ツバメ
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ツバメ | ||||||||||||||||||||||||
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ツバメ |
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Hirundo rustica Linnaeus, 1758 |
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和名 | ||||||||||||||||||||||||
ツバメ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Barn Swallow | ||||||||||||||||||||||||
亜種 | ||||||||||||||||||||||||
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ツバメ(燕、学名:Hirundo rustica)はスズメ目、ツバメ科に属する鳥である。全長約17cm。背が黒く、のどと額が赤い。餌は飛行する昆虫で、これらを空中で捕食する。北半球の広い範囲で繁殖する。古くはツバクラメと呼んだ。
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[編集] 特徴
日本には夏鳥として春先に飛来する。泥と枯草で巣を作るが、民家の軒先など人が住むにぎやかな環境に営巣するという習性がある。これは、ヒナや卵を狙う天敵であるカラスやスズメが近寄らないためだと考えられている。ちなみに中華料理の食材となる燕の巣はアマツバメ目アマツバメ科に属するインドショクヨウアマツバメの巣であり、ここで述べられるツバメの巣とは別物である。
[編集] 生態
4~7月ごろに3~7個の卵を産卵する。主にメスが抱卵し、13~17日でヒナが生まれる。巣立ちまでは20~24日、その間、親鳥はヒナに餌を運びつづける。1回目の繁殖を済ませたつがいの内、その半数以上がヒナが巣立っておよそ2週間後に同じ巣を使って2回目の繁殖をする。この2回目の繁殖のヒナを2番子という。2番子も7月中には巣立ちをする。巣立ちを終えたヒナと親鳥は河川敷のアシ原などに集まり、数千羽から数万羽の集団ねぐらを形成する。10月ごろに南の越冬地に旅立つ。日本で繁殖するツバメの主な越冬地は台湾、フィリピン、ボルネオ島北部、マレー半島、ジャワ島などである。
害虫を捕食するため、益鳥として農村部を中心に大切に扱われてきた。江戸時代にはツバメの糞は雑草の駆除に役立つと考えられていた。
ヒナを育てている間に親鳥のうちどちらか一方が何らかの理由で欠けるとつがい外のツバメがやってきて育てているヒナを巣から落して殺してしまう行動が観察されている。この行動は江戸時代中期の説話集『新著聞集』や大正時代の岩田勝市『因伯珍談』に記録が見られる。落ちているツバメの雛を拾って人間が育てることはとても困難であるし、野鳥なので一応禁じられている。逆に、つがいの内メスが欠けた場合なのかどこからともなく複数の他のつばめが集まりその中から選ばれたように一羽ツバメが新たなつがいとなって子育てを継続するさまも観察されている。
[編集] 越冬ツバメ
一部のツバメは関東を北限として西日本各地で集団で民家の家内や軒下にねぐらをつくり越冬することが知られている。これらの越冬ツバメが、日本で繁殖した個体がそのまま日本で越冬しているのか、もしくはシベリアなど日本より北方で夏に繁殖したものが日本で越冬しているのか、よく分かっていない。
[編集] Sibley分類体系上の位置
スズメ目> スズメ亜目> スズメ小目> ウグイス上科> ツバメ科> ツバメ亜科
[編集] 説話
昔昔、燕と雀は姉妹であった。あるとき親の死に目に際して、雀はなりふり構わず駆けつけたので間に合った。しかし燕は紅をさしたりして着飾っていたので親の死に目に間に合わなかった。以来、神様は親孝行の雀には五穀を食べて暮らせるようにしたが、燕には虫しか食べられないようにした。--『雀孝行』
[編集] その他
転じて燕は年増女に養われている若い男を指す。後に女性解放運動家・平塚らいてうの夫となる、平塚より5歳年下の画家・奥村博史が(運動の邪魔にならないよう、一時的に身を引いた際に)自分を例えて「水鳥たちが遊ぶ池に迷い込んだ若い燕」と表現したことに由来する(瀬戸内寂聴の小説『美は乱調にあり』では、平塚が奥村をラブレター上で若い燕と形容したことになっている)。
また、その飛行速度と姿から速度の象徴としても扱われ、列車名称や戦闘機の愛称(飛燕)、またJRバスのシンボルマークにも使われている。
[編集] 関連項目
- つばめ (列車)(国鉄~JRにおいて、鳥の名が列車愛称になる切っ掛けとなった)
- 東京ヤクルトスワローズ(上記列車愛称に由来)
- 燕の巣
- 竹取物語(かぐや姫が五人の貴公子に出す結婚の条件の中に、燕の子安貝がある。)
- 秋物語(NHK「みんなのうた」で流れた、越冬できなかったツバメをテーマとした歌)
- 日本の野鳥一覧
[編集] 参考図書
- 大田眞也 『ツバメのくらし百科』 ISBN 4902116316