時、彼らロトの血を引く者達の意思により巨大な立体魔法陣が現れ呪文が発動する。
- いかずち
- ムー大陸の技術が作り出した飛空船に付けられた大魔砲いかずちが放つ魔法。厳密には呪文ではない。
[編集] 合体魔法
大賢者カダルによって編み出された、2つ(以上)の呪文を組み合わせる秘術。
- バイバーハ
- フバーハ+フバーハ。二重に展開した障壁が、炎や吹雪を倍返しにする。
- バギラ
- バギ+ギラ。炎の渦と刃で敵を焼き、引き裂く。
- スカラル
- スカラ+スカラ。味方全体の守備力を増強する。
- スピオキルト
- スクルト+ピオリム+バイキルト。守備力・素早さ・攻撃力、全てを増強する。
- オクルーラ
- ルーラ+ルーラ。転移呪文。対象者のみを別の場所に移動させる。
- 「閃熱大炎」メゾラゴン
- メラゾーマ+ベギラゴン。巨大な火炎を放つ。
- 「氷刃嵐舞」マヒアロス
- マヒャド+バギクロス。無数の氷の刃で敵を切り裂く。
- 「爆裂旋風」イオナロス
- イオナズン+バギクロス。猛烈な爆風で敵を木っ端微塵に吹き飛ばす。
- 「閃吼爆裂」イオラゴン
- イオナズン+ベギラゴン。炎と閃光とともに巨大な爆発を起こす。
- 「火炎竜巻」メラゾロス
- メラゾーマ+バギクロス。巨大な炎の竜巻を発生させる。
- 「嵐竜変化」バギグラム
- バギクロス+ドラゴラム。飛行可能な翼を持った竜に変身する。ドラゴラムと違い、術者の理性は残る。
- 「双竜変化」ドラゴラム×2
- 二つの首を持つ竜に変身する。ドラゴラムと違い、術者の理性は残る。
- 「強制変身」モシャサス
- モシャス+モシャス。相手を強制的に変身させる。
- 「極大五芒星」マダンテ
- メラ系・ギラ系・ヒャド系・イオ系・バギ系の魔法をフルパワーで合体させる。ゲームのドラゴンクエストシリーズに出てくる同名の呪文(特技)とは設定が異なる。
[編集] 異魔神
- りゅうせい
- 異魔神の超高密度魔法言語。宇宙より大量の隕石を呼び寄せる。異魔神の攻撃の中でも最強と思われるが、一度はアランのアストロンによって無効化され、二度目もアルス達にとどめを刺すまでには至らなかった。
- げっこう
- 異魔神の超高密度魔法言語。食らった死んだ生物の魂を幻の月に変える。幻の月には異魔神の自己再生能力を促進する働きがある。ニフラーヤで魂を昇天させることで消せるが、多数の魂の塊なので莫大な魔力が必要。
- たいよう
- 異魔神の超高密度魔法言語。超巨大な火球を発生させ、周辺を灼熱の世界にする。海を沸騰させるほどの威力がある。
- ひょうが
- 異魔神の超高密度魔法言語。一瞬にして超広範囲を凍結させることができる。
- しんくう
- 異魔神の超高密度魔法言語。大気中の酸素を燃焼させ、一瞬にして広範囲を真空状態(正確には無酸素状態)にする。
- たつまき
- 異魔神の超高密度魔法言語。巨大な竜巻を作り出す。
[編集] メディア展開
[編集] 漫画
全86話、単行本は全21巻。2006年7月から全86話をまとめた『完全版』が毎月25日に2冊ずつ発売されている。全15巻刊行予定。
2005年には『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章Returns』(ISBN 4-7575-1478-6)が発売されている。
[編集] コミックCD
- 『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章1 アルス、ロトの血に目覚める』 ISBN 4-87025-769-6
- 1994年10月19日発売。ストーリーは原作単行本1~2巻終盤まで。タイトルに「1」と付いており、続編も製作されるはずだったが、結局1作のみとなった。
[編集] 映画
1996年4月20日公開。『ハーメルンのバイオリン弾き』『魔法陣グルグル』と同時放映。
ストーリー上は原作第1話と第2話の間の時期に該当し、アルスとキラの友情の始まりや妖精ティーエとの出会いが描かれている。
- 製作:エニックス、ポニーキャニオン、松竹、日本アニメーション
- 配給:松竹富士
- プロデューサー:吉田剛、田中伸明
- 作画監督:山形厚史
- 監督:須永司
- 主題歌:『少年の羽』(作詞:新居昭乃、作曲・編曲:和田薫、歌:新居昭乃)
[編集] 参考書籍
- 『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章パーフェクトガイドブック』(ISBN 4-87025-972-9、1996年)
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