瀬戸内寂聴
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瀬戸内 寂聴(せとうち じゃくちょう、女性、1922年5月15日 - )は、日本の小説家であり、天台宗の僧侶でもある。僧位は大僧正。1997年文化功労者、2006年文化勲章。学歴は徳島県立高等女学校、東京女子大学国語専攻部卒業。学位は文学士(東京女子大学)。称号は徳島県徳島市名誉市民。元天台寺住職。元敦賀短期大学学長。代表作には『夏の終り』や『場所』『現代語訳 源氏物語』など多数。近年では源氏物語に関連する著作が多い。これまでの著作により多くの文学賞を受賞した。本名は、瀬戸内 晴美(せとうち はるみ)。
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[編集] 経歴
東京女子大学在学中に結婚したが、夫の教え子と恋に落ち、夫と長女を残し家を出る。正式に離婚をしたのち、上京して本格的に小説家を目指すようになった。長女とは後年和解する。
1956年、処女作『女子大生・曲愛玲』で新潮同人雑誌賞を受賞しデビュー。しかし、その後発表した『花芯』で、ポルノ小説であるとの批判にさらされ、「子宮作家」とまで呼ばれるようになる。1963年に『夏の終り』で女流文学賞を受賞し、作家としての地位を確立する。また、1992年には『花に問え』で、より文壇での評価が高い谷崎潤一郎賞を受賞した。『源氏物語』の現代語訳でもその名を知られている。2005年には、彼女を主人公とした特別ドラマが放映された。出家の際、初めはカトリックの修道女になろうとしたが過去の行いを理由にカトリック教会より断られ、今東光和尚の導きにより天台宗で得度する。
尼僧としての活動も熱心で、週末には青空説法(天台寺説法)として、法話を行っていた。
女の一代記などでも明らかにされたように上京後も幾人もの男性と関係を持ち、瀬戸内本人も「過去の自分は非常に男癖が悪かった。ドラマで明らかにされたのはほんの一部で本当はもっと多くの男性と関係を持った」と女の一代記放送前に母校の公演で語っている。僧侶になったあとは男性との関係をいっさい断って真面目な信仰生活を送っている。地方講演などでは主に「笑うこと」が大切であるということを説いていることが多い。麻薬で逮捕された萩原健一の更生に尽くしたことや、徳島ラジオ商殺し事件の再審支援などの活動でも有名。あさま山荘事件で死刑判決を受けた永田洋子や、連続ピストル射殺事件で死刑執行された永山則夫とも親交があり死刑廃止論者とも一部からは見られたが死刑制度そのものは是認している。同時多発テロの報復攻撃に抗議し断食をした。
[編集] 年譜
- 1953年 『女子大生・曲愛玲』で新潮社同人雑誌賞受賞
- 1961年 『田村俊子』で田村俊子賞
- 1963年 『夏の終り』で女流文学賞を受賞
- 1973年 岩手県平泉町の中尊寺で得度、尼僧となり瀬戸内寂聴に
- 1987年 岩手県浄法寺町(現・二戸市)の天台寺住職に就任
- 1988年 敦賀女子短期大学学長就任
- 1992年 『花に問え』で谷崎潤一郎賞、敦賀女子短期大学学長退任
- 1995年 芸術選奨文部大臣賞(文学部門)※小説『白道』の成果による
- 1997年 文化功労者に選ばれる
- 1998年 NHK放送文化賞受賞。『現代語訳 源氏物語』全20巻完結
- 2000年 徳島県徳島市名誉市民
- 2001年 『場所』により野間文芸賞受賞
- 2002年 徳島県立文学書道館が竣工し、館内に瀬戸内寂聴記念室が設置される。同時に母校の徳島県立高等女学校(現徳島県立城東高等学校)が100周年を迎え、『君の夢に100万円』という奨学金制度に全面的に協力を表明する
- 2005年6月 天台寺の住職を引退
- 2006年2月 オペラ『愛怨』の台本を手がける
- 2006年3月 第73回NHK全国学校音楽コンクール高等学校の部の課題曲『ある真夜中に』を作詞(合唱曲。作曲者は千原英喜)
- 2006年11月 文化勲章を受賞
- 2007年3月 延暦寺の直轄寺院「禅光坊」の住職に就任予定
[編集] 主著
- 『花に問え』1992年、谷崎潤一郎賞受賞作品
- 『場所』2001年、野間文芸賞受賞作品
- 『現代語訳源氏物語』
- 『釈迦』